4月2日 - Part4
日が変わっても、悪夢は終わらなかった。
――エイプリルフールなんじゃないの? どうして人が死ぬの?
そんな声はもう、聞こえない。この惨状は現実で、隣人の死は本物だった。
「っ! 天使……こ、こんなところまで来るのかッ!」
廃墟へと逃げ込み身を潜めていた幸村 理仁(r2p002501)たち三名の眼前に、無慈悲にもソレは現れた。
「逃げるぞ!」
木城院 司(r2p002500)が早乙女 純(r2p002502)の手首を掴み、理仁へ振り返る。
だが、そのまま表情は凍りつく。
「あ……ぁ……」
理仁の胸から何かが貫通し、赤がボタボタと溢れていく。
「り、理仁君!? ……理仁君っ!」
純が司に掴まれていない方の手を伸ばす。駆け寄りそうな気配に、司はすぐに純を引き戻す。心臓を貫かれた理仁はもう助からないが、純はまだ生きている。理仁の最後の唇の動きは『生き延びろ』だ。その意思を汲み、必ず生き延びねば。
(絶対死ぬもんか!)
涙を溢れさせながら、悪夢のような現実を駆けていく。
「ねぇ、神秘が表に出てきちゃダメなんだよ。ほら、皆怖がってる」
神秘は秘匿されるべきものだ。だから駄目だと口にして、鹿島 由鯉子(r2p000074)は地面を操り地方の中学校を守っていた。『級友』が怯えている。人は幸せにならないと駄目なのに。
不幸は各地で連鎖するように起きていた。
(誰か助けて……誰か……)
水原 たまき(r2p001510)は必死に足を動かす。前へ、前へ。
追いかけてくる天使は、きっとたまきが足を止めた瞬間にたまきを殺すのだろう。だから疲れたってたまきはこの『非現実』を走り続けねばならないのだ。
「皆、どこ……?」
不安に負けて宝刀を持ち出した恵梨華・白鷺=フォルスター(r2p000874)は、町中の壮絶な戦いの跡地で父の亡骸を見つけた。弔えぬまま、恵梨華は家族を探し彷徨い続ける。未熟な身なれど、最下位の天使は姉に比べればどうということもない。
「アイツらだけは……あんなところに置き去りにしちゃダメだ……」
最愛の嫁と生まれたばかりの息子を殺されてしまった白鳥 晴賢(r2p003140)は一度逃げたが――遺体をそのままにはできなくて。人の波に反しても天使に襲われた病院へと引き返さんと駆けていく。
コンビニのトイレに籠もっていたのにドアを破壊され、猫宮 満知子(r2p001291)は死にものぐるいでスレッジハンマーを振り回した。
「あ……や、やったっ……の?」
肩で息する満知子の姿が鏡に映ったその瞬間、満知子は「え?」と声を零した。何故だか猫耳が生えていた。え、なんで?
「先生、お母さんが!」
天宮 瑠花(r2p000327)の案内で向かった先で、天宮 瑠衣(r2p002863)は瓦礫の下敷きになっていた。既に言葉を発せれず、けれど死ぬ姿を娘に見せぬように何とか意識のみを繋いでいる瑠衣からの視線の意味を、如月 翠(r2p002363)は正しく受け止めた。――瑠花を安全な場所へ。
「大人の男性を呼んでこよう」
離れようとしない瑠花を動かすための言葉。けれど女の腕では瓦礫をどうしようも出来ないのもまた事実。ふたりはその場を後にする。
「翠先生!」
道中、また翠は呼ばれた。
「この子たちのこと、お願いできる?」
「ママ?」
「ママはやることがあるの」
(どうしよう。力、使った方が良いのかな)
戦える力のあるルルリエナ=A=ムーンライト(r2p000483)は、双子の養女のために戦ってボロボロのティファニア=L=ムーンライト(r2p000518)を見上げ、悩んでいた。本当は戦える。でも嫌われない?
