空白地帯多摩:南街。その地はフォーカポーカと呼ばれたアザーバイド達によって
汚染されていた区画であった。
種の長でもあっただいだいおうが撃破され、この地を拠点としていた
天使が立ち去った後、煙たく重苦しかった空気は幾分か和らいだという。すっかりとフォーカポーカによる汚染状態が和らいでからと言うもののその地を探索するアザーバイド達の数も増えた。
そんな南街を拠点としている
異世界からの来訪者、錬金術師ロウは
彩心石と呼ばれる研究を進めている。
硝子の器に魔力を込め、宝玉へと変化させる。その過程でアザーバイド「エーデレッセン」がそうして見せたように人の心を入れ込むのだ。あちらはそれを取り出し喰らうてしまったが、ロウの研究では心を掬う様に色彩だけを抽出し、心身への影響が及ばぬ様にと気を配ったものである。ロウの研究協力の見返りとして彩心石が配られる為、一種のアクセサリーとしても用いられているらしい。
「彩心石もアザーバイド達にすっかり人気ね、ロウ。
仲良しの相手とそれを交換し合ってブローチに加工しあうんだって?
蟻の巣の寮服にお互いの色彩を飾ってみるってのもアザーバイドの中ではブームらしいのよ。
宝飾屋がそう言ってた」
くすくすと小さく笑った葛井 キセイ(
r2p009062)は「ノエ、あたしと交換する?」とそう問い掛ける。
いつもの通りおざなりにまとめ上げた長髪を風で遊ばせていた
魔術師は「オレとですか」と肩を竦めた。
「キセイさん、別にオレの心が欲しいだなんて、そんなこと思っても居ないでしょう。揶揄ってはいけませんよ」
「本気にしてくれても良かったけれど?」
「しませんよ。手元で情報を纏めている女性がオレにまるで興味もないこと位一目で分かる」
揶揄うようにそう言ったノエ(
r2n000225)はキセイが今現在手元でまとめあげている情報を眺めていた。
相模原では
花蝕障に対する調査が行われている。K.Y.R.I.E.側との連携を行っている多摩も
それなりに情報が集まってきた事だろう。
「濃霧だらけで先が見えないって話だろう。
防御障壁がある内には魔力汚染は広がらないだろうが、その大本に近づかない事には解決のしようもない」
「そうですね……。濃霧の先に向かってみる、という調査を続けなくてはなりませんね。ロウ、キセイさん。そろそろ
どうですか」
その問いかけにロウとキセイは顔を見合わせて大きく頷き合った。
湖面に揺らぐ花々からも汚染は見られる。水中には眠気を誘発する何等かが存在している。
KPAとの連携によりある程度の神秘的汚染低減装置「KPA-MSW-002・フラワーガーデン」を搭載しているKPA-MS-008・オフィーリアの耐久性も分かってきた。
ロウとしては雀居 影臣(
r2n000218)の聖釘技術とKPAの技術を合わせて作られたというフラワーガーデンが気にかかるものだが、企業秘密と言われていないからには後々そちらに対してもより研究と改良を進めたいものだ。
「ロウ、もしも良いというならば少し進んでみませんか。濃霧の先へと少しずつ、ですが」
「奥空はとりあえず乗せていけ。あと、マシロの元アイドルってやつとカゲオミはセットにすればいい」
「奏音さんをヒーラーに。柘榴さんがアタッカーでカゲオミさんが設備の確認等のサポーターですね。あと、オレでしょうか」
ロウは「私とキセイで良い」とそう鼻先で言った。少しばかり進んだ位置を確認してからK.Y.R.I.E.という
協力者に連絡をする。事前調査段階は情報屋であるキセイたちの役割だという事だろう。
「……まァ、進む決断が出来たのはK.Y.R.I.E.のお陰だな。さて、摩訶不思議な花の湖に漕ぎ出でてみるか」
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