汽笛の音が鳴り響く。もうもうと、黒い煙が
江戸川区の街にたなびいていく。
――
爆速機関車に轢かれること。百鬼 運命(
r2p005711)の役割は物凄く雑に言うと
それだ。けれど彼に躊躇や恐れの類は欠片もなかった。オフロードバイクを全速力で走らせて、ロングバレルリボルバーを爆撥機関車マイケル・ドリーへ向けて撃ち続ける。
「勝たせてもらいますよ」
機関車が迫る。銃声が響く。機関車が迫る。銃声が響く。機関車が迫る。銃声が響く。機関車が迫る――衝撃音。
竜の咆哮、それに頬を炙る高熱と、天使共の羽搏きと。
「強力な個よりも連携の取れた数のほうが優れていると証明してみせよう。オレらはそうやって生きてきたんだからな」
捻れた大枝を手に、カメリア(
r2p006571)は魔力を練り上げる。此度の役目は要所防衛。正直言って不慣れではある、だが『狙撃手』にして『魔術師』はきっと重要なはずだ――
「これまでさんざん練習しまくって、ようやく魔術師――の、端くれになれたんだ」
贋作植物【
棘茨薔薇】、【
鳳仙爆花】、【
砲丸鋼樹】。これは足掻き続けた
凡庸の、けれど彼女だけの魔術で。
「たっぷり味わっていけ」
七月の空は、どこか不安げな暑さと、真っ青な空を以て、レイヴンズ達を迎えていた。
セレーネ・ローザ・フォレスティ(
r2p000402)が思い返すのは真っ直ぐな狂気、あどけない笑顔。アーカディアⅧ麾下天使はもうここにはいない。
(カタルモイが終わっても、それは長い長い戦いの中の一つに過ぎないのでしょうね……)
ゲイムにはクリアした。だがレイヴンズの目指す真のクリアには、まだ程遠い。けれど確かな一歩の為にも、この悪意ある遊戯に巻ける訳にはいかなかった。
――アスファルトに飛び散った血は、人間のものであり、天使のものであり。それは夏の空を見上げながら、刻一刻と乾いていく。
戦いは終わった。どうにかこちらの勝利だ。急に静かになった江戸川区の街並みを、クラリッサ・クラーク(
r2p002781)はゆっくりと見回す――もう敵の気配はなく、幸いなことにこちらの仮想死亡者はいない。そのことに深く、隻眼の乙女は息を吐く。
「……いつまでこの巫山戯た遊びに付き合わねばならないのやら……」
その呟きは、この場にいる……いや、全てのレイヴンズにとっての代弁か。
「はあ、もう、疲れた~っ……!」
天海 まいん(
r2p002279)は笑顔がシンボルマークだけれど、今ぐらいは疲れた顔をしたって許されるはずだ。金貨役にされてしまったプシュケーの者をしっかりと護り抜き、バカみたいに強い天使と戦って誰ひとり仮想死亡しなかった。
戦果は大成功と言っていいだろう。これも仲間達と心を一つに束ねたからか。
「このカタルモイってあとどれだけ続くのかなぁ……」
夏の空を見上げて呟く。向こう側には大きな入道雲が、空いっぱいに白く大きく背伸びをしていた。戦いが終わったからか、蝉の声が再び響きはじめる――。
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