うつしよのあわい I


 御津那海町、中津川宿地区。
 旧時代のままの風景は、寂れきって終末の様相を晒していた。
 けれどそこは今、終末論者『厭離衆』、天使、レイヴンズ達、そして禍神と逃げ惑う人々の幻影が織りなす騒乱の只中にあった――

 あくまで再現された幻影、そうは分かっていても。
「なんだかやるせないな」
 恐怖の表情で走り逃げる人々の幻が、ディセリア・ミスルトゥ(r2p000112)のそばを通り過ぎていく。……こんな光景を再現させない為にも、御魂石を手に入れねばならぬ。だから乙女は、輝ける光の剣を自らの魔力で作り出すのだ。
偽りが紡フェイク・ぐ、叡智の刻印ハンドレッド・ブランズ――いくよ」
「人生は根性と任侠心、外道共に負けてたまるか!」
 御魂石――草薙剣の持つ神格の一部が逃げ込んだもの――を入手すべく、日高・立己(r2p001344)は厭離衆へと挑みかかる。滅びの予言に従う終末論者の好きにはさせない、なぜなら立己は龍人戦隊タツレンジャーのレッドなのだから!
「いくぜ!」
 ひとかけらとて諦めない。ヒーロースーツを身に纏い、立己は駆ける。
 煌めく。
 それは終わらない黄昏。永遠の茜色が射す世界で、シンディー・"ヒンキーパンク"・フォーサイス(r2p000146)は蒼く揺らめくランタンを掲げた。
「ループからの脱出、でしょう? 任せてくださいましよ。あたし、道を案内するのは大得意ですから!」
 どうかこの灯りを見失わないで。生きて、繰り返しの先から出られたならば、きっと暖かな道があるはずだから。――だからこそシンディーは諦めないし、挫けない。幸せの青い灯火ピース・オブ・ケーキは、その為にあるのだから。
 どんなにつらいことの連続でも、それはきっと永遠ではない。狗吠 バンリ(r2p006606)は誰よりもそのことを知っている。「誰も助けられなかった」と天使が叫ぶのなら、彼は真っ向からこう返そう。
「そりゃ、助けてくれよって思うことはあったよ。なーんでオレばっかこーなんだろってつれーときだってあったし。
 不運で崖から落ちた時、死ぬかと思ったしよ……でも、んなことでくよくよしてたって運命の女神は微笑まねーんでな! だからボロボロの足で帰ってやったぜ! 鍛えりゃ何とかなるってのも分かってきたしよ!」
 いろいろあった。ありすぎた。でもそれに負けなかった。だからバンリは、ここにいる。
 奇しくも更級 司(r2p005235)もバンリととてもよく似た星の下であった。毎日不運人生どこでもふこう――いついかなる時も不運で失敗だらけで報われないけれど、それでも腐らず生きている。
何が正しいのかなんて、誰にもわかりません~。正しい、間違っている解釈はれぞれなのでぇ~、私たちが決めることではありません~」
 全ては神様の言う通り……幸運の女神の気分次第、なーんて。とりあえず、後ろを向いたままでは生きていけないし、戦場でそんなことをすれば後頭部を撃ち抜かれるのみである。
 この戦いの終わりはとても悲しいものだ、だけどそれは久慈宮 華月(r2p000151)が諦める理由にはならなくて。
 つらいものは、つらい。だけど今は金に輝く鷲の目で、を見据えよう。なぜならば――
「私は人類の守護者──堅牢なる盾にして癒し手なり」
 誓いを立てよう。さすれば華月を中心にゲツセマネの神域は開かれる。オリーブの梢が、柔らかくそよいだ。
 せめて、手の届く範囲は救いたくて。
 だからセレーネ・ローザ・フォレスティ(r2p000402)は月光のロザリオを握りしめ、偏に祈る。響き渡る福音は、全て誰かを助ける為に。
他者の痛みを知ろうとしない人達の好きにさせたくはありませんし、ましてや滅ぼすなどと……」
 力無き人々を守るために戦うと決めたのだ。凛と前を向く蒼と金の瞳に、迷いはない。
「俺が一番嫌いなモノは天使だが、それに比して嫌いなモノもあってな。それは、他者を好き勝手に操るような、お前のような輩だ
 終末論者へ、高柳 京四郎(r2p000017)は厳然と告げる。その者が持つ幽石のせいで、禍神は苦しみながらも荒ぶっている……幽石を壊し、御魂石を手に入れることが目標だ。身構える京四郎の五指より紫電糸がゆらめく。近くても、遠くても、既に彼の間合いだ。
 ――天使。それもとびきりスカした奴だ。であればリベリカ・A・アオヤマ(r2p005502)が攻撃を躊躇うはずがなく。
「安心しろ。どの道ここで全員ぶち殺す。一匹たりとも逃がさねえよ!」
 。昂ぶりに瞳孔は獣の如く鋭く、掲げた掌からは巨大な氷柱が作り出された。叩きつけるは、怒りと共に。
 沈むはずだった太陽が、まだ終わってなるものかと天に縋った。
 
季節外れの桜吹雪が舞い散る中で、スタリナ・メイアンディナ(r2p007686)はその赫眼ルビーアイで天使を射抜く。彼がどんな人だったのか、良い人だったのか、絶望の果てに天使となったのか、スタリナは何も知らない。むしろ――
「そんなこと、私の!!」
 同情なんてしない。悼んだりなんてしない。
(……私のこの胸の奥は、痛んだりなんてしない)
 天使を殺し尽くす。ただそれだけのものなのだと、決めたのだから――血喰らいの大戦斧ブラッディ・ディバイドを振りかぶる。
 花。戌亥 レオ(r2p006588)の心をくすぐるのはラベンダーの香り。時を狂わせる、芳香。
「君の眠りの邪魔をしたいわけじゃないけど……オレ達にはその御魂石が必要なんだ。だから、それを阻むなら君にどいてもらわなくちゃいけない」
 ラベンダー畑の中をレオは駆ける。抜き放った刃、KPA-S52-FSX・劔弥の切っ先が青い残光を曳いた。繰り返しの時を断ち切るべく、刃は振り抜かれる。


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