
シーズンテーマノベル『それは晴れたり曇ったりする空のようで』
2月14日に印を付けた――3月14日に印を付けた。
それが何時か、大切な約束となりますように。
その心は晴れたり、曇ったりする空のようで。晴天に安堵したかと思えば、しとどにふる雨に恐れる事もある。
時に嵐が起これば、きっと渦巻いた感情に歯止めが利くことも無くなるのだ。
ふわりと風で運ばれてくる花の香りは、きっとあなたに囁いてくれる。
――今日は何をしよう? 2月に綻ぶ花のような、3月に笑った花のような。
朗らかな日々が、やってきた。
商品概要:シーズンテーマノベル
商品 | 説明 |
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発注可能クリエイター
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基本価格 100RC~ |
景品
シーズンテーマノベル限定アイテム『ショコラ・ヴァラ2053』
サンプルSS:『おひとつどうぞ』
登場NPC:メロディアス・ハイギャラクシア(r2n000110)
「凄いなあ。何処に行ってもチョコが売ってるぞ!」
『謎の力の正体』メロディアス・ハイギャラクシア(r2n000110)は思わず感動の声をあげていた。
2月14日、バレンタイン。恋の花咲き乱れる愛に満ちた日である。
しかしながら「そういうこと」に一切興味がなければどうなるのか。その答えがメロディアスだ。
今日のマシロ商店街は、何処か浮ついている。赤や白、ピンクのリボンが飾られた店先に並ぶ無数のチョコレート。無骨なチョコは手作りコーナーに追いやられ、可愛い一口サイズやハートの形のものが「私が本命です」という顔で並んでいる。
このイベントの力を借りて誰かに告白しようというのか、真剣な顔でチョコを選んでいる女の子たちの姿もあって、メロディアスも自然とそうした店先に吸い寄せられていく。
「美味そうだなあ。ふふっ、なんだこれ。こんな大きなハート、1人じゃ食べられないぞ?」
「はい。これは意中の人にあげて2人で食べるものなんです! おススメですよ!」
「ふーん、そうなのか」
メロディアスは知っている人の顔を思い浮かべていくが、こんな顔より大きなチョコを「一緒に食べるぞ!」と持っていくのは迷惑ではないだろうか?
そもそもどうやって食べるのだろうか。バキッと二つに割るのだろうか? ちょっとハートが可哀想だ。
「うーん……ちょっとなあ……」
「でしたら、こちらの小さなハートもございますよ!」
ちなみに店員は勘違いしているが、メロディアスは誰かにあげるのを前提にしていない。
しかし今日チョコを買う人は皆チョコの力を少なからず信じている夢見る乙女たち。そういう意味では単なるチョコ大好きなメロディアスもその一員と言っていい。
そんなメロディアスは並んでいるチョコを順繰りに見ていって、やがて1つのチョコに目をつける。
真っ赤で丸い箱に入った、9個の小さなチョコたち。アーモンドの入っているものもあれば、ホワイトチョコののハートも入っている。けれど一番特別に見えるのは中央の真っ赤なハートチョコだろう。その可愛さは、メロディアスの心を強く捕らえた。
「じゃあ、これを頂くぞ!」
そうしてテクテクと歩くメロディアスの手には、可愛らしくラッピングされたチョコの箱。
次会った人に1つ食べさせてやろうと。そんなことを思うメロディアスの笑顔は……恋する乙女たちとは明確に違えど、見た目だけはそんなに変わらなかったのである。