諏訪のほとりへ


 ――深い霧に包み込まれたかのようだった。
 同時に、水の気が辺りに包み込む。ざばりと深くその肉体を包み込んだそれが全てを禊ぎ、清浄をも求めるかのようだった。
 その空間を泳ぐように鹿島 由鯉子(r2p000074)が手足をばたばたとさせていた。
「すですうううう~~~!!!!! お祭りの許可をとるのです~~~!!!」
 まるで彼女は進む。諏訪への道は単純であったはずなのに、ずっと堂々巡りをしていた。
 ぐるぐると回って、ついに辿り着いたその先が白き霧に覆われていたからと言って、諦められるものか。
「ッ、まった――」
 青金 玄(r2p000384)は見えなくなると手を伸ばした。勢いよく進んでしまう由鯉子が霧に飲まれて姿を消してしまう。
 慌てて追いかけていくが、おおい、と何かが呼び掛けてくる。何かが追いすがるように手を伸ばしてくる。
 玄は霧の気配に乗るように手を伸ばした。火遠理命と呼ばれる神は、海神の宮へと参った事があるらしい。
 ――きっと、そのまま、泳いで行ける。大丈夫だとざばざばと泳ぐように進んでいく。
(……長野は神の地。諏訪の民は自然を奉るからそれこそあちこちから視線を感じるものだろう。
 つまりは木々や水、風、ありとあらゆるものが神であろう。だからこそ、
 そう息を吐き出した飯縄 戒飛(r2p000662)は息を飲んだ。
 無数にが存在し、此方を見て笑っているように感じられたのだ。
 周囲を包み込む、その気配へとescae・illicium(r2p003417)は「」とそう言った。
 の教えに従いながら、ここまでやって来た甲斐がある。マンジュリカ・クォーツ(r2p005379)は「でも、がどうしてここに?」とそう唇を動かした。
 何かが、声を掛けてくる。後ろ髪を引いて、この場所に繋ぎとめようとしてくる。
 悪しき気配などなかった。ずっと清浄なる空気に包み込まれていると思ったのに――
「ここはなんだろうね。霧でよく見えていなかったけれど石があった。
 路傍に存在するそうしたものはこの先の道程を守ってくれるのと同じように、境目の意味を持っている。
 だからこそ、この場所が境となるからこそのではないかな」
 夏目 玖郎(r2p005710)はそう笑ってから、先へ行こうと歩き出す。真っ白な霧の中を手探りで進むわけではない。
 は彼らの領域だ。武器商人(r2p000873)はくつくつと喉を鳴らして笑いながらゆっくりと歩いていく。
「手荒い、禊だねえ」
 先に迷うことなく歩いていけば、霧がふわりと開けていくかのようにも見えたか。

 ――おおい。

 何かが呼ぶ声を、武器商人が払いのけるように手をやった。視線の先には兎神 ウェネト(r2p000078)が立っている。
「勾玉を擁する勢力が何であるか。まだまだ未知数でござりゅが。
 こうしている限りはとそう、認識しておくべきか。……さて、か。
 恐み恐み白します。我ら一同、諏訪大社へ詣で奉らんとす――道の御障りをお鎮め下さり、通し給えませ」
 ――そうして、霧が晴れた。





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