レティクル越しの世界は、ミア・レイフィールド(
r2p000284)には見慣れたもので――ある種、
いつもの風景だった。
赤い瞳が捉えるは天使の掌上。禍神へと転じてしまった諏訪の精霊を支配する忌まわしきもの、『幽石』。
――壊さなければ洗脳が解けないにゃら、撃ち抜いてみせるにゃ!
雷撃の如き一撃は、白い世界に銃声を響かせて。放たれた弾丸は
そうなる運命だったかのように、幽石を穿ち砕く。
「当たったにゃー。外すつもりはなかったけどにゃ」
ひとり、またひとり、精霊の心を取り戻す。
――喪失は悲しい。つらい。心が痛くて堪らない。だから蜂須賀 タクヤ(
r2p000055)は無銘の刃を振るうのだ、
友達にそんな痛みを味わってほしくないから。
(全員助けてみせる! 二度と退かない! 二度と逃げない!)
もう大丈夫。ここにいるのだと、共にいるのだとこの剣閃に込めよう。
かくてまた、一つの戦いが終わって。
「よかった、……」
仙道・琴里(
r2p000460)は
祟りの神より断ち切られた陰の気に、ほっと息を吐いて刃を下ろした。天罰覿面、因果応報、悪い事をしたら悪い事が返ってくる――ならば良い事をしたら良い事が返ってこなければ嘘だろう。
祟り神の巫女の、小さな背中を優しく見守る。彼らがこれからどうするのかは分からないが、その未来が幸せであることを心から祈る。
さて、彼女だけでは神様をひきずっていくのは大変だろう。というか、引きずったら祟られるかもしれないし。だから琴里は、ほたるへと。
「帰りましょうか。彼を運ぶの、手伝いますよ」
その一方で――伽藍堂 夢窮斎(
r2p004822)の周囲を包む空気は重く、
苦々しいものだった。辛うじて秘密結社『Theophilosテオフィロ』の一員は退けられたものの……。
「私達は最善を尽くしたんだ。何ら恥じることはないよ」
夢窮斎の言う通り、レイヴンズはやれることをやった。最善を目指して尽力した。けれどそこには沈黙がある。その足元は彼岸花が消えて、血肉で染まった雪原が残酷に広がっている。厭離衆。連中の思想は、看過できるものではないか……。
――冬が溶けていく。
肌を刺す冷たさが、少しずつほどけていく。
「精霊に、憐 憫の念を向 けられるほど、人間は脆弱では、ありませ ん。 そうで なければ、世界など、とうに、滅んで いる」
メテムサイコシス(
r2p001139)が立っているのは、陰の気が祓われた穏やかな花畑。そして見守るのは、
抱き合う精霊の姉妹だった。
「見 届けな さい。これから、姉ととも に」
溶けた雪がきらきら、宝石が散りばめられたかのように瞬いている。
優しく吹いた風は、夏めく薫風のにおいがした。
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