「ヤァ、ヤァ! 会いたかったよ、楽唯クン! 何か面白い事でもあったカナ?」
軽やかにそう言ったタブー=ジャンドゥーヤ(
r2p004263)を振り返った動転坂 楽唯(
r2p004427) は「ああ、盟友ではないか!」と芝居がかった口調で声をかけた。
魔術師集団テオフィロ――その
構成員の中でも最も合わせてはならないペアというのがこの二人だろう。
一方はと言えば劇場型詐欺師を自称し、場を物語のように仕立て上げた上で言葉巧みに人の人生を壊すことを好む男。
そしてもう一方はと言えば
芸術家である。人間をカンバスと称する都市伝説の怪人そのものであった。今は多摩西街にその身を寄せ
茨の紡ぎ車の
画廊主として作品の披露を続けているらしい。
ひとでなし同士、顔を合わせたのは空白地帯多摩の東街であったのは偶然ではないだろう。
「諏訪の事が気になって来る頃かと思ってね。元気そうだ何よりだよ、タブー君」
「元気ダヨ! 素晴らしいカンバスを手に入れたんダヨネッ!
芸術も大爆発ッッダ!
ジオクンも全く素晴らしい素材を提供してくれるのサ。楽しくて、楽しくて――ついつい、
テオフィロの事は忘れてしまっていたカナ?」
「はは! 仕方がない! 僕だってそうだ。そもそも、我々はそう言う集団だろう?
自分の利益追求こそを第一としているのだからね。ああ、それでも盟友を一人喪ってしまったのは……悲しい事ではあったかな」
「ああ、聞いたヨ。
バルタザールクンだろう? 悲しいネ。
……けれど、御津那海に
2つも集まったというのならば良い事ダ! 勾玉は
容れ物の役割だろうから、その本質は東京で発揮されるのかもしれないけれど――ああ、東京は?」
「……ナンイドナイトメア君たちの狩り場だね。あちらも少し動きがあったようだけれど……どうだろうか。
噂話ではK.Y.R.I.E.が目をかけているという人類派閥が独立的な動きを見せ始めたとか? K.Y.R.I.E.が先に抑えるよりも前に1区画を押さえて有力候補になっておけばと言う事だろうね!」
「ナ~ルホド?」
「K.Y.R.I.E.が辿り着く前にモイッセオとやらでの有力株として隣接地帯の勝者になっておけば彼らも
K.Y.R.I.E.と対等に戦えるという訳さ」
訳知り顔でそう言った楽唯の言葉をタブーは可笑しそうに聞いていた。東京と言うのは非常に愉快な場所だ。――されど、そちらで
芸術活動を行うような気持ちにはならない。
ただ、話半分、ネタとして聞いている程度がタブーにとっては一番であったのだろう。
「それで、だ。君はどうだい?」
「多摩西街は最近は穏やかだけれど、どうにも相模原がきな臭いンダ。
魔女も元気そうだよネ」
楽しげにそう言ったタブーは「南と中央が落ち着いてしまったから楽しみが減ってしまったのだけれド」と付け加えてから囁く。
「――あの魔女たち、東京にも友人を派遣しているそうだヨ。知ってる? 確か」
和魂同塵紫雲の会。
そう囁いたタブーはにんまりと笑ってから「会えるとイイネ。彼女達にも」とそう言った。
「まさか。会いたくもない! だって相模原の魔女たちは排他的じゃないか。僕が挨拶に行ったら殺されてしまうよ!」
男はそう笑ってからタブーへと手土産を手渡した。諏訪地方で拾ったという神の力が宿ったという小さな石は、タブーと言う芸術家にとっては只の我楽多でしかなかったのかもしれない。
「それじゃあ、また話そうか? タブー君」
「アァッ! キミが生きていたらネ?」
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