――チュートリアルゲイム「完了」お疲れ様です! K.Y.R.I.E.の皆さんにチップが配布されました。
旧展示場要塞、タラリアがK.Y.R.I.E.の拠点として提供をしてくれたその場所に桜叶(
r2p008406)は立っている。
「……こんなアナウンスとか出るんですね」
土地を護る為に生きて来た
桜の精は展示場要塞内部に設置された多数のモニタを眺めている。
今現在、このシステムにインストールされているのはK.Y.R.I.E.がカタルモイと呼ばれるゲイムを攻略する為のお役立ちツールだと
彼は言っていた。
「本当に、普通に考えれば何も信頼は出来ないんですけれど。
でも、私は管理人と言う立場を与えられました。なんだか、ゲイムの立場のようなもので……だから、分かります。
このシステム――旧展示場要塞net.は本当にゲイム専用ツールとして準備されたものでしかありません」
「うん、軽く見た感じだと……チャットツールとか、あと、カタルモイのゲイムシステム連携をしてって感じかな」
志佐島 ニイナ(
r2p008403)はじっとモニタを眺めていた。先ほどのアナウンスメッセージを見る限り、ゲイム進行に関する情報は基本的にはこのシステムを通して配信されるようである。
「配信内容が面妖であるのは放置するべきかえ」
百鬼 奈鬼羅(
r2p008412)が不機嫌そうに問い掛ければ「なきらん、そう言わずに……」とニイナは困ったような笑みを浮かべた。
確かにゲイムルールとやらは煩雑で伝える気がないように思える上に、
おしえて❤フラメンコ先生などというコンテンツが連ら意識で増えている。
何が
第二回だ。その中で語られている情報も何処まで信用するべきか疑わしい。
「一先ず、チップのことは信用しても良いようです。こちらもK.Y.R.I.E.の皆さんとデバイスが紐づいているので」
桜叶は自身の腕に着けていたデバイス情報を宙へと投影する。
統一デバイスに登録されたチップ数が増加し、クリア報酬チップが適応されている。その上で
進軍時、軽度の隠匿状態を得るというボーナスまで増えているか。
「チュートリアルの戦闘でボーナスチップを得た方が居たはずです。
一つがこうした効果を有していたのと、あとは純粋に統一側に残ライフとして統一デバイスチップ側に吸収されたように見受けられます」
「タラちゃんってそういう所説明しないし、多分そうなんだねー?
ミルミルだっけ、誰々だっけ?」
「それから、
クワイエットドールとの戦闘でも多くの情報が得られた、と――顔色が悪そうじゃが」
話し合う三人の視線が一斉にK.Y.R.I.E.側へと注がれる。ぎこちない笑みを浮かべたのは嘉神 ハク(
r2n000008)、どこか茫然自失とした様子であったのはソフィーリア・ペンスフォード(
r2n000028)だろうか。
無理もない、と奈鬼羅は首を振った。
どちらも肉親がこのゲイムに関わっている。
一方は、生き別れの妹がコスモスを抱えており、もう一方は父親がゲイム参加者として敵対者となっていた。
「……一先ず、私たちはあのチュートリアルに参加して様々な思惑に触れた事となります。
先ほど、軽く旧展示場要塞net.を拝見しましたが『都立黑殘小学校教育研究会』、『どうぶつさんファミリー』、『イケイケバリアゲギャルぴっぴ~ぅちʖˋマジ、ナレヽ(キょぅ☆~』、『ティティフィティア』、『星導逆行』、『眩金のシンフォニア』……それから、『プシュケー』と言った組織の名称が一瞬だけ更新され、消えました」
立花 空葉(
r2n000034)はじっとモニタを見つめていた。見せつける意味があったのか、それともタラリアの単純なミスであるかは分からない。
「『眩金のシンフォニア』はサーカス団、それに他組織名称もチュートリアルで相対した組織のデータのように思えました、が……」
「プシュケーは僕が確認しています。新宿戦区に存在する推定人類コロニーです。
……地図を見る限り、此方とは距離がある。地下鉄等通路を利用しての移動を行っているのではないかとも推測されますが……人類コロニーと言えど、」
ハクが彼女たちが協力者となる事は難しいのではないか、とそう言いかけた時――何かが鳴き声を上げた。
叫声の如く。何某かの声が周辺に響き、一気に何かが飛翔する。
「ね、ねえ、あれ、なに……? ば、ばけもの……?」
瓦礫だらけであった第一戦区、台場。その中でも徒歩での23区内移動に適して居そうな
丸の内側への道。
されど、丸の内の障害となるのがあの奇妙なる存在か。
「分かりません。私たちも、何も。ただ……気が付いた時には電波塔の上に巣作りをしていたんです、あのバケモノ……」
桜叶は忌々しげに呟いた。その視線は相変わらずモニタに注がれ続けている。
「待って、化け物も気になりますが、旧展示場要塞net.の一部にデータインストールの表示が出てます。
……旧展示要塞net.を通して次のゲイム情報やミッションでも乗せるつもりなのでしょう。
なら、今だけは休息の時間かも知れません。突然の事ですから、少し落ち着く時間を取りましょう。
あまり急いても事を仕損じる可能性がありますから」
まだ幼気な少女に思える
管理人は「私、ここから動けない代わりに皆さんを絶対に守る自信があります」とそう笑った。
――プシュケーの子供たちは、きっとその手を払い除ける。
ハクはそんなことをぼんやりと思いながら「信頼しています」と彼らならば絶対に紡げやしない言葉を当たり前のように吐き出した。
「あの化け物に関しての偵察なども必要となる。それに、拠点周辺の事だって確認しておかなくては。
……一先ず、我々は調査攻略体制を整えましょう。皆さん、あの……チュートリアル、お疲れさまでした。
僕は、大丈夫、ですから。皆さんも傷を癒してください」
その言葉を聞いていたソフィーリアはずきずきと痛む胸を押さえてから「あ、そうだ……マシロ、に帰ったら
結斗のお見舞いしなくちゃ。四肢が動かなくなったって、言ってたから」とそう呟いた。
「だから、私が……頑張らなくっちゃね……全部、全部……」
命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
旧展示場要塞内「カタルモイ」専用ツールアクセス
