各寮での生活
刻陽学園やK.Y.R.I.E.は、寮を備えている。生徒や職員たちは、こうした寮を利用することが多い。
多くの一般人は四基の巨大アーコロジーで生活しているが、刻陽学園やK.Y.R.I.E.に所属する者たちは、こうした寮に所属するほかに、近隣のマンションで暮らしていたり、個人で住宅を所有している場合もある。
寮やマンション、個人の住宅などでの生活は、能力者や、それに準じる優秀な者たちの、ある種の特権となっている。
寮は初等部から中等部、高等部、大学など、ライフスタイルの変化に応じて引っ越すことになる。
グレイスリィン
グレイスリィンは、現在の刻陽学園における最も代表的かつ一般的な寮である。刻陽学園の寮といえばグレイスリィンといっても過言ではない。
また『早贄と福音』事件を教訓として作られたため、新しく設備も充実している。
広々としたエントランスホール、ソファのあるロビー、レストランのような食堂、オーシャンビューの各部屋などは、ヴェテランから旧時代のモダンなリゾートホテルにもたとえられる。
他寮と比較した場合の特色としては、大規模であることや、快適であること、待遇が非常に手厚いことが挙げられる。
例えば各棟にはコンシュルジュや係員たちが居り、困りごとや相談事などに細かく対応してくれる。
ほかにも部屋の清掃サービスや、訪問者を徹底管理する厳重なセキュリティー、医療へのアクセスの良さなど、利便性や安全性への配慮が行き届いている。
食堂は羽カフェの系列であり、生鮮食品も提供されている。
総じて、文字通りに『至れり尽くせり』の寮と言える。
またK.Y.R.I.E.の職員寮もグレイスリィンの系列であり、非能力者の一般人からは、同じく憧れの目を向けられている。
フロアごとに特色があり、女性だけのフロアや、シアターを備えたフロア、ジムやプールなどが併設されたフロアといった風に様々。
部屋は基本的には1LDKであり、オーシャンビューのテラスを備える。
すっきりとした玄関に靴箱、ゆったりとしたソファと大画面のモニターのある広々としたリビング、一通りそろったキッチンとダイニング、勉強机と大きなベッド、ウォークインクローゼット等々の他、水回りも広々と完備している。
また基本的な家具はすべて備えているが、持ち込むことも可能である。
基本的には個室だが、友人の部屋へ気軽に遊びに行くことや、あえて二人で住むことなども自由である。
寮生の特色
数が多いため、寮生の気風としてこれといったものはない。しいて言えば一般人から手厚い待遇を受けることになるため、感謝をもって接するのがマナーであり、暗黙の義務となっている。横柄な態度は厳禁であり、ことさらに部屋を汚すなどと同様に、かなり叱られることになる。
またこういった好待遇な環境をかえって窮屈だと感じる者は、べつの寮を選択することになるだろう。
基本的には、多くの学生は何となくこの寮を選択している。
また広いため、趣味を持つ学生にも人気が高い。
そしてケアが手厚いため、心身に不調を抱える学生にも勧められる。
総じて、グレイスリィンは各個人の個性や特性を尊重し、充実した環境で勉学や仕事に向かうことができる寮である。
白浜荘
白浜荘は歴史ある寮であり、いくつかの棟がある。ドゥームスデイ後、マシロ市成立以前の混乱期において、教育などの社会システムが機能不全に陥っていた時代があった。そうした時代において、教育者たちは子供たちへ、青空教室のような形で私塾を開き勉学を教えていた。
白浜や山百合など各寮の多くは、こういった善き教育者たちによって設立されたという経緯を持っている。
やがてマシロ市の成立とともに、教育者たちは刻陽学園へ合流したが、白浜や山百合は学生寮という形で残ったことになる。
白浜荘の外観は民宿のようであり、旧時代においても古めかしいと感じられるだろう。
大きなエントランスには共同の靴箱があり、同じく共同のリビングダイニングへと続いていく。自活寮であるため、料理などは寮生自身が共同で行う。当番生にするか担当を決めるかなどは、寮生たち自身にゆだねられている。
そのため「カレーが多くなりがち」という噂がある。
