掌の中できらきらと、御魂石が輝いている。
「
オモカゲっちから八重のことよろしくねって言われちゃったしぃ~……ダチのダチはダチ的な~? マジやるしかないっしょ~」
手にした輝きを大事にしまいながら、明星 和心(
r2p002057)は先の戦いを思い返す。その中で、ジルギヴド(
r2p005685)へと告げた言葉を今一度リフレインさせた。
――「わっちの夢はさ……『皆で平和に幸せに暮らせる世界』なんだ」
(ゼッタイゼッタイ……有言実行するしぃ~!)
この岐阜での戦いは、和心の夢の大切な過程だ。短く深呼吸、ループする黄昏を見上げて。
「和心さん」
「あ、姫子っちじゃん~!」
ループから戻ってきた輝夜 姫子(
r2p000065)が和心に小さく手を振る。お互いに無事であることをまずは安堵すべきか。
――愛って、好きってなんですか?
その
問いかけはかつて居た場所で得られなかった答えを齎していた。知りたいと思った関係を聞いて、彼女がループさせたいと願った想いを聞いて。それを思い起こして姫子はぐっと胸の前で小さく拳を握りしめる。
(私の『勇気』は――届いたでしょうか)
声が届くなんて表面上のものではない。相手の奥深くまで、響いたのだろうか。全速力で飛び去って行った背を思い出し考える。
……と、その時である。「おーい」と向こう側から声が聞こえて、見やれば柏木 清志郎(
r2p000956)が、仲間達とやってくるのが見えた。清志郎をはじめ、誰も彼も酷い傷だ。和心も目を真ん丸にする。
「わっ……ちょ、大丈夫~!?」
「なんとか、な。死人はいない」
清志郎はそう答えて、一度後ろを見やる――追ってくる気配はないようだ。とはいえ戦地は戦地である、彼が油断を晒すことはない。
しかし、悪趣味な戦いだった。悪趣味な場面には何度も遭遇したことがあるが、それでも
アレは悪趣味と言わざるを得ない。
天使ベンジャミン、天使マリィ・ザ・ルーカー(
r2p003222)。
第八熾天使麾下の連中だ。連中に御魂石が、草薙神剣の力が渡るのは非常に危険だろう。
自分が倒れないことを喜んだ天使の顔が思い浮かぶ。嗚呼、長い戦いになりそうだ。途中で諦めるつもりなど毛先ほどもないが。
「みなさま、ここに……ぁ、怪我、が」
仲間たちの元へぱたぱたと花守 環(
r2p008178)が駆け寄る。彼女が傷へ手をかざせば、ひやりとした六花が苦痛を優しく攫って溶けていった。小さく息をついた清志郎が「そちらも」と短く問えば環が頷く。
御魂石の確保は果たした。だが厭離衆に囚われた禍神カガチは未だ彼らの手の内にある。
(カガチさまは、エニさまを守っているようにみえました)
守るために放たれた火は、環にとってとても怖いもので。けれどつめたい指先を伸ばしてでも助けたいと思ったから、きっと仲間たちもそうだったから、御魂石を手にすることができたのだ。
「ん。皆も御魂石を奪取できたみたいだね」
「ラピスさま」
ラピス・ニル(
r2p005759)は、否、ラピスと共にループの中へ進んだ者たちも傷だらけだ。だがその手に
宝珠が握られていることにほっと場の表情が明るくなる。
暴威の化身を求めた
天使は死に、
Graves(
r2p008337)は遠い空へと消えていった。次に相まみえる時は――。
(
彼女にとっては大切な人かもしれない。でも、立ちはだかるのならば敵。容赦なく倒すだけ)
たとえ恨まれようとも確かにその意思がラピスにはあった。今回も、次だってきっと変わらない。
御魂石は少しずつ集まろうとしている。けれどループへ飛び込んだ全ての者が帰還したわけではない。
残りの御魂石は、仲間達は。
気を揉めど待つことしかできない。せめてループの外側で、未だ戻らぬ者を待とう――。
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