カタルモイ第二戦区、浅草。
かつての東京のランドマークが見下ろす最中、『墓守ゲイム』は開かれた。
それは『お客様』を墓に入れるという、悪趣味極まりないもので――
「お客様だった鏡花さんやヤマシギのすぺしゃるやまぎしさんを護り切れてよかったです。
デバイスを付けた時点でタラリアの掌の上なのでしょうが……やられた分はやり返しますよ」
ゲイムをクリアしたアルデルス・アルベルティナ(
r2p005760)のかんばせに、達成感や勝利の喜びの類は薄かった。仮想なれど死した仲間に、終鐘教会の気配――奴らはどうも参加者に接触しているようで、
プシュケーなどにも終鐘教会で教育された子供が入り込んでいるらしい。
(せめて……鏡花さん(
r2p001917)の保護が叶ったのは、幸いでしょうか……)
――クリアが叶っても快さを与えないゲイムを考案するとは、天使どもの脳味噌はほとほとゴミカスのようである。天使の気配が去った
遊園地で、天喰 洸(
r2p000027)は顔に伝う血を手の甲で拭った。
そっと見守る先では、メリーゴーランドの前で立ち尽くしている妻の背中。くるくる回る回転木馬のノスタルジックな音色。
(今は、……)
彼女に何か言葉をかけるべき時ではないのだろう。洸は隣にそっと並ぶと、彼女が一人ではないことを示すように、優しく肩を抱いた。
「れもん先輩に、おはようって言えてよかった」
月出 はゆる(
r2p008840)は安堵に微笑み、手渡してあげたハンカチでべしょべしょ涙をぬぐっている襲塚 れもん(
r2n000228)を見やる。彼女は『お客様』役だったのだ。
(……だが、
あんな白い顔もう二度と見たくはないな)
生きていてほしいと願う。こんな悪辣なゲイムのせいで、酷い目に遭ってほしくはないと思う。何時も不思議な事に巻き込まれる星の下に生まれている気がするけれども……まあ、そうなったらそうなったで、また助けてあげればいい。
「琳子さんと聖奈さんをを無事に墓へ送り届ける事、それが今回の私の役目です。
それが成功したのなら、私が倒れたことぐらい些細な問題です」
ルナ・エクリプス(
r2p003936)はそう言って。
護る為、
囮となって飛び出した。
その満月の瞳に、迫り来る氷の槍が映って。
でも、怖くはなかった。仲間が永遠に喪われてしまう方が、怖かった。
冷たい。熱い。少女の胸を貫く氷の槍。きらきら、氷の表面に血飛沫が咲いて踊って。
――
system log『仮想死亡』:ルナ・エクリプス
『――
ゲイムを終了します』
東雲・雪乃(
r2p000535)の体が、命が、喪われることはなかった。
ベアトリーチェ カルミーナ(
r2p004365)は変わらぬ涼やかな微笑みなれど、小さく小さく安堵の吐息をさりげなく吐いて。
『いざという時は、わたしが力になると約束したからね。雪乃ちゃんが生きて帰ってこられて良かったよ』
仮想死亡してしまった仲間はいる、けれど。それは完全な終わりではない。護り切れなかったことに悔しさこそあれど、今はゲイムクリアを祝おうか。
『マリィは無事だったよ。ケアも充分だろう。
……むしろ、ねいなの方が気になるが……』
拠点へと報告を行う朝倉 蓮(
r2p001946)は、先に帰ってしまった仲間のことを思う。空元気に隠れた苦しそうな感情が心配だ。
(……ままならないな)
溜息は呑み込んだ。今はこの戦域で仮想死亡が起きなかったこと、そして何よりマリィ・ニールセン(
r2n000016)が無事だったことに安堵を抱いておこう。先のことは、その時に解決すればいい。
――
6月6日。
この日、少しだけ曇った空は、明日にはまた青空になっているのだろうと、そう思わせる暖かさだった。
命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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