部屋は一人につき四畳半の畳部屋であり、古式ゆかしい風情を漂わせている。
布団を敷く寮生もいれば、ベッドの場合や、万年床と化している場合もある。
また各棟は男性棟と女性棟に分かれている。
水回りは共同である。
お風呂は広いのだが、人数と比すると狭い。
そのため敷地内の大浴場を利用する寮生が多い。
この大浴場は広々とした銭湯のような風情があり、なかなか人気がある。
寮生の特色
シェアハウス志向でわいわいと共同生活を送りたい者、なんでも自分でやりたい自立的な者などが好んで所属する寮である。またスポーツマン気質のある者も多い。
寮生の中には紙媒体の古い漫画を大量に収集していたり、仲間とスナック菓子やジュースを共に、夜通しでゲームや麻雀などを楽しんだりする者たちもいる。
総じて古き良き学生寮の特色や伝統性を色濃く残している。
そんな白浜荘ではあつい友情のほかにも、協調性や社会性、リーダーシップなどが育まれることになる。
山百合館
山百合館はミッション系の寮であり、いくつかの棟が存在する。山手の歴史ある瀟洒な洋館を改修しており、庭には薔薇の咲くイングリッシュガーデンや、オルガンのある礼拝堂、清楚なマリア像の姿が見える。
古めかしいともいえるが、洋風でおしゃれな雰囲気は人気がある。
また屋内では美しいステンドグラスがたびたび見られる。
山百合館は各寮と比較した場合、一部に厳格なルールを設けている。
たとえば男子禁制であり、女性以外は敷地へ絶対に入ることができない。
だが基本的には寮生の自主性を強く重んじるため、規則は少なく、実際には門限すらない。よい子が多く、自主的に帰るため、門限があると思っている寮生もいるほど。
複数存在するリビングフロアは共用であり、個人で読書をしたり、スマートフォンでゲームをしたり、仲の良い者たち同士でおしゃべりを楽しんでいる。
ダイニングフロアも共用であり、食事は羽カフェ系列の専門の業者が行っている。
調理場は、寮生自身もお菓子作りなどに利用することも可能となっている。
食事は基本的に、同じ時間に集まり、短い祈りのあとでいただく。
お風呂などの水回りも共通スペースとなっているが、かなり先進的な構造。
広々としたきれいな大浴場や、テラスの足湯などは人気。
山百合館ではイベントごとを大切にする気風がある。
バレンタインやイースター、ハロウィンやクリスマスといった季節のイベントを、学園だけでなく寮内でも実施するといったもの。
基本的に洋風とはいっても、それはそれとしてお正月に晴れ着を着て初詣を楽しむなどといった寮生も多い。
またリビングフロアや庭では、ティーパーティーなどが頻繁に開催されている。
私室は規律と絆を育む目的で、基本的には必ず二人一組の相部屋となっている。
グレイスリィンのようなモダンな豪華さはないが、古めかしくも洋風でおしゃれであり、よく調和が取れている。
備え付けの家具としては、勉強机、各種の収納スペース、椅子、ベッドなどがある。
テレビなどは備え付けてはいないが、持ち込んでいる寮生は普通にいる。
ぬいぐるみなどを持ち込んだり、インテリアなどを自分らしくアレンジしている生徒もいる。
パートナーは多くの場合、同級生を互いの合意の元に選ぶ。
寮生自身が決められない場合は、寮母や担任の教師が選定することがある。このパターンは通称『お見合い』と呼ばれる。
まだパートナーの決まっていない寮生や、なんらかの原因でパートナーを失った寮生が、一人で部屋を使用することもある。
山百合では自主性が重んじられるため、寮生が考えた結果であれば尊重される。
寮母は基本的にシスターである。
ほかには、毎週日曜日にシスターが礼拝堂で聖書を読み、祈る風習がある。
しかし信仰は自由なため、参加しない寮生のほうが多い。
寮生の特色
全体的に、自主的で規律正しい生活が望まれている。また清貧、従順、貞潔、倫理的、伝統的といったものが重んじられている。
全体的に明るくおおらかで、自由である。
素直な子、優しく礼儀正しい子、お嬢様っぽい子など、『良い子』が多い。
また立ち振る舞いの洗練と完璧さを求める伝統がある。
そのため刻陽生であると同時に、『山百合の寮生』であることにも誇りと自覚をもっている場合が多い。