「母様、ルルちゃんのことは任せて☆」
いざとなったら戦えるのはマーニャルエナ=D=ムーンライト(r2p000505)も同じ。けれどティファニアが翠へと自分たちを預けるのなら――今はそれに従うのみだ。
翠がその場を後にするとティファニアはひとりで天使と相対する。左腕と右脚、それから右眼ももうだめだ。
「……だけど、負けてなんてやれないのよ!」
娘たちのためにも、母は吼えた。途端、新たな感覚が彼女を包みこんだのだった。
「もう! きりがない!」
友人にも力持ちだねと称される温海 沙羅(r2p000030)は引き抜いた道路標識で天使を殴り飛ばした。ひたすら戦い続ける彼女は気が付かない。自身の肌が青くなっていることに――。
「奴等、一体何が目的なんだか……」
沙羅の肌が青くなっていようと気にしない栗栖 連枝(r2p001381)もまた『人』ではない。人の思いや願いで創り出された存在だから助けるのは当たり前だと、御神木の力で生み出した光弾を天使へと放つ。
「目的なんて……!」
天使の目的よりも人を救うことの方が重要だと天狼 黎華(r2p001822)は愛剣『レグルス』を振り回す。力無き人々を守るのが力ある者の務めだ。昨日からずっと戦い続けで披露は溜まっているが、大きな怪我は連枝に塞いでもらった。まだ、戦える。
――怪異を狩る。それは一族の使命だ。
(だがこれは本当に、怪異なのか?)
天使を切って大太刀を鞘へ戻した七種 瀬里奈(r2p000666)は何かを探るように顎を上向けた。
「あちらは刻陽大学か……戦力はいるようね」
(あれは……)
朝霧 誠二(r2p002301)は『見てはいけないもの』を見つけ、足を止めた。
――娘と義息子が合体したような天使。
孫には見せられぬと、駆けていく朝霧 酉(r2p001983)の背に声はかけなかった。
「……おじいちゃん?」
気付いたら祖父の姿がなくて、酉は途方に暮れた。
「……ぁ」
級友になるはずだった友達の面影を残す天使に気付いた酉は足を止めている訳にはいかなくて、両親も祖父も側に居ない不安を抱え、ただひたすらに逃げ惑う。
「あ……!」
仙桃院 桜子(r2p000587)の背中に赤が散った。
けれども抱えている近所の顔見知りの子供に傷はない。
誰か、誰か、誰か。この子を助けて!
「大丈夫か!?」
「この子を……お願いしますわ」
避難所近くまで何とか辿り着いたが、桜子はもう助からない。気力が尽きそうな頃、南武 正幸(r2p002499)に会えたことは僥倖だ。
「……お疲れ様」
感傷に浸っている暇はない。動けるのだから動かなくては。正幸は桜子から預かった名も知らぬ子供を避難所へと連れて行こうとする。
だが、天使が立ちふさがる。何故だか体が熱いが、正幸もまだただの少年。絶体絶命だ。
「もし、もしもし、我だぞ。殴って差し支えないものはどれか?」
異世界から転移してきたばかりの夜走来 蛇洞(r2p003096)にも、ピンチなのが解った。
「若造と侮るなかれ、我こそはかの地に於いては益荒男と称されし者である!」
蛇洞はその身に闘志を滾らせた。
「ぴぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽォッ!」
多分『助太刀が必要そうですね』と言って、平 樹(r2p003122)も戦闘に加わった。チラリと正幸と子供に視線が一度向け、スペース平氏帝国武者は光の剣を抜き放つ。
「少年、こっちだ」
戦闘に巻き込まれないようにと、魁 炎太郎(r2p001337)が正幸を手招く。
抗うための驚異的な力もないが、絶望的な状況でも決して諦めないのがヒーローだから。戦闘を避けられるルートをと、大人の視線で導いていく。
