「東京方面の
決勝戦は成り行きを見守るしかなさそうね。
……第八熾天使陣営が一枚噛んできたって言うならそちらにも注意が必要そうだけれど」
悩まし気に告げる天羽・アオイ(
r2n000026)の頬をぷにりぷにりと突く小さな指先は真面目な彼女の思考を害する。
先ほどまでK.Y.R.I.E.所属の
能力者として真面目な戦況分析と、各戦場の状況整理を行っていたアオイの思考は瞬く間に傍らで自慢げな顔をする友達に染まり上がった。
「るうあ……」
「んひひ~い、アオちゃん先輩は真面目ですねえ。るうあも真面目ですけど」
「嘘仰いな、だって、今私の頬っぺたぶにぶにしてたじゃない」
「つんつくです。つんつく、つんつく。東京も心配ですけど、相模原の方もデータの収集頑張ってるんで褒めてもらいたくって」
えっへんと胸を張ったのは地下実験区アガルタ食物研究課の研究者として所属をしているるうあ(
r2n000029)であった。
彼女の言う通り相模原地区は
花蝕障と呼ばれる何某かによる影響が強く出ている。
魔力汚染と呼ばれるべきそれの調査が為に青い洞窟内にて
夢の花に対するアプローチを行っていた。
多摩南地区の錬金術師ロウ、多摩中央街代行政府のノエ、そしてKPAを中心とした調査もデータが
それなりに揃い始めているらしい。次に進むべきは隠されてしまっている相模原の
花の都への潜入方法の探索なのだが――
「進んでる? るうあ」
「勿論ですよ、アオちゃん先輩! 集めたデータから
観測装置を作る計画が進んでいます。
それがあれば夢路を辿ってドロスに辿り着けるのでは! と思っていたんですが、それよりも心配事がありますね」
「……御津那海ね。
カランフィルと焔狗が東京に
観戦に来ているのはさて置いても御津那海事態を放置したとは思えないわ。
寧ろ、彼女が居なくても問題がない状態になっているとみるべきかしら」
アオイが暗い表情浮かべればるうあは「アオちゃん先輩も神様パワァ~ってしませんか?」と首を傾げた。
神様パワーだなんて、と少しばかり上擦ったようにそう言ったアオイにるうあがへらりと笑う。
「
祇化は神様の力を借りる事です。るうあは無神論者でしたが、お父さんが神社の息子だったので、神様っていいモンだって思ってるんですよ。
皆さんが神様の力を借りて、御津那海でどかぁーんばきーんと活躍したら……きっと良い事になるって思いません?」
あっけらかんと、明るく告げたるうあにアオイは「そうかもね」とそう言った。
祇化、だけならば、八百万の神々に力を借りるという意味になるだろう。
――されど、呪創とは何か? 名の通りそれは
神の痕だ。マーキングのようなものである。
神隠しという言葉があるように、神と呼ぶべきは人の子の尺度とは違う。時に理不尽で身勝手に思えるような動きをするだろうが、それはそれが神と呼ばれるが故であろう。
気まぐれで、身勝手にも思えるというのは人間側の勝手な思い込みや馬鹿げたスケールによるもの、ではあるのだが。
「……そうね、善い神様がお力を貸してくれて何もないといいのだけれど」
遥か遠い御津那海、旧岐阜県と呼ばれたその場所で誰もが無事でその地を救うことが出来るようにと、アオイはそう願わずにはいられない。
少し痛んだ気がする
脚を撫でてからアオイは嘆息する。
「御津那海の第八熾天使派が……嫌な動きをしなければいいのだけれど……」
第八熾天使が降臨しているとされる京都はかの地からは近い――アオイはぎゅ、とおのれの拳を作り上げてから、顔を上げ。
「ぷっぺ~~~~~」
妙な仮面をかぶってアオイに笑顔を与えようとするるうあに気がついて吹き出した。
「る、るるるるる、るうあ、それなに?」
「パプアニューギニアのマスクカーニバルごっこです。それに付き合ってくれているこちらは大根の俊郎。あと、こっちがセクシーニンジンの安曇子ちゃんです」
「も、もう! そう言う場合じゃ、ふ、ふふふ……ああ、もう……ね、戦い終わったらマスクカーニバルごっこする?
学園長先生も巻き込んで、クリスマスのホリデーシーズンを練り歩くのよ。面白そうじゃない?」
「サンタクロース争奪戦しましょう! 誰が一番サンタクロースにぴったりなのか、です!」
二人は顔を見合わせて、ただ、ただ、笑った。秋晴れの、穏やかな午後のことだった。
※東京編決戦『ラスト・ゲイム:アルケー』が開始されました――!
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