OVER THE BLUE HELL II


 巨大な波濤は、まるで全てを食い千切る咢だ。
 立ち向かう全ての命を呑み込んで、深海くらやみへと沈める『死』だ――

 破壊の具現が、クラーケンが『何かをする』度に海が揺れて。
 その波は全ての戦場にまで届くだろう。
 だけど。――背後、遥かに護る横須賀には、リベリカ・A・アオヤマ(r2p005502)の母がいる。受け継いだ白き氷竜の因子が、この身体に流れている。
 なら、戦う以外に選択肢なんかない。
「絶対に、ここで――叩き潰すッ!」
 この身は全て偉大なる存在に、などと奴らが囀るのなら、リベリカだって偉大なる存在おふくろの為にこの凍れる竜の力を以て敵を薙ぐのだ。
 嵐を裂く、竜の咆哮。
 竜咆輝光波シュトラーレン・ドラッヘ――鳳 菖蒲(r2p000556)が繰り出す魔力収束収斂咆哮ドラゴンブレスが戦場を貫いた。
「クラーケンの対応に唯でさえ忙しい時に……羽虫天使の言葉に耳を傾けるほどボクは暇じゃない……供にいたいって言うのなら……その玩具諸共に逝け」
 全て打ち砕くのみだ。菖蒲は綺麗事は言わない、天使の戯言に聞く耳も持たない、如何なる理由があろうとも
 戦っている。生存圏を奪い合っている。――争いが起きる以上、死んでしまうことは仕方がない。
「……それでも。精一杯戦ったヒトが。仲間のために、大切な人のために戦ったヒトが。こうやって、何度も繰り返し弄ばれていいわけがないだろう……?」
 巨影シェーヴェを見上げ、鳥飼 茜(r2p001487)は厳然と告げる。これは命懸けの戦いだ。そして、この海では数多の『命懸けの戦い』があった。
「ならば……私もやらない理由はないだろう?」
 一歩たりとて退くものか。
「ルビーブラッドの、紅玉公の名において、この戦いに終止符を!」
 紅玉剣ルビーブラッド・ソードを凛と構え、シューヴェルト・ルビーブラッド(r2p000582)は因縁なる血族へ告げた。
 ――この血に懸けて。己が信じる正義の為に。「護りきってみせる」と迷いなく。白銀の髪を翻し、吸血鬼は真紅の刃を突き付ける。
 強き者には他者を守る義務がある。
 ――イドリス(r2p001664)もそう思うから。竜は、人の盾となろうお前たちを必ず守り抜くと誓う
「生憎、お前たちに同情を向けてやるほど私は寛大ではないのだ。
 かかって来るが良い。この海をお前たちの墓場としてやろう」
 征こう――この嵐を貫いて。
 進め進め。絶望の海を越え、受難の波濤を貫いて。
「横須賀へは、一歩だって踏み込ませません!」
 夜を征けフライトコール。玻羽(r2p006275)は歌声を響かせる。純白の翼を広げ、仲間達の背中を見つめ――大丈夫、夜は必ず明けるのだから。
「荒れる海でも底なし沼でも、あたしは沈んだりせず、前へと進み続けますわ。だってあたしは導きの燈だから!」
 シンディー・"ヒンキーパンク"・フォーサイス(r2p000146)は。歌声響くは人類賛歌、止まぬそれを希望に変えて、共に勇気の前進を。最前へ、最善へ――遥かな光の先へ!
あたし達は、沈まないわ!
 またひとつ、戦いに決着がついていく。
 冷たい波が飛沫を上げて、名無(r2p006054)を濡らした。
 終わった戦場。遠くではまだ戦いが続いているが、それでも今だけ、ここだけは、静かだった。
「俺達はキミとは違う道をゆく。
 天使の親玉をぜぇーんぶ倒して、世界を救ったるわ。
 せいぜいあの世で俺達が世界を救うのを眺めとるんやな」
 大きな波がうねって。強い風が、名無の外套を揺らして。

 ――嵐はまだ、止まない。



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