千波万波は咢の如く II


 この海には、一体どれだけの悲劇が沈んでいるのだろう?

「……悪ぃが、同情はしねえ」
 対峙する邪精霊シーゴーントは、そんな悲劇の一端の具現で。奥州 一悟(r2p002630)は槍をぐっと握りしめる。
「月光船には精霊たちが乗ってんだ。やらせるわけにはいかねえんだよ!」
 紅い炎をぶつけよう。灰になるまで、その悲しみごと燃やし尽くす――!
「やり遂げてみせるとも」
 小机 柊志(r2p001082)は月光船ルナ・ルクス・ナウィスを駆る
 かつて男は、クルーズ船パーサーだった。
 大破局で海と船を失って、ずっとずっと――戻るはずもない船の幻影を追い求めていた。
(その船が、ああ、今こうして走ってる)
 この光景を決して忘れまい。止まっていた時が、諦めかけた夢が加速していくように、船は海を進んでいく。
(次はきっと、いつか、いつか本物の船で、平和になった海を、どこまでも――……!)

 ――激戦の中、月光船は進んでいく。

 それを阻むがあるのなら、ヨナ・サラフ・エフライム(r2p006845)は迷いなく立ちはだかるのだ。
「我が主よ、力を振るい紛い物を破壊する私を赦し給え」
 恨み、執念、怨讐。そんな『毒』を――相対した天使も持っているそれを――力に変えて。
 第一の審判ファースト・インプレッションを下そう。紛い物天使は朽ちるべし。
「……そのお力、憎悪、お覚悟――どうぞ、発揮なさってください。
 私も死に物狂いでお応えいたします」
 蒼き海よりの刺客に、月朱(r2p005620)は凛然と答えよう。月色の髪を潮風に翻し、突きつける指先。「マーナガルム」とその名を呼べば、冬の月よりも白い狼が牙を剥く――!
 重ねる、銃声。桟原 紗穂(r2p001695)は天使へと二丁魔導銃を撃ち放つ。赤い炎が嵐に奔る。
「私は海は危険だと教わってきた世代でさ。
 でも、光の領域で守られた島と海は、外敵や危険とは無縁の平和な場所だった――」
 きらきら、思い返すのは優しい平穏。鮮やかな青春。
「だから、
 だから……これでおしまい。
 天使らにも様々な事情があろう。しかし紫崎 天子(r2p001137)が相対したそれはなんとも奇怪であった
「私ついにおかしくなってしまったのかな……」
 ――が、海の藻屑になるわけにもいかないので。
「闇を切り裂く光となれー!」
 断罪する灰の混沌インスタビリス・マギア。光と闇を縒り合わせた槍を放つのだ。

 轟くような低い濤声は、さながらクラーケンの唸り声か。
 それを讃美歌に変えて、大怪物を信奉する天使らは怪物の分体シェーヴェと共に襲い来る。

「決戦ぽくてええシチュエーションちゃうか? ま、こないな所で負けるいう事があったら、ホンマによーあらへんのやろうけど」
 嵐の中、スン・ウーコン(r2p000154)は二丁魔銃を迫る脅威へと向けよう。
「ふふん! 燃えてきたでー♪」
 死神の照星。煌めく光が、つべき敵を逃さない。
「海が嘆いてるって言うのも、人間が愚かって言うのも、嘘だとは言わないよ」
 でも、とアリアス・ミラドレクス(r2p000020)は天使潮誦者へと問いかける。嘆いているのは海でなく己自身なのでは、と。
「嘆くことは悪いことじゃないけど、どんどん積み重なって、どんどん大きくなって一人じゃ止められなくなってる。それって、自分自身が一番つらいよね。
 でもでも、だからって誰かを沈めるのは違うよね!」
 だから止めるよ。――歌うような慈悲の光に包まれて、アリアスは真っ直ぐに告げる。
 一方で天堂 烈(r2p001084)は、亡者の姿を取るシェーヴェを見据えるのだ。
「――志半ばで伝えられなかった言葉があるなら届けよう」
 その為にも、立ちはだかる。盾となる。命あるものの『生』を明日へと繋ぐこと、それが『医師』の使命なれば。
「人が自分の『好き』に煌めく、その瞬間を俺は生かす」

 この嵐の先に未来があると、そう信じている。

 

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