はじまりはじまり I
2054年、1月7日――
K.Y.R.I.E.の司令室には普段そこには居ない顔が居た。
涼介・マクスウェル(r2n000002)、シュペル・M・ウィリー(r2n000005)、ラプラス・ダミーフェイク(r2n000004)……
レオパル・ド・ティゲール(r2n000021)に、責任者の王条かぐら(r2n000003)。
加えて何名かのレイヴンズは『代表』という形でその現場に集められていた。
「必要な時期が来ましたのでね。皆さんにも状況を共有しよう、という事です」
「珍しく積極情報開示するってワケさ!
まー、言い換えれば君達も当事者になるって意味なんだけどNE!」
相も変わらず冷静極まりない調子で言った涼介の言葉に応えるようにラプラスがパチンと指を鳴らす。
そうすれば、すぐにアストラチカに接続されたモニターに一つの画像が映し出される。
「……これは、何……いえ、世界、地図……?」
小首を傾げた北靈院 命(r2p000308)の見たものは彼女にとって見た事のある、但しそれとは似ていながら同一ではないものだった。
ユーラシア大陸らしきものがある。北米らしきエリアがある。そして悉くが不格好に欠損し、何か違うものになっている――
「ご名答です。これは現在の世界地図」
「――――」
朝月 玄夜(r2p001149)は思わず息を呑まずにはいられなかった。
「教授。軽く解説を」
「必要なプロセスとも思わんが、まあ良い。
この世界は2024年頃――恐らく天使の出現を契機に生じた大変容により姿を変えた。
まぁ、この近所を眺めても塩の湖だ、葉山島だ――観測物には事欠かないのだから承知はしているだろうが。
単純に言えば、大変容が起こる前と現在では地表面積には著しい差異が生じている。詳しく言うなら失われた平方メートルは――」
シュペルは立て板に水を流すように喋り続けたが、そこは余り重要では無いだろう。
日本の関東エリア、旧横浜市の一部を中心に歩みを進めた人類が見知る姿はこのマシロ市周辺だけだ。されど、それを見ただけでも世界が如何に変容し、如何に崩壊したかは語るまでも無い現実だった。
人類の99%以上が間違いなく死滅したとされるこの世界が、元の形状を保っている筈も無かったが――突きつけられた滅びの形は凄絶なものに違いない。
「何故、この地図を……? それからそのポイントマークは一体」
「確かに。敢えて今、この地図を示した意味は知りたい所だ。そしてその思惑も」
「……知っている話を勿体付けてさ。
たった今情報を寄越したのなら、きっと理由はあるんだろう?
私は生憎と涼介君の完全な善意を信頼何て出来ないよ」
玄夜の言葉にレオパルとかぐらが頷いた。
「これは今知った話なのかい?」
「顕現自体は今日ですよ。情報筋や取得の手段は企業秘密という事で」
涼介はかぐらの言葉の切っ先を軽くかわして言う。
「――まぁ、結論から言いますとね」
「御覧の有様ってワケですYO!」
パチンと指を鳴らしたラプラスに応じるように世界地図上に男女のシルエットが連続して浮かび上がった。
Lieselotte、Alexandra、Dion、Li=Le、Eil=Le、Marcus、Freja……
識別番号と共に記載された名前は唯の文字の羅列であっても悪夢めいていた。
それぞれの出で立ちは性別も年恰好も統一感が無いように見えて、例外事項が存在していたから。
それは間違いようも無く 脳が理解を拒みたくなるような最悪だ。
「――まさか」
「そんな事――」
乾・依心(r2p000803)の、矢風・初雪(r2p000958)の目が見開かれた。
モニターの中の人物の像は映像なりの粗さを帯びてはいたが、見落としようのない特徴はそれだけの衝撃を帯びていた。
――天冠に、六枚の羽。
即ち、それは――
「――熾天使、ですよね――」
芦原 瑞穂(r2p001211)の言う通り、間違いようもない今日の事実を告げていた。
「まぁ、見ての通りです。変容した世界に今日、六……いえ、七体の熾天使が降臨した。
一番近い所だと――この日本の、旧京都エリア辺りですね。
それ以外にも欧羅巴、中央ユーラシア、北米、南米、アフリカ以南インド洋方面――
まさに彼等は今日、この地球中に陣取ったという訳です」
「……………」
死刑宣告のような涼介の言葉にエドワード・ルイス(r2p000459)は押し黙らずにいられなかった。
市長がわざわざ雁首を集めてゲームオーバーを伝えるような人物だとは思わないが……
だからこそ、簡単に顔色を変えるのは彼の手管に乗るようなものだと考えたから。
「市長さんがそうやって話をする……
……という事はマシロ市がおしまい、という事ではないのですよね?」
果たして、そんなエドワードとは対照的に実に直截的にルーナヴェルテ(r2p005096)が問いかけた。『アリーナの王』らしい――戦闘経験と同様に冴えた勘を働かせたらしい彼女は、持ち前のマイペースさを変えていない。
「勿論。今日の話は世界はこれにて滅びます、何てものではありませんよ。
唯、理解して欲しい――理解するべき時が来た、という事です」
余裕のままの涼介の言葉にシュペルが軽く舌を打った。
「勿体付けやがって」と言わんばかりの横合いからの圧力に涼介は言葉を続ける。
「むしろ喜ばしい事ですよ。
天使は予選を終えたかも知れないが或る意味それは皆さんも同等だ。
彼等は歯牙にさえかけないかも知れないが、私の予備選を超えた意味は実に大きい」
(……こんちくしょうめ)
涼介のやや露悪的な物言いにかぐらが微妙な顔をした。
しかし、止めない。今は御機嫌な彼の話を聞かねばならない。
「そう、皆さんは何故、熾天使が六体も顕現したかを知る必要がある。
そして――その情報は、大本。熾天使とは何か……を尋ねるものにもなる。
同時に、これから世界で何が起きるのかを御理解頂ければ。
どうすれば人類がハッピーエンドを迎えられるのか、それが叶うかどうかを知れば。
ええ、これが始まりだと承知する事にもなる事でしょうからね――」
※市長からマシロ市に驚愕の情報がもたらされています――
※広域地理情報管理システム『アストラチカ』のメジャーバージョンがアップデートされました。
更新内容
・日本地図掲載←New
・新人類圏地図掲載←New
・世界地図掲載←New


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