くるくる、くるくる。諏訪への道程。まるで同じ道を行くように歩き回っている。
その視線の先には同じように道に惑わされている
天使の姿もあっただろうか。
「僕達が拒まれているかも定かではないけれど、誰かの領地内って可能性があるなら警戒するに越したことはないよね。
……土地神のようなものか、それとも違ったものなのかは、分からないけれど」
複数の気配を感じるのだと、藤白 ユウ (
r2p001153)はそう呟いてから周囲を見回した。
無数の
目のようなものが見ている気配がする。何処からか、笑い声がする。くすくす、楽しげに笑う声に
呼ばれた気がしてからぴたりと足を止めて月城 ソラ(
r2p001474)は振り返った。
「―――
し、……。いや、いる訳がないんだ」
寧ろ化けて出てくれと願う人がいた。其の人に呼ばれたならばすぐにでも振り返ってその手を握り締めただろうに。
ソラが首を振って、その思いを引き剥がそうとする。あり得やしないものがどうしたって後ろ髪を引いて此方を見ているのだから。
くすくす、くすくす。誰かが笑っている。三日月を描いた唇の向こう側に歯というものは存在していないようにも見えた。
きょろきょろと黒くクレヨンで塗りつぶされたかのような瞳がどこかを見ている。何かが立っていることに気が付いてから雨宮 庚(
r2p000473)は「あちらを見に行きましょうか」と敢て、音無 沙織(
r2p000458)の手を優しく引いた。
ゆっくりと、恋人を振り返った沙織の頬が赤くなる。彼となら、どのよう場所であったって楽しい。周囲から感じる目線だって見せつけてやれと思えるほどの。
けれど、向かう場所は諏訪の筈。そして、道に迷う事なんて
道に沿っていればあり得ない筈なのに。
「え? 街道から外れてしまいませんか?」
「ああ、いいえ。少しだけ寄り道をしては如何でしょうか――」
庚は優しく沙織の手を引いて別方向へと歩き出した。ぐるりぐるりと渦を巻く黒い
眼が細められる。
あーあ。
何かが聞こえた気がした。今のはもしかすれば
幽霊なのだろうか。ぞっとした様子で小林 陽向 (
r2p000042) が息を飲む。
「え、ええと……? な、何か不思議なことが起きている……? 幽霊が居てもおかしくはないと、思ってたけど……」
これはこれで恐ろしく感じるものだ。名前を呼ばれているような、手を引っ張られているような、誰かが笑っているような。
その感覚は能力者だけではなく勾玉を探しにやって来たか、はたまた気配に誘われてやって来ただろう天使たちも同じだったのだろう。
「……天使が怯えているようでございますね」
ふと、見上げた麗月 (
r2p007446) に杜鵑 (
r2p000373) は頷いた。
「ここには神無月でも常に座す神か、若しくは土着の蛇神が居てもおかしくはないのじゃが。
さしずめ、鬼が出るか蛇が出るかと言ったところか……何しろ触らぬ神に祟りなしじゃ」
「では
相手が触ってきたなら?」
朗らかな様子で問い掛けた白縫 かがち (
r2p000825) に杜鵑は「それはそれ」とそう返す事しかできなかった。
どこからか唐突に叫ぶ
妹の声が聞こえて来たからだろう――
ずっと、何処からか気配がする。
何かが見ている。笑っている。後ろで手招いている。
おおい、おおい。
呼ぶ声にかがちは「はいはい」と軽く返した。そんなに、呼ぶなら惑わせるなと言いたくはなるが――ああ、ここには
何人居るのだろうか?
ロストアーカディア二周年!
