刻陽学園体育祭
壁には組分けが提示されている――
赤組は初等部1、3、5年生、中等部1、3年生、高等部2年生。
白組は初等部2、4、6年生、中等部2年生、高等部1、3年生。
大学生や教師、K.Y.R.I.E.の職員や登録能力者達は自己申告と選手登録によって所属する組を選択することが可能だ。
本年度のスローガンは「とびっきりの思い出を!」である。後夜祭には浴衣を身に纏っての納涼盆踊りも行なわれる予定だ。
10月12日、13日はスポーツ大会、改め、体育祭が開始される。その規模は昨年までの比ではなく、マシロ市民全員が参加可能な体育大会となったのだ。
学年としては白組に該当する鳶(r2p002991)はじっとその掲示を眺めて居た。
朝からぎっしりと詰った競技予定。それから、後夜祭の納涼盆踊りまで余すことなくこの二日間を楽しむ予定が立っている。
――K.Y.R.I.E.としても、能力者達には楽しみを喪って欲しくはないからね。
そんなことを盲信するかぐらに言われて仕舞えば鳶とて体育祭への参加を決定する他にない。
緊張した様子でグラウンドを見詰めていた不破・蜜子・メリッサ(r2n000046)は一先ずはカメラを手にしていた。友人達の雄姿を撮影する係も必要だろう。まるで我が子の運動会を見に来た父の心地でメリッサはぱちくりと周囲を見回して。
「これも実戦に繋がる訓練、かな……?」 こてんと首を傾げた紫埜(r2n000037)にメリッサは「え、た、多分……?」とどきまぎとした心地で答えて。
「さーて、何の競技に登録しますかね……」
こちらは赤組の紫桜 ユーナ(r2p000297)。クラスメイトからは「番長ー! リレーする? 何行くー?」と楽しげな声が掛る。
「選手登録済ませなくちゃな。昼食は弁当もカフェ利用も出来るんだっけか……。楽しみだぜ」
にまりと笑ったユーナはクラスメイトと共に作った手製の旗をひらりとはためかせて。
応援合戦には勿論参加しなくてはならない。赤組と白組、その両方の健闘を願って懸命なる応援をする。
刻陽学園大学の『天使学』非常勤教諭である暁杰(r2p000104)も刻陽学園の指定体操服を自己流へとアレンジし着こなしていたか。
「さて――」
おとがいに手を当てて教員が手伝うべき競技があるのかを眺める。いやはや、見学をして居るだけでも楽しいものではあるが。
「何に、でるの?」
こてりと首を傾げたのは一桜(r2p000220)。刻陽大学に在籍はしているが、イタリアから遣ってきた彼には日本の学園生活は馴染みがない。
何処か慣れぬ様子でグラウンドを見回して「すごいね」と一桜はぽつりと零して。
「一桜君は如何しますカ?」
「まだ、あまり……どんな競技があるかを見てからかな」
広々としたグランドで行なわれる競技の数々を楽しみにするように彼は「だから、少しの間見ていようかな」と期待を込めて視線を遣った。
開会の宣言を行なう生徒会長の声が響き渡って――刻陽学園の体育祭2052が開始されるのだ。