ひび割れた端末が、東京の空を映している。
蜘蛛の巣のような亀裂の奥には、とある二人の絆の記録。けれどそれが更新されることは、もう、二度と、ない。
「存分に僕を怨むが良いさ、タナトシ。
僕だって君の事──ずっと、許してないんだからね」
虚ろに開かれていたタナトシの目を掌で閉ざして、一桜(
r2p000220)はそう呟いた。
仮初めであったとはいえ、彼は一桜の
大切な人の命を目の前で奪った――だから一桜は、覚悟と信念を以てタナトシの命を摘んだ。
「それに。……君の大切なひとは、ちゃんと無事なんだ」
――プシュケーに合流できたよ。
端末の、そんなメッセージを見下ろして。
タナトシの顔が安らかなのは、マコの無事を見届けたからだろう。
「はあ、……」
奪うばかりのゲイムに、一桜は深く息を吐く。早く終わってほしい。ずっとそればかり思っている。
風が流れた。
少しずつ渋谷の街が静かになっていくのは、戦いが終わっていくからで。
び、と。
蜂須賀 タクヤ(
r2p000055)は刀を振るって血を払って、肘に挟んで刀身を拭い、それを鞘へと納める。その「ぱちん」という音すら耳に届くほど、ここは静かだ。さっきまでの熱狂が、ロックンロールが、終わらないかのようなフィーバーが、全部ぜんぶ嘘みたいだ。
「生き残った方が、これからも世界に中指を突き立てて生きていく。……約束だ。忘れない」
天使ココは倒れきる前に光の塵となった。ギャルが地面に倒れるなんて不格好だと言わんばかり、その最期まで変わらなかった有様にタクヤは心から敬意を贈る。
強いひとだった。こんな最悪な世界で。クソみたいに壊れた世界で。何もかもが最低の世界で。そんな世界で「ウケる」と笑って、抗って。自分はあんな風に生きられるだろうか。そんなことを思った。
――まだ全ては終わっていない。
拠点へ戻る者。残る戦線に向かう者。スナーク狩りに向かう者。銘々、まだゲイムは続いている。
アスファルトに散った赤に、白い塩が降っていた。
命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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