ラスト・ゲイム:アルケー II


 八尺瓊勾玉。
 その名を知らぬ者はそうそう居るまい、三種の神器なる神話級のアーティファクトだ。
 それは今、八尺瓊勾玉の分霊たるアオノ(r2n000271)と共に国際展示場要塞まで移動中であり(運ばれており)――

 ――その力を喰らわんと狙う存在がいた。

「バンダースナッチの雛――スナークが八尺瓊勾玉を狙って飛んで来てるんだよね。数? 現在進行形で増えてるかなー」
 なかなかのエマージェンシーみある。七井 あむ(r2n000094)は国際展示場要塞の、そして渋谷で戦闘中のレイヴンズへと通信機で緊急招集をかけた。
「一匹も八尺瓊勾玉に近付けないでほしい。無茶振りっぽいこと言っちゃってるけど、できるっしょ?」
 通信機越しに含み笑うあむの声音には、しかし確かなる信頼があった。

「折角、決勝戦まで戦い抜いたのだ。斯様な羽虫に脅かされる訳にもいくまい」
 百鬼 奈鬼羅(r2p008412)は鬼の膂力を以て大太刀を抜刀する。紫陽花の双眸が見据える先の空に――黒い点が、幾つも、幾つも、無数に。まるで空に幾つもの針穴が空いたように。
 アレが全てスナークか。縊り甲斐がある。一つでも多くを縊ればそれだけ人を護れるのなら――奈鬼羅は戦おう。護り抜こう。たとえ、その身が滅びようとも。
「支援するよっ!」
 そんな奈鬼羅をサポートするのは、電子精霊識別番号217こと志佐島 ニイナ(r2p008403)。こんな戦いにも勝って、自分達はもっともっと幸せな夢と出会うのだ。負けられない。負けたくない。やりたいことがたくさんある。また会いたい人がたくさんいる。
 もう、こんなにも未練で両手がいっぱいで。
 ――ニイナはそれを、『幸福』と定義するのだ。
「行って!」
 治癒の電子精霊を散開させる。奈鬼羅を、共に戦う皆を、ニイナは支え続ける。

 そんな一方で。

「うわあぁあぁあああああぁあああ!!? あああああああ~~~~~!!!」
 ジュリアーノ・ベルティ(r2p008441)は全力疾走をしていた。その後ろを猛然と追うのは、スナークの群れ。その数は数え切れず、本能をゾッとさせる羽音を金切声を上げて、獲物を全速力で追っている。
「何ですか誰ですかこっちこないでくださーーーーーい!!?」
 一瞬でも足がもつれたら、その時……ジュリアーノは鳥葬ならぬスナーク葬されてしまうのだろう。なってたまるか。走り続ける。逃げ続ける。幸運なことに、ジュリアーノは『走る』ことにおいて神に愛されていた。不運なことは、御覧の通りだが。

 新たなる局面も迎え、カタルモイのラストゲイムは加速していく――

「へぇ、散々悪事を働いて挙句には断罪者気取りと来たか。いいね、俺は嫌いじゃないですよ」
 あぁ会話は無用です――来いよ断罪者。青海 悠河(r2p000047)は回転式弾倉散弾銃MT-デンメルング(モンストロタクティカル・デンメルング)を天使へと突き付ける。
「生憎と俺はお前に裁かれるような薄っぺらい罪なんて持ち合わせてない」
 命を踏みにじるような真似をしたお前にやる明日はない。引き金を、引いた。
「ボクは……あの時より強くなったんです!」
 状況は複雑だ。塩の雨に天使達に、それにプシュケー……けれど夢島 マオ(r2p008317)はすべきことを見失わない。止まることも、ない。大いなる愛を携えて、祈り願うは皆の生還。皆の無事。
(今はバラバラでも、きっと手を取り合えるはずだから……)
 塩の雨の中、願う。
「オレの恋人は死なせねぇ。絶対に二人……いや、全員で帰るんだ。まどか、お前もその『全員』に入ってるんだぜ?」
 オレだって、子供が死ぬのは見たくねぇからな。小野寺 レイミ(r2p008902)は恋人の為に戦うが、それは同時に自分の為でもあった。
 滅魂撃・霊威纏い――魂の炎を四肢に燃やし、レイミは戦場を駆る。この戦い、負けられない。
「来いよ、俺らも逃げねえ! けど、見捨てることもしねえ!」
 殺し合って終わり。なんて、浅月 万紅那(r2p002386)はサレンダー(降参)は嫌だ。最後まで足掻ききる。たとえ助けられる範囲に限りがあろうが、全部終わりになるまで手を伸ばし続けよう。
「俺のお節介につきあってもらうぞ! これ以上……こんなゲイムで誰も死なせねえ!」







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