とはいえ学生は学生らしいため、かしましいことも多い。
友人同士で仲良くふざけあうのも普通のことである。
山百合には独特の文化と伝統がある。
たとえば寮内には手作りの新聞などが掲載されている。
イースターやバレンタインやハロウィンやクリスマスなど、季節のイベントごとを好む寮生が多く、学校行事のみならず、寮内でも自主的に協力しあって楽しんでいる。
また上級生と下級生で『センサの誓い』という姉妹の契りを結ぶケースがある。
センサを契った姉妹や、同室のパートナーなどと絆を育んだ結果、そういう関係になる場合もまれによくある。
そういった場合であっても、衆目の中であまりべたべたするのは、はしたないこととされている。
総じて、山百合館は自主性と規律と絆を重んじる、高潔で清廉な寮と言える。
『センサの誓い』
山百合館における姉妹の契りは、多くの場合『センサの誓い』と呼ばれています
妹役(ドージェ)が、姉役(マーレ)へ、指輪を渡すか、互いに交換し合う形で成立します。
その際に、妹役は「Desponsamus te, mare.」と宣言し、先に指輪を渡します。
姉役が、これを受け取ることで成立します。
この時に姉役も指輪を渡すことがあります。
これはかつて姉妹のように仲の良かった山百合生(『斎条ゆり』と『日代うみ』)が行ったもの(ヴェネツィアの儀式の真似事)を、他の山百合寮生達が真似しはじめたものです。
姉妹は早贄と福音事件の際に、互いの命を代償とするアセンションを行使して多くのマシロ市民を守りました。
今では、その二人の気高さを胸に、ともに戦い抜く誓いとされています。
余談ですが、センサの語源は奇しくも『アセンション』の意味があります。
燈廻楼
燈廻楼は中華風妓楼様式の男子寮である。高い塀に囲われた広い敷地は、宛ら後宮の様だと称されるようだ。
季節の花が咲く庭園があり、水辺には朱塗りの水榭(東屋)が建っている。
水榭(東屋)では定期的に茶会が開かれており、花の香りがする。
建物は二階建ての中華様式の妓楼風である。
中の設備自体は現代的なものが取り入れられており快適。
一人一室が与えられ、各自が自由に暮らしている。
中華街から燈廻楼へ働きに来ている一般の人もいることから、
燈廻楼の主である悠尋(ユージン)が中華街の龍華会と関わりがあるとされる。
一般人の彼らは身の回りの世話をしてくれている。
時々妖花(ハル)と呼ばれる何かが歩いていることもあるとか。
また、何処かに座敷牢があるという噂がある。
燈廻楼の入寮の決まり
その1、男子、および不明でも『常に男子寄り』でなければならない。その2、受け入れは14歳前後から。上限は無い。
その3、主である悠尋の『お願い』はできる限り聞き入れなければならない。
寮生の特色
燈廻楼の寮生は『燈花(とうか)』と呼ばれる。基本的にのびのびと自由に過ごしてるが、悠尋の『お願い』はできる限り聞き入れなければならないという決まりがある。
定期的に開かれる庭園での茶会では燈花が給仕をする姿が見られる。
男子寮だが昼間に行われる茶会には女性も参加出来る。
悠尋と燈花
悠尋はダンピールで特別な燈花から血を分けて貰っている。特別な燈花には首輪を贈る。
首輪を贈っていない燈花からは基本的に血は貰わない。
【燈花のPCさん】からは今まで血を貰ったことは無かったけれど、【これから】血を貰う機会があるかもしれないという所から、全員がスタートです。もちろん、血はあげない設定は全然OKです。燈花だからといってあげる必要はありませんのでご安心ください。
妖花(ハル)
燈廻楼には妖花(ハル)と呼ばれる存在が棲んでる。彼らは精霊や妖怪、妖魔といった類いの隣人である。
悠尋との契約で燈廻楼の外には出られない。
妖花(ハル)にとって燈廻楼は住み心地の良い家である。
それでも、時々妖花(ハル)に悪戯されてしまう燈花も居る。
※燈廻楼はSDもみじが個人的に担当する設定です。設定相談、設定委託などはもみじにご依頼ください。
そのほかの寮
刻陽学園には大小さまざまな寮があり、寮ごとにさまざまな特色がある。プレイヤーは自由に、オリジナルの寮を作成することができます。
友人などとシェアすることも可能です。
