2024/04/01


 2024年04月01日。
 その日が、人生で一番に大切な日になった。

「ハク、ハク! 早く、早く!」
「夏帆。病院の中は走らない」
「でもさあ! ふふー、嬉しいね。やっと会えるんだよ。ハクだって早足してる」
「……うっるさいな……」
 僕らは幼稚園の頃からずっと一緒。単身赴任で大阪に行ってしまった夏帆のお父さんは僕の父さんの昔からの友人だった。
 料理が余り得意ではないと一人で大変そうにしていた夏帆の母さんに僕の母さんが皆で一緒に過ごしましょうだなんて提案した。
 そこから僕と夏帆は家族みたいに過ごしてきた。
 一緒に行った入学式でランドセルの留め金を止めずにお辞儀をした夏帆が「中身ぃ~!」と叫んでたことは覚えてる。
 三年生になった時、クラブ活動をどうしようかと二人で話し合った。夏帆は水泳クラブを選んだっけ。
 僕は得意なこと何て何も無くて、クラブ活動なんて嫌だと思っていたときに夏帆が「じゃあ、好きを探そう」って笑って居た。
 そこから僕らはずっと一緒で、家族だった。
 だから、彼女も家族の一員として此処までやってきた。

 母さんが新しい家族が増えると教えてくれたのは秋に入った頃だった。
 大切な家族の名前を考えたいと僕が言った時母さんは可笑しそうに笑って居たっけ。
 皆で必死に考えたんだ。
 だから、その名前をプレゼントに持ってきた。
 2024年4月1日。朝日がキラキラきれいな時に君は産声を上げたんだよね。

 病室で僕らは二人並んで座って待っていた。
 先に母さんの様子を見たいと部屋の前でうろうろとする忍海のおばさんが泣き出した声がした。
「奈津実、泣かないでよ」
「だって、だってぇ~~、リカちゃん、がんばったねえ、がんばったねえ!」
 相変わらずの忍海のおばさんに夏帆が「お母さん凄い泣いてる!」って可笑しそうに笑った。
「そうだね」
「学校、戻ったら美夢ちゃんと一弥君に写真見せてあげようよ。
 あ、でも、秘密基地に来てくれた人にも写真送らなきゃかな!?」
「そうだね。コッコさんヤシロさんミミさん、それから、鍵子さん
翔子ちゃんと、シンジくん、それにイオリくん花梨ちゃんだ!
 秘密基地に遊びに来てくれた乃蒼さんとか、我らが後輩ウェネトちゃん
 紗菜ちゃんにー、有希ちゃんー。それからー、セレーネちゃんと津軽海峡横断部の礼ちゃん海西ちゃん!」
「津軽海峡、本当にするの?」
「するよー?」
「そ、そっか……あ、でさ、ミラって提案してくれた恵梨香さんとか、トワって提案してくれた舞香さん。兄バカについて教えてくれたひなたさん……。
 あ、それにさ、遊びに来てくれた小鳥さん太白さんにも生まれた報告したいな」
「でもでも、一番は一桜くんでしょ?」
「うん、そうだね。だって、あの人が名前を付けてくれたんだもん。
 でも、生徒会室で遊んだ皆とか、秘密基地で逢った人とか、色んな人が楽しみにしてくれていたから、報告したいな」
「いっそがしくなるね~? 飾り付け終わったし、そろそろだよ!」
「うん」
 扉が開く。
 君がやってきた。

「ハッピーバースディ! メイちゃん!」
「メイ、生まれて来てくれてありがとう。
 僕を、お兄ちゃんにしてくれてありがとう」
 ――君が、生まれた日。僕らの宝物が増えた日。
 僕がメイの事、絶対に守ってあげるからね。だってさ、僕はお兄ちゃんだから。

 忍海 夏帆(r2n000020)と嘉神 ハク(r2n000020)。
 2024年04月01日のある朝の話。


※一日限りの不思議な夢が始まりました――
※本日は『2024年4月1日』『天使が訪れなかった日』となります。

※4月1日~4月2日の0時まで全ての「天使化」「不明」「死亡」状態が解除されます。
(4月2日になると再度「天使化」「不明」「死亡」状態へと順次戻ります)

※4月1日限定のショートシナリオ『2024/04/01』が開始されました。
※4月1日限定のシロトーク『2024/04/01』が開設されました。
(『不思議な2024年』として扱われます。その為、ロストエイジも参加可能です)