シーズンテーマノベル『寒燈を見上げ』
商品概要:シーズンテーマノベル
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基本価格 100RC~ |
景品
シーズンテーマノベル限定アイテム『Hot Cocoa』
ほっとする甘さが凍えた体を温めてくれます。【シナリオ時、多少の緊張をほぐしてくれるでしょう。】
サンプルSS:『君はおでんを知っているか』
登場NPC:俊郎(r2n000329)、花祀 あまね(r2n000012)
「おでんだよ」
出汁の入った風呂に入って、昆布だしをグラスに揺らした俊郎(r2n000329)はそう言った。
「残念だが、僕の進むべき道はおでんのようなんだ。それも、出汁がしっかりと沁みた、ね……。
で、君は如何だい? 来年、君はどうするか決まったかな?」
「え、なにそれ、しらんし、こわ」
花祀 あまね(r2n000012)は普通に引いた。
「いや、てか、だれ」
「君の俊郎だよ」
「つか、トシはさ、ほんとにおでんでいいわけ? ブリ大根でも、ポトフでもボルシチでもなくて」
「あまね……」
「あとごめんだけど、わたしだいこん食べれないんだよね」
あまねは何処も悪びれずにそう言った。大根の姿をしているアザーズは悲しげな顔をしてじっとあまねを見ている。
されとて、食の好みというものはその人間が歩んできた道そのものだ。
その全てを否定することは出来るまい。仕方がない――仕方がない、為に悲しげな顔をしながらも俊郎は緩やかに頷いた。
「トシ」
「構わないとも……大根というのは君にとって苦しいものかもしれないが。
うん、しかしね、君の為に、品種改良か。それもまた素晴らしい道だね」
俊郎はグラスをぐい、と持ち上げてから足を組んだ。ほっそりとした足(?)が絡み合ってセクシーな大根に見える。
あまねはその様子を眺めてから「トシ、品種改良はまじむずいよ」と告げる。
品種改良を侮って貰っては困る。そもそも、おでんになるだけならば、其の儘大根である方がきっと美味しいではないか。
あまねは俊郎の歪んだ努力を否定するように首を振っている。
されど、大根は苦し気に身を起こすのだ。折角しみしみの大根になりそうだというのに彼の希望は粉雪のように儚い。
「分かっているとも……!」
「てか、進路迷うならこれあげる」
あまねはそっと大根のレシピが掲載されている本を差し出した。独創的すぎるレシピの数々に俊郎はただ、ただ、眩暈がしていた――
あまねは体を起こす。変な夢を見ていた気がした。
「……なに」
思わず呟いたが、目の前にはおでんが存在しているわけでもなく、ただ、当たり前の自室が存在していたのだった。

