「はー、すごいなぁ!
此処が甲府か!」
大きくうなづいて。太陽よりにも負けないくらいにキラキラとした笑顔を浮かべて。
メロディアス・ハイギャラクシア(
r2n000110)は、陽光に輝く甲府の湖と大地を見つめていた。
甲府。人類の手にした新たなフロンティア。
……或いは、
再征服果たし、取り戻した人類の大地。
でも――それは、かつての光景とは、まるで違ったものだったに違いない。
街は水没し、かつての人類の跡地は、湖底より水面を眺めるだけになっている。メロディアスは、かつての甲府を見たことがあっただろうか? もしそうなら、その変貌ぶりに驚いていたのかもしれない。
「甲府といえば、あれだろう?
ほうとうが名物なんだろう!?
歩くのかな!?」
どうやら知識が偏っているようだ。七井あむ(
r2n000094)は、「おもろ」と笑ってから、メロディアスに返した。
「ほうとうは走らんだろー。
……はしらんよな?」
「わかりませんの、あむちゃま」
うんうん、と訳知り顔で言うのは、VALKYRIE(
r2n000098)である。むむむー、とこめかみに頭を当てて、無線通信の状態を確かめ、データベースと接続。検索を開始する。
「アガルタでは、ごぼうやホウレン草、ニンジンやASMRだいこんが走り回っていましたの。
わんちゃん、ほうとうが走っている可能性もありますの。
O.R.A.C.L.Eも言っていましたの!
『そこで走っていれば走っていますね』
って――」
「ぐわー、イレイサーによって、世界はこんなにも変わってしまったー」
あむが適当なノリつっこみをしながら、周辺に視線を巡らせる。この辺りは比較的安全が確認されている地域だ。アガルタもKPAと協力し、精力的に観測と調査機器や施設を設置。ここに人類の新たな観測地を築くべく、レイヴンズたちに、新たな依頼を発布する事であろう。
「……また、いっぽ、ぼくたちは人類の版図を広げたわけだ。
……そこになにがまっているのかな」
あむが、少しだけ楽し気に。そして少しだけ心配そうに笑う。未来は不確定にもほどがある。だが、それでも――歩き続けなければ、僕たちは生きてはいけないのだ。
「あっ、見てくれ、レイヴンズ! あむ! きりー! 野生のほうとうだ!」
「野生のほうとうはおらんだろ……」
メロディアスが指をさす先に、なんかくねくねした白いのがいた。あむがこめかみに手をやる。
「それあれだよ、触手だよ」
「しょくしゅ……? しってますの! ETDとかにいた奴ですの!」
「なるほど! ほうとうはETDにいるのか! あ、みろ、レイヴンズ! ほうとうがほうとうをのばしてきたぞ!
……ひゃっ! ほうとうがほうとうをのばして、我にふれてきたぞ!」
「だからそれ触手だってば」
「ちがいますの! データ的にあれはほうとうですの!」
「つまり触手でほうとうで……? いや、まって? なんか楽しくなってきた。
ちょっとデータ取るか?」
「わーっ! ほうとうがほうとうでほうとうしてきたぞ!
レイヴンズ! ちょ、助けて! 我、ほうとうされてしまう!!」
ぎゃあぎゃあと皆が騒ぎ出したので、あなたは苦笑しながら駆けだした。
世界は変わらずおかしなままだけど、でも僕たちはこの世界で生きていくのだ。
甲府アガルタ観測所より、依頼が届き始めました――!
ロストアーカディア二周年!