また公認設定や設定委託などを利用することも可能です。
公認設定や設定委託の場合は、公式の設定に準拠する必要があります。
そのほかの居住空間
アーコロジー
マシロ市は戦禍によって拡大された川と海とに囲まれた要塞都市である。四基のアーコロジーを抱える関内市街エリアと、自然豊かで広大な山手エリアに分かれている。非能力者である一般のマシロ市民は、数十万人がこのアーコロジーに暮らしている。
このアーコロジーは水やエネルギーの調達から廃棄物の処理などの基礎インフラ、各種のオフィスや工場といった職場、食堂や日用雑貨や医薬品や衣料品などの商業施設、一般的な教育や医療などの設備、運動場や公園といった娯楽や憩いの場、果ては簡素な埋葬施設まで、ありとあらゆる施設を内包している。まさに揺り籠から墓場まで、人生や生活のすべてを完全に網羅しているといえるだろう。
だがここに住まいながら関内のオフィスエリアや、山手のK.Y.R.I.E.や刻陽学園エリアで働く者も多いため、完全に閉じた空間ではない。
また休日に外の公園へ散歩にいったり、たまの贅沢としてショッピングストリートで買い物を楽しんだりすることも多い。
完全な完結はないことから準アーコロジーと表現されている。
部屋や生活スタイルなど
個人の部屋はフロアごとに異なるが、基本的には非常に狭い。例えばシャワールームとトイレ、小さな机と収納に、カプセルのようなベッドのみといった部屋も多い。水回りは共用のフロアもある。
また家族用の少し大きめな部屋も数多く存在している。
だが娯楽が携帯端末一つに集約できる時代でもあり、空調も快適で、ミニマルでシンプルな生活様式は意外と時間跳躍者には好評だったりもする。
食品はほとんどの場合において、栄養は十分だが簡素。
多くが合成食材とはいえ完成度は高く、旧時代で一般的に広く食べられていた料理は、すでにあらかた再現されている。
日本人らしい、食へのこだわりといえるだろう。
とはいえヴェテランやフレッシュは『レトルト食品ぽい』と表現することもある。
それとは別に、ブロックやタブレット状あるいは流動の、完全栄養食を好む者もいる。
あらゆるものが機能的に作られており、日々においては仕事から休息まで、非常に効率的な導線を容易に作り出すことができる。
そのためフレッシュやヴェテランの一部は「通勤地獄が消えた」と喜ぶ向きもある。
能力者であっても、アーコロジーで暮らしていることもある。
理由は様々であり、地元を離れがたいとか、好待遇が息苦しいとか、人付き合いを継続したいとか、家族のそばに居たいなど、答えは十人十色である。
中華街地下エリア
中華街地下では、かつての地下鉄跡を拡張し、スラムめいた広大な居住空間が広がっている。ここは龍華会が仕切っており、ある意味ではマシロ市の闇ともいえる。とはいえ龍華会は市と深い癒着関係にあり、持ちつもたれつの必要悪を買っているに過ぎない。
ここでは市になじめない者や、脛に傷を抱えた者、あやしげで華やかな夜の仕事や、訳アリの人物、有益な犯罪者などが生活するほか、それらの人々が必要とする生活全般のために、普通の人間も一部生活している。
もちろんK.Y.R.I.E.に所属しながらもここで暮らす能力者もいる。その動機も理由も十人十色で様々だ。
表層は比較的安全であり、ある意味では夜の街や歓楽街の特性を持っている。
そのため一般的なマシロ市民の一部が利用することもある。
慣れるまでは、ぼったくりやスリなどに気を付けたほうがよいのは間違いない。
だがたとえ慣れたとしても、きっと深層には近寄らないほうがいいだろう。
個人の住宅やマンションなど
狭い市街地と比較して広大な山手エリアには、個人の住宅やマンションが修繕されたり、新規に作られたりしている場合もある。こういった場所は、主に能力者や、K.Y.R.I.E.の人員、マシロ市への貢献が多大な者など、優秀な人材が利用していることがほとんどである。
こうした生活は旧時代に最も近く、多くの人にとって取り戻すべき目標にもなっている。
そのためそういった生活を維持することも大切であると考えられており、寮の好待遇などと同様に、非難されるようなことはない。