横須賀基地奪還作戦報告書01
多くの犠牲を払ったとされる地獄の横須賀撤退戦から約25年。天使によって支配された三浦半島の奪還作戦はついに本命である横須賀基地へと手をかけていた。
当初絶望的とすら思われていた力天使ラファエラ・スパーダを首魁とした天使軍との戦いは意外な一手によって覆りつつある。
「あれが市長さんの計画だんただね!」
氷取沢拠点、休憩室。ゆるふわかつ元気いっぱいな様子で休憩室に入ってきたのは霞ヶ城 圭(r2p001116)である。
空調の効いた温かい室内に、彼女の声はよく響く。大天使ビアレとの戦いに勝利したという報告は前もって届いている。彼女のいろんな意味での頑丈さが勝利をもたらしたとも。
「せやな。お陰でこっちも戦いやすかったわ。まあ、ぼくの受け持ちは外郭部で、しかもでかいヤドカリやったけども」
砲台を背負ったヤドカリと指揮官タイプの大天使というなんとも横須賀らしい(?)組み合わせの敵部隊も連城 諒真(r2p003112)たちのチームによって無事撃破された。
「充分だろう。敵は基地内だけに留まらない。仮に内部で優勢に進んでも外郭部の部隊が攻め込んでくるようなことがあればそれこそ地獄を見る」
月城 ソラ(r2p001474)は紙コップを片手に息をついた。大天使アグニとセコーゾからなる部隊には手を焼いたが、こちらもキッチリ勝利を収めてきたらしい。
「そっちはどうだった」
「『狼狩り』には成功したよ。負傷者は出たが、勝ちは収めた」
ゼーレ=シュバルツシルト(r2p001366)が肩をすくめて微笑を浮かべる。
光線級天使と狼型メタルビーストとの戦いもまた、簡単なものでは無かったはずだ。それでも撃破し、無事に皆帰還している。
話を聞いていたイグナイト・ネメシス(r2p000058)が安堵したように頷いた。
「なら良かった。救援要請のあったレッドチームとブルーチームの救出にも成功したし、天使軍も片付けた。ボクのほうも結果は上々だな」
「緑風のタントーンもです。強化もされて厄介でしたが、無事に撃破することができました」
熾火 明香(r2p001489)が明るい声でそれに続く。
どこも調子はいいらしい。
そんな中で、若干雰囲気の異なる表情を浮かべているのは白雨 優羽(r2p000003)だった。
「ロリエル……」
「はい?」
「僕たちは、子共にされた。けど……勝ったよ。いろんな意味で疲れた」
げっそりこそしていないが、雰囲気で疲労を察したのか우유(r2p002218)が慰めるような表情を作った。
「とにかく、勝ったならなによりです! 私たちも勝ちましたよ! 氷の大天使ライム、撃破です!」
こっちはなかなかの激戦だったようで、우유も結構な怪我を負っている。
それでも元気なのは元来の性格ゆえだろう。
「それはなによりですニャン。ボクたちのチームもモアパセティック・ザナスを撃破して、皆に良いニュースをお届けできましたニャン!」
こっちもまたボロボロのハイゼンちゃん(r2p000184)。限界が近いのかガタガタいっているアームを掲げ勝利のポーズをとってみせる。
「今のところどこの部隊も作戦成功、ってことだね。とにかく、皆無事に帰ってきてくれてよかった」
白塚 無黒(r2p000110)がしみじみとした声で呟く。セゴーゾとヤオヨロズによる混成部隊との戦いが終わったばかりで、傷もあまり癒えていない。それでも……と思いかけて、ふと『帰ってこなかった少女』のことを思いだし目を閉じる。
そして数秒。サングラスをかけなおして微笑んだ。
「この戦い、勝とう」
何気ないその一言に、皆は深く頷いた。
戦士たちの戦いは、未だ続いている。
勝利への誓いを胸に抱いて。