「香々原探偵事務所をよろしくお願いしまーーす!」
騒ぎに天使が引き寄せられれば、救助活動に勤しむ者とて引き寄せられる。探偵業の宣伝をついでにしながら香々原 恋焦永(r2p002036)が魔術で炎を操れば、何名かの市民は一度視線を向けてから逃げていったようだ。
「こっちだ、急いで!」
精霊術で隠れている人の捜索をしては来栖 湊(r2p002239)も避難所への誘導に精を出す。
(……人類はもう危ないかもしれないな)
天使たちは倒しても倒しても湧いてきて、そんな考えだって過ってしまうけど。
「そら人間、救ってやろう!」
「流石は姉様。人間に慈悲を見せるとはなんと素晴らしいお方じゃろう」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
吸血鬼と人間が住まう異世界からやってきたフレイア・E・ブラッドクロス(r2p002069)とフレイ・E・ブラッドクロス(r2p002070)の姉弟も、市民を守るために力を振るう。血を操って大鎌を生成して敵中へと突っ込んだフレイアの後方から、フレイは姉の死角となった敵を血糸で切り刻んでいく。
「ええい! なんだこの異形どもは!」
赤い縦ロールを揺らし、ゼクス=ラジエゴール・エーレルト(r2p000202)はぷくぷくご立腹。だってこの世界を征服するのは自分たちのはずなのに!
「これまでのしがらみもありますがまずは目の前の方たちを助けましょう。彼らの死は我々エニグマリス側としても望むものではありません」
忠臣橋護 ホムラ(r2p001074)の言葉にゼクスはそうじゃなと顎を引き、彼等もまた戦いの輪へと加わっていく。常ならばヒーローや魔法少女は彼等の敵だが、この場は一時休戦だ。
「俺の刀が届く範囲で好きにはさせねぇよ」
静寂 剡(r2p000923)の刀の鍔がチャリと鳴った。衝撃波に縮地。操る静寂流で天使を屠り、スーツの裾をはためかせる。
状況は悪くなる一方だ。それでも、命を燃やし剡は刀を振るい続ける。
この状況が好転する日なんて、来るのだろうか。
執筆:壱花
●混乱は、より深く
「タコさんは、夢の国タコランドから来た、とってもかわいいタコさんウインナーだよ! この世界は侵略し易さ三つ星で安心安全! ってガイドブックに書いてあったから来たのに……いきなり大ピンチ?」
怪しげなことを言っているのは多幸山 タコ次郎(r2p002997)だ。
「タコさんは痛いのも怖いのも嫌だけれど、困っている人達がいるのなら力になるよ。それにここで活躍すれば、皆にタコさんウインナーの魅力を広められるし、タコさん救世主でモテモテだよね! よーし、頑張るよ!」
言ってることは怪しいが、まあさておいて。
「しまった! 姉様たちや妹たちがいない! おーいどこだ! 返事をしてくれー!」
アリザベス・シュガーマウンテン(r2p002362)はかつて故郷に襲来した天使たちとまた相見えることになってかなりパニックになっていたが、今はそこに焦りまで加わっていた。
けれど、見つからない。蟻魔法で身を守りながら何とか生き延びることは出来ていたがリソースたる砂糖が尽きるわひとりぼっちになるわと極限状態だ。
何故こんなことに。そんな理不尽さは、僅かではあるがアリザベスの心をやさぐれさせていた。
そして思わぬ事態に慌てる者もいる。綾小路・花梨(r2p001365)だ。
人間とは程遠い姿に変わってしまった花梨は、文字通りに逃げ回っていた。
その辺にいる天使とは姿が全く違えど翼を持っているので天使のお仲間扱いされ、美味しそうな焼鳥の香りがするので、仕留めてバラそうとする集団に付け狙われたのだ。
