横須賀作戦報告書03


剃刀大猪レイザーボア……
 中々、息が詰まりそうな戦いだったわ」
 言を紡ぐ『必ず行くからね』リュキア・Ⅰ(r2p000111)が思い浮かべるは、己らが交戦した怪物――剃刀大猪レイザーボアと称される大型の猪の事であった。奴の通った後は何一つ残らぬ……それほどの威を秘めた相手だった、が。
 なんとか勝利する事は叶ったようだ。今は帰還し、一息ついている。
「うぅ、寒い……寒かった。
 でもリック・サンダース軍曹とも合流出来たし、ひとまずは良かったかな」
「どこもかしこも沢山の天使に、直接戦闘を得意とする大天使がいたみたいだね。おまけに環境も悪いと来た。なかなか大変な状況だったけど、どこであろうと全力を以てぶつかるだけだねぇ」
「こっちは戦闘の痕跡を残さずに大天使や天使達を全滅させるってのが厄介だったなぁ。
でも、みんなが先に進むために――頑張ったよ」
「あの天使……アイシズと言ったかしら。やり方、嫌いではなかったわ。でも。この私という至高の悪魔令嬢を敵にしているという事は――最大の誤りだったのだわ!」
 更に続いてセラ・ミストレイン(r2p004617)や『明鏡止水に花満ちよ』古多恵 花見(r2p000256)、そして『ウインドウィーバー』神代 風生(r2p001741)に『悪魔令嬢』シトリー・セーレ・ハーゲンティ(r2p004983)らの姿も見えようか。
 決して楽な戦いでは無かったと見えるが、それでもなんとか戦いに勝利したようだ。
 無事な姿を見せれば安堵する者もいようか――
「こちらも一丁上がりであるな。街を壊しながら戦う天使と聞いていたが……己の矜持も失った者の攻撃など効かぬわ」
「余たちは氷の巨人の姿と相まみえたが、何の事は無し。
 余たちの燃ゆる心で溶かし尽くしてくれたわ!」
 されば『金剛石(アダマス)本名は又三郎』アダマス・逆叉(r2p001637)は己らが遭遇した個体達の事に思考を巡らせようか。『月姫』輝夜(r2p000190)側では奇怪なる氷の巨人型と遭遇もした。それぞれ厄介な所もあったが――それでも敵ではなし、と。
「しかし人のご遺体を利用する天使とも遭遇しましたニャ……天使には人の心が無いですニャ」
「オンボノヤス霧を使うという日本の妖怪の名を用いる天使もいたでござりゅ。名前だけならなんとも風流でござりゅが……やはり天使は天使、といった所でござりゅよ」
「……天使は世界を滅ぼした者達ですから、ね。しかし、次こそは……」
 とは言え天使にも様々な特徴をもった個体がいると『安全運搬保証します!』ハイゼンちゃん(r2p000184)はしみじみと想起しようか。アンヘル・デモニオなる天使――遺体を利用し襲い掛かって来る個体――先述のアダマスらと戦った敵とは全く異なる特徴もいたのだ。『忍ぶ埃及の白ウサギ』兎神 ウェネト(r2p000078)が戦った個体に至っては日ノ本の妖怪らしき名を名乗る存在もいた。
 そういった多様なる存在であればこそ、残念ながら苦戦しうる戦況もある。『兄を探す少女』天上・アグネス・百合華(r2p000205)は奥歯を微かに噛みしめながら天使の姿を思い起こすものだ。
「ご自慢の尻尾は斬り落としたんだがな――次は、首だな」
「天使の力や数が以前よりも増している気がする……
 横須賀基地の近くまで来ると、流石に向こうも本腰入れてきてるみたいだな」
 同様に『黄泉烏』烏羽 静(r2p004993)と『生命を呼び起こさんとする者』サイガ ヒビキ(r2p000706)の戦況も中々厳しいものであったようだ。やむなく撤退という道も選んだが――死ねば終わりだ。生きてこそ出来る事はある。再戦も含めて。
「……この先は、これから人で賑わう場所にするんです。
 皆で生きて、取り戻しましょう――全てを」
 さればアリシア・フルーネア(r2p004183)は言を紡ぐ。
 横須賀という地は、かつて人類でにぎわっていた地なのだ。
 ――天使などにいつまでも占拠させてはおかない。

 取り戻そう。皆で生きて、皆で勝利の栄光を――掴むのだ。