「
悪趣味墓守ごっこは楽しかった?」
「楽しいだなんて、とんでもない。実に悪趣味だったと思うよ。……けれど、あんまりにデスゲームって言うから、つい」
「
つい……ね……」
呆れかえったような視線を向けるメイはそっとコスモスを撫でた。眩い光を讃えた
願望器は次第にその力を増すばかりだ。
メイにとって、これは手に余る産物だった。
ただの主天使に他ならないメイの権能をあれ程までに高め切ったこれは近いうちに爆発を起こすだろう。
欲しがり屋だとか
有象無象の人間ども、
莫迦な天使達にくれてやりたい程。
このカタルモイの景品は、この願望器だ。
メイが手放したくてたまらないこの願望器を求める者が数多い理由だってよく分かる。
これはそれだけ厄介な品だということだ。一度
暴発した身の上ではよく分かるのだ。
「ねえ、タラリア。貴方はそうではないというデスゲームってそもそも何? 死んだら、元に戻らないのだったっけ」
「そうだよ。メイ。死人は二度とは元に戻らない。そういう、ええと、つまり……可愛いマレーバクも子供の頃は斑点があるけれど、大人になると柄が変わるんだ。分かるかな?」
「さっぱり分からなくなったわ。でも、そうね、元には戻らないのね。卵、割った後に元通りにはならないし」
「君は天才だな。素晴らしいレディーだ。メイ」
「貴方がお惚けなだけよ。タラリア」
彼はメイを丁寧に丁寧に扱っている。それこそ、一国の姫君が如く。
彼の目的の一つがメイからコスモスの所有権を引きはがす事であるという事には見当はついていた。
――そして、自分は、彼の敬愛する主の寵姫のひとりとして招かれる予定だろうという事だって。
「でも、そうね。人を殺して遊びたいゲイムではないものね。だって、あのデバイスやルールだって……」
「メイ、
ネタバレはいけないよ」
くすりと笑ったタラリアがそっとメイの唇に人差し指を当てた。その気障な仕草にメイは気味が悪い事をされたと言わんばかりの表情を浮かべてから「何よ」と呟く。
「ボーナスチップは幾つかK.Y.R.I.E.の手に渡ったようだね。
少しばかりティティフィティアに可哀そうなことをしたかもしれないけれど、あの子たちの特権は他者を殺してもデバイスの制御を相手に擦り付けたままにできる事だ。人の命を間借りしてボーナスチップを使うなんて言う特権があるのだから大目に見てほしい」
「プシュケーは?」
「可愛がっているよ?」
「……そう」
タラリアはカタルモイ全域エリアのマップを眺めた。
カタルモイッセオでは
テオフィロや
プシュケーの活躍も見えていた。もう暫くの後、彼らにもプレゼントを用意してやらねばならないだろう。
第三戦区での缶蹴りも佳境だ。彼らの動きもより活発になってきたが――それよりも第二戦区だ。
ミッション:コフィンキーパーにより多数の陣営が戦区に入った。そろそろ
決戦を開催するべきだろう。
ブレンダーズ、ティティフィティア、都立黑殘小学校教育研究会、どうぶつさんファミリー――
「しっかりと戦功点を稼いでもらわなくてはね?」
「
誰に?」
メイの問いかけにタラリアは何も答える事はなく、にこにこと笑った。
「さて、次のゲイムは
電波塔ゲイム! 楽しんでいこう。
ルールは簡単だ。浅草に電波塔が乱立しているだろう。電話ボックスが様変わり。驚きの光景だ。
王様役の電波塔から指示が送られるから、ゲイム参加者はそれをクリアするだけだ!
飛べだとか、歌えだとか、簡単なものから、相手を攻撃しろなんてね。突拍子のない指示もやってくるだろう。
――さあ、楽しんでクリアしてくれたまえ、諸君! この
決戦結果でしっかりと、戦功点やボーナスチップをプレゼントするからね!」
メイは楽し気に笑っている男を眺めてからため息をついた。
目的は多数を殺す事でも殺し合わせる事でもない。こんな
儀式めいたごっこ遊び。
「……きもちわるいひと」
――目的が分かっているからこそ、メイはそう言った。本当に、気味の悪い人。
貴方って、好きな人には尽くすタイプなんでしょうね。
命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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