ほのかに青く、かすかに淡く


 灰色の世界と、やけに抜けた空の下。
 梅のつぼみが膨らみ始めたから、冬がほのかに色づいた。

「ねるね、好きゲームってしってる?」
「しらんけど」
「あのね、たぶん絶対流行ると思うんだけど――」
 同級生と下校中の花祀 あまね(r2n000012)は首を傾げ、風が髪をさらう。
 模試に考査に、時に子供たちは銃を置き、三学期三年生たちは進学していなくなる季節だ。
 埃から眼をそむけるように、振り返った刻陽学園の窓の内。その廊下では教師たち――ネネフェミリア・ラーワビステル(r2n000096)と蓮見 凪紗(r2n000013)が、ちょうど給湯室へ向かい歩き出していた。
「んふふ、寒い日が続きますねぇ」
「ですね、って八雲君、廊下を走らない」
「あ、はい! すいません!」
 八雲 レイジ(r2n000015)をたしなめた教師二人が向かわねばならぬ先、それは命を懸けた闘争の司令塔――K.Y.R.I.E.だ。
「まろもミリしらなるゆえいざ教えてたも」
「おおー知りたいか、それはな!」
「ええと、そうですわね」
 小首をかしげた鴨 藻塩(r2n000066)にメロディアス・ハイギャラクシア(r2n000110)が胸を張り、御堂・麗音(r2n000043)が仰ぐ『ほろぐらむもにたあ』なる映像に、コマーシャルが流れ出す。

 ――更なるチョコの美味しさを求めて、今――座標消失!

 そこにはなぜかデルタ(r2n000014)が映っていたが、それはさておき。
 戦線の拡大続くマシロ市は、それでも新人類圏の確立を目指し、ただ前を向いている。
 戦いと、痛みと、ただの一つも抱けぬ希望と、信じるに値しない明日と。
 それからわずかばかりの喜びと、友情と、綺麗な花と咲けるかと――
 機銃を担ぐ少女たちがはしゃぎ合っている。
「じゃあ私後攻、そっちから好きって言ってみて」
「まってしんどい、割と無理目だけど」
 けれどこの日、刺すほどの鋭い風は去り、弾む子供たちの足取りに比企﨑 六郎左衛門(r2n000064)は「ふむ」と顎へ指を添えた。縁はないとは思えども、手伝うことはやぶさかでなく。

 この街にも、血と鉄と硝煙香るがやってくる。