「大きかったわね。けど、転ばせてしまえば此方のものだったわ!
囮役として皆でたっくさん、たっくさん倒せてよかったわ!
淡々と告げたのは来那人辻 檀(
r2p007193)だった。囮部隊はありとあらゆる手を使って
恐竜を集めた。
その火付け役であった檀の傍では「ふう、頑張った甲斐があったわね♪」と『精霊力研究者』猪市 鍵子(
r2p000636)が輝くように笑みを浮かべる。
――懸命に、それは懸命に集め続けた。プシュケーとティティフィティアとの戦いでも、ダイナソー・ハントでの
戦功点1位を護り切れたのは囮部隊が縁の下の力持ちとして尽力したからだ。
「いたたた……」
「エクリヤさん、無理はしないでください」
傷だらけのエクリヤ・メサイオン(
r2p005396)を玻羽(
r2p006275)は窘めるように言う。
エクリヤはミハイル派との天使と今回の決戦中だけでも停戦しようと言葉を尽くした。
結果は素気無く断られ、今回の戦いにおける無彩の翼の役割はミハイル派をなるべく長く抑えておくことになってしまった。
だが、抑えておかなかったらと彼女らに超大型恐竜の一匹を取られていた可能性が高いとすれば、
戦功点一位で潜り抜けれた功労者に違いないだろう。
玻羽は無彩の翼の代表として、傷だらけのエクリヤを無事に彼の恋人の下へと返してやりたいところだった。
「うさうさ♪
恐竜狩りは無事に完了でごぜぇます!」
兎月 ゆめ(
r2p002686)手にした刃に、暴竜を斬った感触は残っている。ホログラムで作られたはずのそれは、あまりにもリアルだった。
レイヴンズ達は、襲い来るミハイル派陣営のイレイサーを抑え、そして同時に、プシュケーとの戦功点の争奪戦に、見事に勝利した。無論、その代償は決して小さくはない。多くのレイヴンズ達は確かに傷ついていた。それは、身体だけではなく、心も、であったのだろうか。
「たしかに、マツリさん達は強かった。
でも……でも、さ……!」
静かに――葦夜坂 九郎(
r2p006249)はそう呟いた。手が触れあうことはなかった。プシュケーには、プシュケーの矜恃があり、それにかけ、そして敗残した。だが、それを誰が笑えようか。払う手を、それでも、と言えるだけの勇気と責任は、我々にあったのだろうか?
「皆さん、何はともあれお疲れさまでした。もう、決戦が近いようですから。
――……その前に、皆さんがメイや咲願さん、冬青さんと話が出来て、よかった、と思うべきでしょうか」
嘉神 ハク(
r2n000008)は己のデバイスにふと手をやってから嘆息した。
「大破局の日、僕の妹は生まれた。けれど……僕は、カタルモイが始まるまであの子にあった事がなかったんです」
少年のような姿をして、あの日から時を止めてしまった青年。
己の心残りのような、一人の少女が生きていただけでも――喜んでしまった。
天使であるのに、K.Y.R.I.E.の司令官として殺すべきは殺すべきなのに。
「……あの子が幸せだと笑っていたらいいんです。僕は、あの子の事を、碌に知らないんです。
兄だと、それだけを振りかざしてあの子の自由を奪いたくはない。何せ、天使です。
それなら、人間と天使という立場で、僕は、覚悟をしておくべきなのだと思った」
ハクはそう言ってから「タラリアの方が大事と言われると傷付きましたけれど」と肩を竦める。
少しばかり悲し気な顔をしたハクは一度俯いてからぱっと輝くように笑みを浮かべる。
「メイは、コスモスが暴走しそうだと言っていました。
決勝戦はタラリアの望んでいないものになるのかもしれませんね」
――だって、咲願。ぼくらは、そうやって望まれ生きている。
誰かの願いが力となった。それが魔法少女の在り方だった。
栞 咲願(
r2p008061) は象徴はかくあるべしと望まれた。清廉潔白、明朗闊達、智勇兼備の
魔法少女。
覚悟を完了したならば、何が起こったってここから先は自己責任。
そうだと送り出したその名前を咲願はよく覚えていた。
「……
宗助」
笑って殺し合って、何もかもお終いにできる程に乾いた心でダンスを踊ってやれたらよかったのにね。
第七戦区の
決戦が終わった。ダイナソー・ハントでのプシュケーの結果は上々と呼ぶべきか。
「仁菜、怪我は?」
「大丈夫よ。……ほんと、殺しにかかって来たわね。K.Y.R.I.E.も
あいつらも」
ぽつねんと呟く、武良井 仁菜(
r2p008414)はその腹を摩ってから「みんなは無事?」とそう問い掛けた。
「無事。
凛も護り切れてるし、第十一戦区の方は――どうか、わからないけれど」
もしも、誰かがその命を失ったって、栞 咲願は膝をつかない。
それが彼らの選択ならば。栞 咲願はそれを認めるしかないからだ。
「……主天使のメイが言っていたんだけれど、血のつながりは、過ごした時間より濃いのかって。
僕は、その言葉を聞いていて、過ごした時間を否定できなかった。
彼女がタラリアを大切に思う事を、
僕は否定できない――けれど、僕たち目的は」
魔法少女はゆっくりと顔を上げた。
決意の瞳に、仁菜は答える。
「ええ、付き合うわ。咲願。死んだって、護ってあげる」
※
第11戦区:ミッション・エンドレスリーパー『Bonus Time!』が佳境に差し掛かっています――
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