桑原 蜜樹(
r2p000191)が目を覚ましたのは第二戦区:浅草での
決戦が終結した時だった。
ぼんやりとしながらも蜜樹は周囲を見回す。
王狼の庭でのキングタワーは終結した――筈だ。
その最後までを確認できなかったのは彼が仮想死亡に陥っていたという原因がある。
(でも、
冬青から話を聞けた。
天使と人間のデバイスには明確な差異があって、人間が天使と戦いやすくなるようにと調整されているとは思っていた。
けれど、そうか。人間側の方が優遇されているなら、
この戦いでコスモスを人間に渡そうとしている……?)
痛む体を引きずるように起こした蜜樹に「あまり無理はされずとも」とそう声をかけたのはユアー ヴァレンタイン(
r2p000991)。
「え、ああ、ありがとう……」
「無事に第二戦区の
決戦が終結したようですね。
様々な派閥が顔を出していました。ティティフィティアにゆめかわ軍。ですが、都立黑殘小学校教育研究会だけは少しばかり様子が違う」
都立黑殘小学校教育研究会。その中心人物として知られているクワイエットドールの姿がこの決戦にはなかったのだ。
彼女たちの動きも慎重になってきているのだろう。何せ、ある派閥が実質解体状態となっているからだ。
「はー、疲れたね。シーさまも、皆も無事でよかった!
けど、
ベリルさんたちと戦ったどうぶつさんファミリーはかなり戦力を喪ったらしいんだ」
ベリル・ベリト・ベレト(
r2p000663)が言うどうぶつさんファミリーは離散し今現状の動向はまだ掴めていない。
これからどのような動きを見せるかは分からないがそれぞれが先ほどまでこの場に居た軍場 冬青(
r2n000257)に言わせれば「器用な奴は他派閥に行くし、そうじゃないやつは野良で暴れる」とのことである。
「これから、どうなるんだろね。皆……」
「そう、だな。死垂桜っていう天使の事も気になる」
呟いた蜜樹に応えたのは黐月 芒癸(
r2p005328)であった。
「こっちはなんとかゲイムクリア出来たよ。
死垂桜は
前のゲイムでの疲労があったのかあんまり本気ではなかったみたいだけど……それでも、死垂桜の
能力にも遂に辿り着けたみたいだ。それにしてもあの塔の数々は悪趣味だよねぇ。凌雲閣でも真似したつもりだったのかな」
思い起こすは浅草あちこちに生えている塔の様子。
無粋が極まると思えば、吐息を零してしまうもので――
「こういうのを試合には負けたが勝負には勝ったというのでしょうか」
戦果を振り返り、黒緋 三四郎(
r2p003226)は思う。
劔醒会と名乗った終末論者組織やティティフィティア、それにブレンダーズと都立黑殘小学校教育研究会を含む王狼の庭、旧上野公園エリアに次ぐ収容人数の戦いも終わりを迎えた。
ゲームの結果だけで言えば、それは手痛い敗北というしかないだろう。
だが、
何やら物知り顔をする龍人の娘から聞かされた情報には価値がある。
デートの誘いのお礼にと齎されたヒントだ。
――
危ない道具は箱に閉まっておきたくはない? 爆発する心配のない、とっておきの箱に。
(……恐らく、彼女の言った箱、は何か物質的なのではないでしょうか? 敢えて我々にヒントとして言ったのなら――)
ふと、顔を上げれば上空に映像が映し出される。
朗らかな微笑みを浮かべた座天使タラリアはいつもの如く誰の気持ちも知ったつもりもないような晴れやかさであっただろう。
『やあ、諸君! 第二戦区の勝利おめでとう!
皆にはきちんとボーナスチップの配布を行っておくからよろしく頼むよ。
ああ、それからK.Y.R.I.E.諸君は
次に行く場所が定まったようだね。ん? ふふふ、ああ、そうか。成程ね。
サンショウウオって言う生物を知っているかい? サラマンダー? 私はその辺りの伝承には詳しくはないんだけれどね!
それがなんだって? オオサンショウウオではないサンショウウオの仲間は他の生物が掘った穴の中などに生息するらしい。
案外、見えない
地中には様々な生物がすんでいるのかもしれないね。ああ、楽しみだな、なんて』
『タラリア。動物の話はどうでもいいわ』
『ああ、そうだね。あ、因みに流水で育つサンショウウオもいるんだと。
どうして因んだかって? 君達と良い夏を送りたいなと思っ――ああ、メイ。拗ねないでくれ。次の絵本を読もう。それじゃ、また』
映像が掻き消えたかと思えば、茫然とした様子でタブレットを抱えていた嘉神 ハク(
r2n000008)が能力者達を見遣った。
「……お帰りなさい。その、皆さんの尽力のお陰で第二戦区の報酬が統一デバイスに反映したようです。
一先ずは次回作戦開始まで体を癒してください。湘南の方で海開きをすると、マシロ市から伝達がありましたから、ね」
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