東京、渋谷。
かつては若者達のトレンドの街として賑わっていたそこは、全て全て朽ち果てて。
無人のファッションビルの朽ちた
三桁が見下ろしているのは――
カタルモイ・ラストゲイム『アルケー』。
「はは、
死ね、か。そうだね、君たちだけが死ぬなんて、それは不公平かもしれない。本当は天使も含めこの世界にいる全員が死んでしまうのが皆の幸せなのかもしれないね」
塩の雨が命を冒していく中で、鳥飼 茜(
r2p001487)は笑った。
「それでも、私はここで死ねない。私にはここで君たちと一緒に死んであげるだけの理由は無いんだ」
血のちおいを携えて、広げるは緋色の翼。天使らのジュブナイルは、今日でおしまい。
「愛するもの、生きる意味。それを見つけて尚、まだうさぎの親友の慟哭を望むというなら――そのような残虐劇はこのうさぎが、享楽の魔女が否定しましょう」
グランギニョル。エトランゼ。相対する天使に、卯槻 咲月(
r2p000433)は微笑んでみせよう。大地の化身は――
人間と出会うまでは愛なんて知らなかった。ある意味では、彼我は同じ。だけど咲月が望むものはハッピーエンド、謳うは享楽。笑って指を鳴らせば、不思議な魔法のはじまりはじまり!
一方で響く笑い声は――
道化師の狂笑。
「気に入らない奴を殴るのはスカッとするよ! 僕は今、とっても気持ちいい!」
その狂笑を、時頃田 ツバメ(
r2p000108)はどこ吹く風と嘲笑う。貧乏神的には損してなんぼ、損させてなんぼ。借金取りと不運からは、何者たりとも逃れられない――吹かせる風はあらゆるものを摩耗させる、飢餓風の如く。硬い鎧もタフな体も、衰弱には敵うまい!
サーカスのショウもここで終わりだ。
「ここで負ける訳にはいきません。
終止符を、打たせていただきます」
月光のロザリオを手に、セレーネ・ローザ・フォレスティ(
r2p000402)はサーカス団へと立ちはだかる。今日、ここが、カーテンコールだ。この戦いでは仮想死亡という
安全装置も存在しない。ゆえに、全身全霊を以て福音を響かせよう。それは敵対者の心を震わせ、仲間には治癒となり、激戦を見守る瓦礫へと染み込んでいく。
これで最後。セレーネはその目に焼き付ける。サーカスの華やかさを、
白詰草の天使を。
嗚呼、空が代わりに泣いているかのよう。「せめて悔いの残らない結果になればいいのですが」――心の中で呟いた。セレーネにできることはもう、できることをやりつくすだけだから。
罪と罰。閻 魁命(
r2p004349)には辟易としてしまう話だ。そして目の前の天使が、殺傷を善と指すのであれば……かつての世界で手を血に染めた魁命は、
とびきりいい子だ。
「――より
良い子になることを目指すとしよう。己の芸と吾が呪舞、何方が愉しいか皆に披露して比べてみぬか?
案ずるな、
キゼルよ……狂った心のまま、其の命を終わらせてやる。
自身が誰を葬ったなど忘れてしまい、安らかに眠るが良い!」
華やかに紙吹雪が散る。
それは塩の雪に触れて、消えていく。
「
ここで終演や! 他人の感情を勝手に自分のもんにするんやないで! ウチら全員、生きて帰ったるわ!」
決着をつけよう。スン・ウーコン(
r2p000154)は空を駆け、空より双魔銃
金角・
銀角を天使へと構えた。道化は演じるものであって、成るものではない。さあ、もう、これでお仕舞。
「姫さんにも伝えとき! アンコールはもうないで!」
「おぬしの現世での公演もここまでじゃ。今宵は千秋楽。互いに全てを出し切ろうではないか」
怒れる大百足を、唸る狼神を従えて、杜鵑(
r2p000373)は
天使クラウン・クラウへと相対する。命のやり取りすらも道楽ならば、いっそう楽しくやろうじゃないか。そして、最後まで立っていることならば杜鵑の得意分野で。
「目を逸らすな、クラウ。そこに
声援を送り続ける熱心な
愛好者が居る以上、おぬしに目を逸らす事は許されんぞ。男児たるもの、最期くらい漢気を見せい!」
激戦、怒号。
大気を劈くはバンダースナッチの叫び声。
コスモスの影響下で
荒れ狂う怪物の目に映るのは、絵空 白紅(
r2p000568)が描いた太陽で――
「朽ちる運命ならば、せめて静穏な日々を過ごしてもらいたいものですが……この地に生きる時点でそれを願うのは酷ですね」
なればこそ、このゲイムを終わらせよう。この地で生き、戦い、朽ちた全ての命の為にも。ゆえに止まってなどいられない。その想いを表すように、白紅の筆は描き続ける。
「此度の戦い、切り抜けさせていただきましょうか……!」
塩の雨は降り続ける。
それは存在を白紙にしていく呪いの色。有明 穂波(
r2p006120)から、思い出が抜け落ちていく。無力感だけが残っていく。
(ボクは……本当にあの時からなすべき事を為せていたの……?)
わからない。だけど、それがわからないまま消えていくなんて嫌だ。稲妻のベースを構える。こんなところで消えられない。
だから世界に、音を刻む。
「グリーナーズに戻るためにも、ボクは動き続ける!」
駆け抜ける。戦い続ける。
どんな天使にも、怪物にも、穂波は止められない。
――
音楽は殺せない。簡単にやられて音を止めてしまってなるものか。
これは穂波の、穂波達の意地だから。
「みんな、行こう! 今日だけのスペシャルライブ、オン・ステージだ!」
命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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