旧展示場要塞の存在するお台場地区の周囲には無数の瓦礫が存在している。
この空を自由に動き回る者は少ない。何故ならば、
災厄の翼がその牙を研ぎ、獲物を待っているからだ。
それらはヘルマー級激神災害、人呼んでバンダースナッチである。
かのけだものの目を避けるかのようにしてK.Y.R.I.E.は進軍を決めた。
それは丸の内を早々と自身らの拠点として決めてしまったサーカス団以外のどの派閥とてそうだっただろう。
悪戯にあのように設置されたモンスターの相手をしたくはない。そもそも、あれは参加者か、それともフィールドのギミックか、はたまた無関係の代物かさえも分かりやしない現状なのだ。
「K.Y.R.I.E.の拠点が海側であったというのはある種、幸運なのでしょうね。
あの化け物の動向を確認しながら勢力図を広げていけている。……現状は第二戦区は
終戦、その隣接地である第三戦区での
決戦が起こっている、となれば――」
次に旧展示場要塞で
セレクトされたのは第五戦区・南部であったか。
その地は第一戦区と呼ばれたK.Y.R.I.E.の拠点「旧・展示場要塞」とは海を隔てた場所に存在している。
元々は品川地区と呼ばれターミナル駅が存在しビジネスの中心地として知られていた。海沿いにはコンテナなどの産業用区も見られるが閑静な住宅街が広がっており
潜みやすい。
「以前、第二戦区のみに進軍を絞った事で
瓦礫の架橋の存在が明るみに出て良かったですね。
……今からこれを渡り、第五戦区への潜入を開始します。通信電波は余り宜しくはなさそうですが」
『仕方ありませんね。念のために補強を繰り返していますが、新たな戦区に何が待ち受けているかも分かりません。
それに、地下鉄経路のリストアップも進んでいる最中です。通信や念話等は余程の近距離でなくてはと見ておきましょう』
「了解です。通信範囲の確認をしながら進みます」
春名 朔(
r2n000031)は受令機のイヤホンにそうと手をやった。聞こえてくるのは旧展示場要塞にて指示を行うK.Y.R.I.E.司令官、嘉神 ハク(
r2n000008)の声だ。
『はい、よろしくお願いします。瓦礫の架橋自体どの程度の強度があるのかさえ分かりません。どうか、気を付けて――』
徐々に声が遠ざかる。朔はそれも致し方なしと手をジャケットの中へと入れ込んだ。ショルダーホルスターの中にはいつものように父親の形見たる拳銃が入っている。
「あまりに危険すぎると、辞表の一つでも出したくなるんじゃなくて?」
そう告げる朝機 楪(
r2n000188)の鮮やかな紅色の瞳が僅かな冗談を孕んで細められた。
「いいえ、寧ろ好きですよ。危険な事も……命の危機をも感じるやり取りだって」
「まあ、死に急ぎはあまり褒められたものではないのよ」
「……死に場所位自分で選びますよ」
まるで揶揄うようにそう言った朔に、楪は小さく笑みを噛み殺してから「そう」と囁いた。
瓦礫の中に陽炎のように幾つかの姿が見える。
そのひとつ、ふたつが姿を見せた時、愛も変わらず楽しげな声を響かせる案内役・ベルベルが言った。
「ようこそ! 第五戦区へ! ここの特別ルールは、ステルスオーダー! 君達にやってもらうのは、つまりは、おにごっこだ!」
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命空骸戯 - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール
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