#0173

あつまれ、キャンプ合宿2053!

 ここはマシロ市から大岡川を挟んだ北部の地、野毛山エリア。ここは戦前から残された廃墟街が緑に浸蝕さ――。
「カッカッカ、カピーーーーーーーーーーーー!」
「ドシタドシタドシタドシタドシタドシタ――」
「シャァァァアアアアッ! シャァァァァァァァッ!」
「モオオオオオオオ! ブモオオォォォオオオ!」
 おねがい、帰らないで。地獄の動物園見学会が始まったわけじゃないから。
 その証拠に九美上 こひな(r2n000071)はみどりいっぱいの空気を吸い込んで組んだ両手で背伸びをしていたから。
 ぱあっと花が咲くような笑顔をうかべ、深呼吸を終えたこひなは腕を降ろす。
「野毛山もすっかり安全になったねぇ。ほら見て、光ケーブルを食べるロバ!」
 顔をあげ、ケーブルをもっしゃもっしゃしているロバのサヴェージ。それを指さしてこひなは幼い少女のように笑っている。
「そうだね。この一年みんなで頑張ったから」
 匂坂 愛(r2n000011)もほっこりした顔で電線を食べるオカピを眺めている。
 この文体だと愛がほっこりしているのかオカピがほっこりしているのか分からないと思うが、指しているのは両方である。
 実に平和な、そしてどうかしてる光景であった。あとオカピはカピーとは鳴かない。
「けど気をつけてね。天使やサヴェージの掃討がかなり進んだって言っても、まだこの辺りには危険が残ってるんだから」
 地面にはえた花をつまみあげて太陽にすかしていたこひなが、わかってるようと言って頬を膨らます。
「でも、危険度は蒔田島と同じくらいでしょ? 町田の方に比べたらずーっと安全だよ」
「まーねー」
 同じく花をすかして太陽を見る愛。
 天使から身を守るためにマシロ市に籠もって訓練と勉強ばかりしていた頃とは大違いだ。市外へ出て、自分の足で歩いて、花を摘んで笑っている。
 本来望む未来の姿はもっともっと先にあるのかもしれないけれど、これもまた自分達の掴んだ平和な未来のひとつなのだと……肌をぽかぽかと温める太陽の光に思う。
「それじゃあ――」
 花を降ろすと、こひなは足元においていた大きなキャンプグッズに視線を向けた。
 入っているのは可愛らしいピンクのテントにレジャーシート。折り畳み式のバーベキューセットと高級肉を一通り詰め込んだ食材たち。そしてその他諸々のキャンプグッズだ。
「はじめよっか。2053年の、キャンプ合宿!」
ワールドトピックスいま世界で起きていること
過去のトピックス

キャンプ合宿2053が始まりました!

2053年5月15日

房総半島調査航海計画が始まりました!

2053年5月8日

鎌倉の戦力が襲撃されています!! 『崩落のセレニテ』が始まりました!!

2053年5月4日