廊下をゆったりとした速度で歩く珠洲原 みその(
r2p007020) は自身が制作した試作装備を抱きしめながらK.Y.R.I.E.本部へと向かっていた。
箱根にて開校が決定したKPA工科学校の一員として、日々、勉学へと励む少女は友人やKPAの先輩の無事を日々祈る時間が続いていた。多摩にはKPA多摩支部が作られ、相模原地区の調査の為に
オフィーリアの改良も続けられている。
アガルタとて相模原地区より発生した花蝕障への調査に忙しない日々だろう。
(でも、心配事はそっちじゃない。相模原もそうだけれど、私が心配なのは――)
立ち止まったみそのに「どないしたの?」と声をかけたのは藤原 アニカ(
r2p001754)その人だった。
「何か、考え事? もしくは残業してお腹空いたとか?」
朗らかな彼女は外見だけを見れば小・中学生程度の幼さだ。されど、立派な成人女性であり地下実験区アガルタの研究員の一人でもある。
「あ、いいえ。その……色々と忙しない毎日だなあって」
「あはは、たしかに。相模原の調査もデータを集めて、対策を講じての繰り返しや。
それに、岐阜の方だって
穴には何が起こるかもわからへん。箱根やら多摩での新しい生活だってある。
けど、心配事は――……一番は東京、やな」
アニカが呟けばみそのも緊張し切ったような顔を浮かべてから頷いた。
東京23区。その地を舞台に行われる天使による謎のゲイム
カタルモイ。
マシロ市得た情報をベースに様々な推察が行われており、これはデスゲームなどではないとする声がいくつも上がっていた。
「カタルモイ……その、先輩に差し入れを持っていこうと思って」
みそのはカタルモイ関係のデータの情報整理を行う雨隠 夕(
r2p005663)に差し入れを持ってゆく最中だった。
彼女は普段はV.A.L.K.Y.R.I.E.を利用したVR訓練のオペレーターであるが、そのV.A.L.K.Y.R.I.E.のデータに
予期せぬエラーが起きている。その為、現在はV.A.L.K.Y.R.I.E.システムを利用するのではなくカタルモイ側の情報整理に注力しているのだろう。
二人は並んで夕が待っているという休憩室へと遣ってくる。「こんばんは」と顔を上げた彼女は休憩がてらに読書をしていたか。
「こんばんは。あんまり休憩時間もないんやろ。ほら」
「ありがとうございます」
淡々とした調子の彼女の手元には整理されたデータが表示されたモニタがある。
それをじっと見つめていたシュネー・オリュジヴォラ(
r2p003463)は「成程な」と呟いた。
「やはり、これはルールがしっかりと定められているデスゲームなどではないのだろうな。
何方かと言えば……何らかの儀式めいたものだが、相手の出方があまりに分からない。
此方もある程度の対策を講じておきたい、が……状況も大きく進めば、ゲイム内容にも変化があるかもしれない」
「変化、ですか」
みそのの不安げな問いかけにアニカは「デスゲームっぽくないのはたしかやもんなあ」と呟いた。
「まあ、仮想死亡ってのがあって長引くように状況が操作されとるもんな。
第二戦区の
決戦も進行してるし、K.Y.R.I.E.がルートを選ぶタイミングも来てる。
……ここからどう動くか、やけれど不安がってばっかりもあかんね。ほら、腹を満たそう!」
明るく笑ったアニカにみそのは「そうだね、そう、そう!」と頷いてから夕とその場に居合わせたシュネーへとおにぎりをさしだした。
「今はお腹を満たして、万全にってことで!」
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