鎌倉守護結界防衛報告書04


 2053年1月。数年前から音信不通だった鎌倉拠点の人間達との再会を果たしたK.Y.R.I.E.は、彼らの依頼を受け周辺エリアの掃討作戦を行っていた。
 そも、その目的というのが。
「……結界に認められるため、って……?」
 宮羽 恋宵と共に天使討伐を終えたばかりのニーナ・モロゾフ(r2p003427)がぽつりと言うと、同じくシュヴァル・クノッヘンの監視(?)を受けつつサヴェージ退治をしてきた白縫 かがち(r2p000825)が頷いた。
「鎌倉に入るためにはこうやって実力を示す必要があるらしいのう。世がこの有様となっては試されるもやむなし、じゃろうか」
 恋宵もシュヴァルも、方向性は違うが色々と怪しい人物だ。だがまだ、彼女たちのことをよくは知らない。それに限らず、鎌倉市内の事情もよく分かっていない状態だった。何かを決断するには早かろう。
 元K.Y.R.I.E.構成員だったという天使、八満七種との戦闘に勝利したばかりのLieluck Rusk(r2p004701)が歩きながら目を瞑った。倒した天使に、もとい人間だったあのひとに祈りを捧げるように。
「けど天使を倒さなければならないのは事実です。あの人たちに言われなくても、ボクたちは戦ったでしょう。同じ事です」
「でしょうね。放置しておけば往来する私達の危険になるし、そうでなくても人間の脅威であることには変わらないわ」
 九重 セナ(r2p001747)も藤原 紅蓮に案内されて行った天使討伐のことを思い出して頷いた。
「ふうむ、それはそうじゃが……」
 江島 春章(r2p000026)は偶然にも接敵することになった栞田 花束のことを思い出しながら歩く。
 もはや見慣れた廃墟街。崩れた家々と浸蝕する植物。そしてひび割れた道路。
 けれどそれが、今はどこかいびつに見える。
 思い出すのは『古月せをり』という名前だ。鎌倉を目指し帰還しなかった少女。彼女が鎌倉にいることは確かなのだが……。
 なにしろ古月家は神祇院に纏わる血筋の神職だ。そのような人間を、鎌倉がどう扱うのか。
「ところで、鎌倉の内情がどうなっているのかは、皆さん聞いておりますか?」
 その思考を遮ったのは夾竹桃(r2p001439)だった。霧原 夜宵という天使との戦いを終えたばかりだ。だがただ戦い天使やサヴェージを倒しただけではない。
 いくつかのチームは鎌倉からの使者たちと会話を交わす中で色々と鎌倉側の情報が得られたらしい。
 大天使シャークサバイバーらを討伐し合流した鹿島 由鯉子(r2p000074)たちはその内容について語り始めた。
「まず鎌倉には、マシロ市みたいな戦力があるみたいですねぇ。ヴァニタスやフレッシュもいるし、天使と戦ったこともあるみたいです! たまにですけど!」
「ある程度の生活水準は保たれていて、食料も自給自足で回っているとか。
 結界を直に確かめた者も居たが、どうやら神による本物の結界だという判断がついたようだ」
 自動販売機、もといフォルテ&モイスト・サシ(r2p000011)が言葉を継ぐ。共生関係にあるサヴェージと天使に対する大規模な四面作戦を終えたばかりらしく、ボディのあちこちに傷がある。
 鎌倉から派遣された甘縄 白菊の話を思い出しながら、鳶(r2p002991)も頷いた。
「俺が聞いた話とも一致するね。他にもある。黄連という男が『先代様』にかわって鎌倉を収め始めたのはつい最近らしい。その先代様は千里を見渡す力があるとか」
「なるほど。ラファエラを倒したことを知っていたのはそのせいか」
 ミーナ・シルバー(r2p000068)は佐竹 黄連の態度を思い出しながらこくりと頷いた。
 そして、大きな赤鳥居が見えたところで一度足を止める。
 ここから先は、鎌倉市だ。自分達は果たして結界とやらに認められたのだろうか。
 いずれにせよ行ってみればわかることである。
 ミーナたちはこの先に待ち受けるものを想像しつつ、足を踏み出すのだった。


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