
シーズンテーマノベル『それいけマシロキャンパーズ!』
キャンプ日和がやってきた。リュックサックにお菓子を詰めて、テントを抱えて出かけよう。
澄んだ空気とキャンプご飯と、満点の空が待っている。
仲間と見上げる空はきっと、特別な色を映すだろう。
こうして今年も始まったキャンプ合宿は、去年と同じく学園生徒のみならず大人たちも交えてのイベントとなった。
違いはやはり、マシロ市北西部のマシロ塩湖中央にぽっこり存在する蒔田島――のみならず、この一年で掃討が進んで比較的安全になったマシロ市北部の野毛山が合宿地として選ばれたことだろう。
早速、仲間と共にでかけよう。
刻陽学園キャンプ合宿、只今開幕……!
商品概要:シーズンテーマノベル
商品 | 説明 |
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発注可能クリエイター
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基本価格 100RC~ |
景品
シーズンテーマノベル限定アイテム『ジャイアント串肉』
サンプルSS:『想い出をいっぱいにして』
登場NPC:九美上 こひな(r2n000071)、匂坂 愛(r2n000011)、イビルしうまい君(r2n000152)
「あー……むっ!」
大きな肉の塊を頬張る匂坂 愛(r2n000011)。
噛むことで広がるさっぱりとした脂とほどよい塩加減が舌の上を踊るように混じり合う。
焼きたての熱も気にしないくらい夢中になってもぐもぐやってから、愛はぺろりと自分の唇をなめた。
「おいしーい! 焼き加減もばっちりだねえ」
思わず顔がほころぶが、美味しい肉を食べれば誰しもそんな表情になるだろう。
やわらかく流した桃色の髪と、健康的な赤みを帯びた頬。シートに置いた皿には結構な数の串が積み上がっていたけれど、その表情はまだ食べ足りないといった様子だ。
「ありがとう! どんどん焼くから、いっぱい食べてね!」
そう言って火のかかった網に串肉を並べていくのは、巨大なシュウマイから蛸の足が生えたふしぎなナマモノだった。マシロ市にご在住の方々はご存じであろう。マシロ市のマスコットキャラクター、イビルしうまい君(r2n000152)である。
シュウマイ部分に描かれためちゃくちゃシンプルな顔(・◡・)がもにもに動き、無数にあるタコ足を使って串を掴んで肉をひっくり返したり、似たような顔が描かれた塩瓶(マシロ市のショップで販売中)で肉に味を付けたりと八面六臂の活躍を見せている。実際立つことに使う二本以外は作業に用いているので字面的にもあんまり間違っていない。
「去年もキャンプはしたけど。やっぱりバーベキューはお外でするのが一番だね!」
焼き上がった串肉を受け取り、その両端をもってあーんと口を開ける九美上 こひな(r2n000071)。
よく焼けつつも柔らかさを保った牛肉は囓りやすく、それを細かく囓ってはほっぺを膨らませるというなんだかリスっぽい食べ方をするこひなである。
思うさま食べ、こくりと飲み込めば肉の熱が喉を滑って胸に落ちていく感覚に浸れる。
こひなはぽあーっと息を吐いて空を見上げた。
マシロ市の外で見る空はいつもよりずっと広くて、手入れされた公園とはまるでちがう剥き出しの自然は草と土のさわやかな香りをさせている。
去年の同時期に行われた市外キャンプ合宿は、市外への進出を始めたばかりの能力者たちにとって訓練の場でもあった。
だが横須賀の奪還や大和市の踏破などこの一年でいくつもの実戦を重ねた彼ら彼女らにとっては、今度は逆にゆとりと癒やしの場になりつつある。
こひなはふと後ろを振り返り、ピンク色の可愛らしいテントを見た。
「ね、愛ちゃん。夜になったら一緒にお星様を見ない? きっとすごく綺麗だよ」
「わぁ。いいねえ~。まわりに灯りのない空なんて、普段は絶対見られないもんね」
マシロ市育ちのロストエイジ世代にとっても。2024年までを生きたフレッシュ世代にとっても。満点の空と開放的な空気はやはり新鮮なのだろう。
と、そこへイビルしうまい君の声がかかった。
「お肉が焼けたよ! たべる!?」
「「食べるー!!」」
胸いっぱいお腹いっぱい、そして思いでいっぱいのキャンプ合宿が、はじまっていた。