「世の中は七夕、だというのに妙なイベントを思いつくものですね。
……大方中央部の
セーフティーゾーンと呼んだ共有部を天の川と称したいだけなのかもしれませんが……」
そう笑ったのはマリアム・アルマ(
r2p006122)。その視線が向けられた先には不機嫌な表情をしたAlphard(
r2p005591)が立っている。
「それでも、参加せざるを得ないのだろう。ミッション・ロビンフット……だったか。
銀行強盗とは言いながらも相手の陣地から物品を盗み出す攻守を兼ねたゲームというのだから如何にも考えそうなものだ。
ゲイムマスターを名乗る男はこれをただの児戯としているのか? 聞いていたコフィンキーパーの方が好みだったが」
Alphardが嘆息すればマリアムは「それは同意いたします」と大きく頷いた。
二人は終鐘教会に名を連ねる者だ。それぞれが別の組織を率いて、全てを統括する教会にその名を共に並べているだけともいうべきか。
されど、此度の
第三区では協力体制にある。
この第三区が
決戦状態に移行すると聞き、他戦区を中心に戦闘を行っていた派閥が姿を見せた。
第二戦区でもその姿を見せたシパ・バルド、ゆめかわ軍、
仙豹。
それらとアルマ=ミラ修道院とアルコ・イリスは戦う必要性がある。
積極的攻勢ではないものの、この現状を見定めようとカタルモイッセオでの活躍も目覚ましい
図書館なども彼女たちにとっては無視できない存在か。
「誰かが死ぬ方が好み?
子供っぽい遊びのほうがいっそやりやすくないかな」
アーカディアVIII麾下に属する
焔狗を率いる少年はじっと二人の終末論者を見ていた。
Alphardはあまり彼を信頼していないのか訝し気な表情を浮かべ、マリアムはうっすらとその少年の出方を伺う様な視線をも投げかける。
彼がこのカタルモイで何を行いたいのか、を見定めようとする二人の女の視線は何とも居心地が悪い。少年――シュウリが嘆息した時。
汽笛の音が響いた。
汽笛――――とその音に顔を上げた三人は視線の先に一人の女が立っている事に気が付く。
「まあ、素敵なゲイムにご招待いただいたのですね。素晴らしい。
是非観戦させていただきましょう。指定席でよろしいのかしら。VIP席があれば良かったのですけれど。
おあいにく様、そちらは天の御遣い様方がご利用されているようですもの。原っぱで構いませんわ」
「
指導者……」
終鐘教会を率いる女はうっとりとした様子で微笑んだ。
第三区
決戦。ミッションロビンフット。その開催を告げるタラリアの声を聞いてから彼女はこの場にやってきたのだろうか。
「とても楽しみにしていますよ、ねえ?」
「そうだねえ! ヒルダちゃん!」
うきうきとした案内役ベルベルの声を聞いてからヒルダはうきうきとした様子で視線を向ける。
勢いよく駆けて行くのは壊速列車 ジャガーノート(
r2p007139)。
汽笛―――
「ふふ、終き鐘の音では無くて汽笛が聞こえますね。とても楽しい。うふふ、ふふふ」
ころころと笑っているヒルダにシュウリは奇妙な女だと視線をそっと投げた。
熾天使たちへと
擦り寄っているこの女がどの様な人間なのか、見定めておきたい、が。
視線が交わった。美しく微笑んだ女の唇が吊り上がる。
「共に、楽しみましょう? ねえ、貴方もお呼びになればよろしいのよ。
気になる方がいるのでしょう? 青い髪の……美しい、
空の名を冠する彼女。手を差し伸べて、救って差し上げればよいのです。
この汽笛の音ならば、きっと気付かれませんよ。
一度人間は死んだものだというならば、もう一度の生は世界を愛する天の御遣い様であってもよろしいでしょう。
ね、抱きしめてさしあげて。連れ去ってしまいましょう。我らが協力して差し上げても――」
「……手は、借りないよ」
「あれ~~? 振られてしまったね~~! ヒルダちゃん!」
「ええ、残念」
汽笛。
「……ふふ、素敵な音」
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