イベントテーマノベル『学園祭2052』
街も、人も、何もかも。この時だけは喧騒に身を任せる。
刻陽学園学園祭2052――学生が学生らしく、人間が人間らしく過ごす為に。
どの様な環境だって、人は笑っていられるようにと世界を色づける。
【イベントスケジュール】
・刻陽学園学園祭(文化祭) 9/21-9/22
・刻陽学園スポーツ大会(体育祭) 10/12-10/13
このイベントテーマノベルはマシロ市で生活を行なう皆さんの『イベント向け』特別テーマノベルです。
四季折々(春、夏、秋、冬)のテーマノベルと違ったイベントにフォーカスした楽しい日常をどうぞ、お楽しみください!
スポーツ大会組分け
赤組:(初等部)1、3、5年生、(中等部)1、3年生(高等部)2年生白組:(初等部)2、4、6年生、(中等部)2年生(高等部)1年生、3年生
※大学生(有志)は自由に参加できます。
※ただし学年は自己申告制なのもあり、刻陽学園では現在登録の『学年』と『選手登録』で組み分けを確認しているようです。比較的自由に組を選択可能ではあります。
商品概要:イベントテーマノベル
商品 | 説明 |
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対応商品一覧
発注可能クリエイター
| 基本価格 100RC~ |
景品
シーズンテーマノベル限定アイテム『学園祭記念品キーボルダー』
サンプルSS:『はじめて、手と手』
登場NPC:逢坂 純(r2n000078)、逢坂 絢(r2n000078)
「学園祭、だって」
ぱちくりと瞬く純に絢は「そうだね」と返した。一方は2024年から地続きの儘で座標消失し運悪くマシロ市外へと転移した少年。そしてもう一方はそんな彼を28年の間も探し続けてきた少年である。
経た時間の違いがあれど彼等は双子である事には変わりなく、絢は純を大切に慈しむように「行こうか」と声を掛けるのだ。
今日は学園祭が行なわれる。学園は普段とは違った光景に様変わりし、新たに学園に通い始めたばかりの純にとっては見慣れぬ光景であった。
学園祭の為に飾り付けられた廊下はまるで異世界に迷い混んだかのようだ。着ぐるみ姿の生徒の風船を受け取って、弾む足取りで校舎の中へとやってくる。
外も、中も、装飾がなされて本当に知らない世界に来て仕舞ったかの様。
「絢、すごい、ねえ」
「……そうだね。ぼくも純を探してマシロ市には居なかったから、初めてだよ」
「……! えへへ、一緒だね」
「そうだね」
嬉しそうな顔をするかたわれに絢は来て良かったと胸を撫で下ろすのだ。斯うした場を楽しむ事が出来るのは世界が大きく変容し、許容範囲が広くなったからなのだろう。嘗ての絢も、純も、血を吸う化生として厭われた存在ではあったのだから。
ここでなら、誰も叱ることはないし、怯えることはない。普通の少年のように振舞うことが出来る。
手を握り締めた純が「あっち、いこう」とやや駆け足で絢の手を引いた。手を引いてくれるかたわれの喜びっぷりは絢にとっても心地良い。
「純が行きたいところに行こう。小遣いはたんまりもらったから」
「……でも、ちゃんと考えるって、言われた。それ、2人分だし」
「まあね。お小遣いなんて子供扱いだけど……まあ、悪くはないや。楽しければそれでいい」
「ん。ぼくも、そうおもう」
弾む純の足取りと、楽しげな横顔を眺めながら絢は今の幸せを噛み締めるのだ。
文化祭が終わったら、体育祭とも称されるスポーツ大会がある。
そうした日常のイベントさえも経験したことのないかたわれはどんな顔をするのだろうか。
きっと、この場所なら「たのしい、ね」「すごい、ね」と笑ってくれるはずだから。
「あ、絢。あの、ね。おみやげ、買って行こ?」
「誰に?」
「み、んな……えっと、でも、あの、大きな飴は――」
彼が自分以外の誰かを大切な友人として受け入れる事が出来る。
その変化が、兄であり、双子のかたわれである絢は嬉しくて、少し寂しかった。