横須賀近海を閉ざすその嵐を何かにたとえるのなら、まさに『受難の具現』だろう。
横薙ぎの風が立っていることを、飛礫のような雨が顔を上げることを、のたくる波が船の進路を、阻む。
まるで――この先には進ませない、と。
お前たちはこの海を越えられない、と。
告げられているかのような。
ならば。簡単なこと。
「
この嵐を断てばいい」
ウルリーカ・ニルスドッティル=光明院(
r2p003861)が膂力のままに斧を投げこぼつ。奇しくも
嵐断ちと名付けられたその絶技は、獰猛な鷲のように飛び回って――
敵のみを、引き裂くのだ。
「天使も! 蛸野郎も! まとめてぶっ倒す!」
クラーケン分体を、そして天使を睨み、クリスチーナ・マーティン(
r2p004035)は
対峙する。挑発する。闘志の棘をその身に纏い、触れるのならば突き刺すぞと
牙を剥く。
奴らに呑まれればどうなるか。そんな
未来、アリアス・ミラドレクス(
r2p000020)は考えたくもない。
「だから、逃げないよ」
前に立つ。踏み留まるだけ、仲間が戦い抜いてくれるから。望むのは
こんな苦しい嵐じゃない、光に満ちた、希望の明日――
「寂しさに終わりはないけれど、寂しさの奥底にだって、光は届く」
千波万波と絶望が押し寄せるのなら、ルネ・ストラヴィス(
r2p005463)は防波堤となろう。何度だって、その玻璃の身体で受け止めよう。欠けようが、割れようが――皆を、護り抜いてみせる。
――因果なものだ。天使とて、
盾を名乗る者がいるのは。
同時に――虚しいものだと、瀬那 悠月(
r2p000299)はゆるりと首を振る。
「世界の外からやってきた
天使なる存在、その最終目的は自分達同士での殺し合いだそうですよ。
生きる為に奪うのは生命の根源ですが、ならば滅ぼす為に壊す天使とは……
……
天使は、そんなに上等なものですか?」
月花を突きつけ、問いかける。
彼らが示す破滅とやらに、拒絶を示し返してみせる。
「イカ退治であたしらは忙しーの。
身内が大事で仕方ないなら、引き籠って丸まってりゃ良いじゃん?
なのにやるってなら……容赦する気、ありませんけどぉ~?」
立ちはだかる受難の一つ――
笑う天使へ、星河 綺羅々(
r2p000053)は
流れ星の如き光を放つ。帰れって追い払ってやったのに結局また来るとか。クソデカ溜息出るんですケド?
なぜ争わねばならないのか。それは朝月 玄夜(
r2p001149)をいつだって悩ませる。
それでも。玄夜は知っている。自分が今ここで息をしているのは、数多の命に生かされたからだ。数多の想いに護られたからだ。
その想いが、確かに玄夜に残っているから。思い出すたび悲しいけれど、決して忘れたくはないから――
「今まで守られた分、此処にはいない皆の分も自分が横須賀を! 人々を守る!
だから――全力で、ぶつかる!!」
「人間は未来を想うことで強くなれる。海を切り開く私の刃よ、星の天使まで届け!」
美神 剣(
r2p000500)は
模倣・絶空刀に想いを込める。相手を斃したい、その想いはきっと己と天使で大差はない。大破局の日に
奪われた剣の胸には復讐の炎が黒く燃える。
けれど――この海の先を望む光だって、この心あるのだ。未来を、明日を、そして日常を、心の底から望んでいる。
そんな想いは、
この天使にはあるまい。――だから、負けない。
「思い出して、答えを出せ!」
クラーケンへ身を捧げた天使へ、マリィ・E・テネブラエ(
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言葉をぶつける。何もないまま消えていくなんて、血の魔女が――バッドエンドを殴り壊すアイドルが、許さない。
「そのうえで、アタシはあんたを終わらせる。その死にだって意味があると、未来へと持っていくために!」
本心ってのは真っ正面から殴り合わなきゃ吐き出せない。ならば、乙女は拳を握り込む。赤き血の通う、この手を!
「
ともだちになるなら、全力で殴れ! 殴り合ってこそ分かり合える友だちもおるんやで!」
南馬 トバリ(
r2p002374)は裁かない。否定しない。でも、
止める。
それは終わりじゃない。前進の為の、戦いだから。破壊とは真逆の、治癒の力を広げてみせる。
まだ終わりじゃない。こんなところで、立ち止まれない。
嵐の中で、トバリは告げた。
「今日はな――未来に繋ぐ時間を、俺らが勝ち取る日や」
ロストアーカディア二周年!