「び、びいい」
息を切らし、伝令役として襲塚 れもん(
r2n000228)が駆けてくる。
「な、なんとか! 勝利しました……! ねっ、勝ちです!」
拳をぶんぶんと振り上げている少女はもう片方の手には電子端末を握り締めていた。
――勝敗についてのデータを更新しますか?
淡々と問い掛けるヴァルキリーにれもんが不安を感じながらも共にこの場までやってきたロロ=ヴァントーズ(
r2p003282)を見遣る。
「……うん、此方の勝利、と入力してくれるかな。
レリウスと名乗った姫の従者についての情報も」
遠巻きに近寄ってくる汽笛の音色にロロは顔を上げる。
暴走し続けるジャガーノートは
第三戦区ではお邪魔虫の役割であったか。
しかし、それはまだ討伐されていない。黒煙が立ち上り、徐々に近づいてくる。
「一歩、後ろへ」
そう言ったElaine Willy(
r2p000291)を振り向いてから大きな瞳をぱちくりとさせたれもんは「ギャッ」と叫んでその場から飛び退いた。
爪先すれすれの位置を勢いよく通り過ぎていくジャガーノートをElaineは鋭い目つきで見送ってゆく。
「こちらもゲイムをクリアしましたので報告に参りました。
中央の塔に鍵を3つ……。
ええ、図書館、終鐘教会、仙豹、シパ・バルド、そしてアーカディアVIIIに連なるという焔狗。
こうも様々な派閥が入り乱れてくるとこのカタルモイにも変化を感じるというものです」
事象の観測にやって来ただろう図書館。
非魔術師の排斥を目的としたシパ・バルド。
塩の天使『メイ』を敬愛しているような素振りを見せた仙豹。
コスモスの奪取を目的としながらも様々な思惑が交錯する終鐘教会。
そして――アーカディアVIIIに連なるとされる焔狗。
「――大丈夫だよ、安心して。地続きだった今、空葉ぱいせんが思う未来に向かおうぜ。
のんは、
空葉先輩に何かあれば『ちゃんと』殺してあげるつもりだからさ」
そう日ノ空 暖(
r2p007641)は立花 空葉(
r2n000034)へと告げただろうか。
一緒に背負ってくれるのも、共に戦ってくれるのも、背中を押してくれるのも嬉しかった。
それでも、それ以上に空葉にとってのそれは胸がすくようだった。
「のんさん!」
「あっ! れもんぱいせんだ。ぶいっ! のんたちも勝ってきたよ」
てってっとれもんの方へと走って行った暖がそう言えばれもんは安心したように安堵の胸をなでおろす。
「……このゲームは人間が勝てるように出来ている。天使――特にボクらはその逆だ」
ぽそりとそう呟いた空葉にれもんがきょとんとした顔を浮かべる。
「いえ――汽笛が遠ざかっていきますね」
そう、彼女が言うとおり、汽笛は遠ざかってゆく。
大穴を開いた
地下鉄駅へと吸い込まれるように姿を消したジャガーノートを見送ってかられもんはぽつねんと呟いた。
「地下鉄……もう少ししたら、あそこに探索に、いくんですよね……?」
果たしてどこに繋がっているのか。地下迷宮に潜むは何か――それはまだ知れず。
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命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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