夏絢爛、三年祭


「此処も賑やかになりましたね」
 そう微笑む嘉神 ハク(r2n000008)を七井 あむ(r2n000094)は「だしょ?」と楽し気な笑みを浮かべて振り返った。
 からり、ころり下駄を鳴らすあむは気儘に夏祭りの為にと彩られた道を行く。
 二人はK.Y.R.I.E.とKPAの仕事で視察を行っているのだ。
 スタート地点はマシロ市内。いつも通りに様々な店舗が夏祭りモードとなり、夜間営業を行っている。
 そして、マシロ電鉄で行く先の磯子はゴッソイシティでの限定ドリンク販売やイソゴーランドのナイト営業などが楽し気だ。
 人類がこの地を取り戻し、の光景を感じるならば磯子地区がやはり一番だろう。当たり前のようにナイトプールや遊園地で遊びまわっていた人々は此処に懐かしさを見出すのだ。
 そうして、氷取沢橋頭保から枝分かれしていく先には横須賀が。九相寺 大志(r2n000122)がナイトクルージングなどもいいのではないかと心を躍らせていたとも聞いている。海の男たちもクラーケン亡き今、夏祭りには積極的だ。
 人類にとっての最初の人類コロニーであった鎌倉などは昨年の夏まつり経験を活かして、今年も由緒正しき祭りの光景を届けてくれている。
 それから――そこから先、だ。第五熾天使アレクシスとの戦いの名残を感じさせていた御殿場までの道もどこもかしこもが夏祭りの様子に彩られている。湘南の海は、静けさに溢れ、灯篭を流す者もいるだろう。箱根の山では宿泊をして傷を癒す者もいる。
 御殿場市街ではキャンプパールコーストによる夏祭りが行われ、祭りにかこつけての軍事訓練なども行われていた。
「まあ、小田原の方もね、祭りには積極的らしいよ。つか、カゲオミも来たら良かったのにさ」
「ああ……まあ、カゲオミさんは小田原の方からしてもあまり心象が良くない所はあるのだとは言っていましたね。
 多摩の方でもささやかなお祭りをしようとノエさんが仰っていたので、そちらで遊んでいらっしゃるのでは」
「つか、KPA多摩支部与えたの我ながらてんさいすぎ」
「そうですね、マシロに関わらず、彼の本来のスペックを発揮できる。素晴らしいと思いますよ、あむさん」
 にいとあむが笑う。KPA技術主任であるあむは雀居 影臣(r2n000218)が持ち得る聖釘技術をそれなりに頭に叩き込んでいる。そして、それをどう活かすかを彼と合同研究をするために多摩支部のポストを用意する様にとKPAとK.Y.R.I.E.に掛け合ったのだ。
 かわょてんさいすぎあむち曰く、『あれ、活かさない方が人類的に損失じゃね、毒も薬になる系』である。
「電車通ってないけど甲府方面とか諏訪もっしょ? でも、岐阜は心配じゃね。
 について、一応調べはしといたよ。あれ、第八熾天使派の――少なくても力天使以上だと思わしき」
「僕も同じ見解です。は主天使級なのではないか、とさえ思っていますが……あの着ぐるみを着ている限りは分かりませんね。
 ただ、そうなると第八熾天使の中でも幹部に当たるだろう天使の介入が御津那海には行われている事となる。あまり、良い状況とは言えませんか」
 ぽつりと呟いたハクに「良くない状況といえば」とあむは顔を上げた。
は?」
 ――あからさまにハクは嫌そうな顔をした。
 それは夏祭りが行われる前日、8月21日に旧展示場要塞に突如として届いたである。

 ハロー、私だよ。君達の大好きなタラリアだ❤
 この手紙を送ったのには理由があってね、夏祭りをやるって話を聞いたんだ。
 どこからって? ハリネズミの針の数を知っているかもしれない程に物知りなんだ、私は。しかも努力家❤
 だから、聞いただけだよ。そう、聞いただけ。知っていることはたくさん教えたがりのタラリアだからね。
 楽しそうでいいよね!

 ――この辺りで手紙を呼んで居た百鬼 奈鬼羅(r2p008412)があからさまに苛立った顔をしたのは秘密である。

 楽しそうだから、私も行きたいな~❤と思ったんだけれどね、メイが行けないと可哀そうだからセルフ夏祭りする事にしたんだ。
 屋台とかも用意してあげるつもりだよ❤ アーケダマルが肉団子屋さんをするそうだよ★

 ――この辺りでハクが渋い顔をしたが、奈鬼羅を見て落ち着いたらしい。

 と、いう事で君達も素晴らしい夏祭りと余暇を楽しみたまえ。
 愛するべきものと過ごす時間とは大事なものだよ。うんうん、だって岐阜で頑張っている最中なんだからね。
 少しでも君達は傷を癒し、心にゆとりを持ち、そして😘
 私は君達に死ねとは言っていないからね。デスゲーム主催者じゃないし! とんでもないない~❤

「……うわ、なんかメールで来たら処分する系だ」
「そうですね、まあ、ある意味でこちらの心の準備をさせようとしているのかもしれませんが。
 ……カタルモイも、そろそろ大きく動くかもしれない。だからこそ、我々も備えをしろ、ということかもしれませんね?」
「かもね。気遣い? やば」
 あむはそう言ってからハクが差し出していた手紙の最期の文章を見て鼻先で笑った。

 ――あ! お土産欲しいな。
 ああ、ところでさ、君達って今川焼だとか回転焼きだとか大判焼きってよばれるアレの事は何て呼ぶんだい?

「戦争でも起こすつもり?」
 ジョークを呟いたあむにハクは可笑しそうに笑って見せた。











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