STAGE END


「……ったく、本当に間が悪すぎるのよ」
「……………」
 未だに文句を言い続けるアレクシアに流石に辟易したのかジャックはもう何も言い返さなかった。
「やっぱ、やっちゃえばいいっすよ。ね、ダーリン!」
 剣呑極まるスオルの言葉は誰も相手にしないから良いとして……
 による歌舞伎町プシュケーの拿捕とリスポーン実験はK.Y.R.I.E.の見事な介入によって結果的に阻止された格好となっていた。
 ダナエ狂瑠璃――態度以上に仲間想いであった二人の犠牲は避けられなかったものの、事実として述べるならBaroqueと会敵してで済んだ事例は旧時代を含めても例外的であるとさえ言えるのだから、レイヴンズの成し遂げた困難が如何なるものかは最早語る意味さえ無いだろう。
「いい加減に機嫌を直しなさいよ。貴女がモタモタしていたのも悪いのよ、アレクシア」
 嘆息したアイリーンが遂に窘めるようにそう言った。
 、拗ねたアレクシアの機嫌を取るのはの仕事だったものだが。
(とっとと現れてキスの一つでもしてやんなさいよ。
 一発派手にさ。そしたらこの面倒臭い女、黙るから)
 何時かのシーンで借りてきた猫のように大人しくなった悪友の姿を思い出し、アイリーンはシニカルに笑っている。
「……でも、カロルの教育には良くないか」
「へ? 私です……?」
「ええ、今回駄目だった貴女へのお仕置きを考えていた所よ」
「!!!!!」
 目を丸くしたカロルが総毛立つが、この言葉は無論アイリーンのの域を出ない。
「ねえ、極聖! 貴方も途中で邪魔されて不満だったクチじゃないの!?」
「ん、ああ――」
 不平不満の水を向けられた極聖はアレクシアの方へ向き直り何とも微妙な顔をした。
「何か極聖、あんまり元気ねぇ感じじゃねーっすか?」
 珍しく目敏くスオルが言うと彼は「うむ」と頷いた。
「何せ、あばらが折れているのでな」
「――はあ!?」
 アレクシアが目を見開いた。
 極聖は主に白猫という女とやり合っていた筈だが、力の差は歴然だった筈だ。
 何時そんな負傷をする余地があったのか――
「ダナエという女の一発がだったのでな。
 アレで、折れた」
 ――答えはだ。
 乾坤一擲、決死のアセンションによる一撃は極聖にとってもそれなりに重いものだったらしい。無論、彼が本当の彼なら――デバイス等身に着けていなければ結果は随分と変わっていたに違いないのだが。いやまあ、それより何より。極聖はあばらが折れたまま白猫と縁を圧倒していたという事になるのだが――まあ、それは良い。
「あー、そういや」
 思い付いたようにジャックが欠伸を噛み殺して言った。
「さっきバラした女もまあ思ったよりは愉しめたな。
 こんな極東くんだりで――それなりに予想外って言えばそれはそうだぜ。
 意外とこの辺の連中、思ったよりはヤるんじゃねーの」
「……………はあ。なら結果的に丁度良かったってワケ?」
 アレクシアはやはり苦虫を噛み潰した顔で納得せざるを得なかった。
 プシュケーにせよ、K.Y.R.I.E.にせよBaroqueの敵では有り得ない。
 あの程度の連中に負けるなんて有り得ないが、下手に被害を増やしすぎれば座天使タラリア狩りに支障が出かねない事情もある。
 面々がそんなやり取りを続けていると――突然、夜の静寂に騒がしい声が響き渡った。

 ――あー、テステス! マイクテス! オッケー、聞こえてるね。問題ないね!

 それは座天使タラリアの声であった。

 ――今回は業務連絡だ。
   招かれざる参加者諸君が……
   ……まあ、参加した以上はこの際もう歓迎するのだけれどね。
   参加者を捕まえて殺しまくるとかいうひっどい作戦を考えました!
   そういうのいけないと思います。コンドルもびっくりしてるよ。
   ゲイムがゲイムにならなないし? 可哀想❤だろ?
   兎に角そういうのはゲイム・マスター権限で禁止とさせて貰おうかな。
   あ、今皆のタラリアさんの好感度爆上がりしたね?
   続けたら、ちゃあんとペナルティを架すから今後は考えないようにね。以上!

「……」
「……………」
 顔を見合わせたBaroqueはもう面倒になって帰るか、と溜息を吐いた。
「……本当に美しくないゲイム運営だわ」
 唯一人。
 今度は頭痛を禁じ得ない顔をしたアイリーンだけが酷く不機嫌になっていた――

 歌舞伎町プシュケー、Baroque、K.Y.R.I.E.による騒乱が一応の解決を見たようです……


K.Y.R.I.E.データーベース(辞書機能)が実装されました!





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