「このクソ忙しい時に! なぜか狙われておりますわ~~!! おF〇CKでしてよ!! これなら本家に行ったほうがマシでしたわ、全くもう!」
まさに激おこファイナリティフェニドラである。
「せめて天使と戦っている恵やアクアのために何かしてあげたいと思うのだけど、流石に1日2日でどうにかできる物でもないのよね」
天使を相手に、自分の技術では何もできない。その事実に早苗 瑠衣子(r2p002056)は落ち込んでいた。
『アークライト』とかいう悪の組織まで天使と戦っているというのに、何もできないのが口惜しい。
「せめて、私と一緒に協力してくれる人が居れば……」
「お退きになってー!」
「ぎゃあ何⁉」
こうして瑠衣子は花梨という協力フェニドラに出会ったのだ。
当然ながら、そんな喜劇ばかりではない。
「誰か、クロノスを知りませんか」
ウラヌス・ゼロ(r2p000809)は大切な弟であるクロノス・ゼロ(r2p000454)を探しながら走り回っていた。
「誰か、弟を⋯…」
段々重くなっていく身体。それが急激に進む天使症候群の症状だと知らないままに。
『大切な片割れを知りませんか』
そして、その場に残されたのは後にミゼレーレと呼ばれる天使。
だから、当然のようにクロノスは自分の腕をかすめた攻撃を放った者の正体に気付かない。
「うっ……!」
恐ろしくも美しい天使の姿をその目に焼き付け、同時に自分ではどうも出来ない相手だとクロノスは悟って……だからこそ、逃げ出す。葬られる人々の血肉を踏み越えて。
そうしてミゼレーレが去った時、その翼から何かがこぼれ落ちた。そうしてようやく、クロノスは悟ったのだ。
「……あ……」
それは兄の、ウラヌスの付けていたペンダント。だからこそ、手にしたクロノスは泣き叫ぶことしか出来なかった。あの天使が兄だと知ってしまったから。
そして悲劇に立ち向かう者もいた。ハヤテ・"A"・カーマイン(r2p000380)だ。
「御師さん。来るべきときが来たみたいや……!」
幼少期に故郷で経験した大破壊と重なって見えてトラウマを刺激されそうになるが、それ以上の義憤がハヤテを突き動かす。
だからこそ逃げ遅れた人々を助けるため、退魔士の力を振るう。
空を駆け、五行の術を以って天使を打ち破り、探り当てた人々を結界で護りながら安全な場所へ。
根本的な解決ではないと分かっていても、そうすべきだと分かるから。
星ノ宮 雨(r2p001936)も戦っていた。
「天使がヒトを襲うなんて悪い冗談………でもないか。終末の喇叭が吹き鳴らされた、ってまさにこんな状況なのかな」
そんな軽口みたいなことを独り言ちながらも、畏れげもなく破壊された街を歩いて、こちらを認識した天使に向かっていく。
「市街地の戦い方をみせてあげる」
雨のやり方は、狭い路地へ誘い込んでの各個撃破だ。
「まぁこいつらが建物を吹き飛ばすくらいできるけどやっぱり少しは動きも殺せる。私はこういうののほうが、得意だから?」
そんな中、星衛 直人(r2p001133)とアビゲール スパーダ(r2p000964)は脱出のために待ち合わせたヘリポートで襲来した天使と交戦していた。いや、天使だけではない。これ幸いと悪人集団もやってきていた。
「まったく、なんということだ……!」
直人の武装は観賞用に趣味で購入した日本刀。家が資産家で敵も多く護身のために叩き込まれた合気道と殺人剣で応戦していたが、最低限の手数で殺すように攻撃をしていた。
そしてアビゲールの武装はクロスボウ、ナイフ、簡易爆発物。元々米軍海兵隊並の力を有していたので各種武器や体術に長けていたが、それでも天使というものは相当な異形であった。
ヘリポートに群がっていた天使を回収したバイクで突撃しバイクごと爆発物で連鎖爆発で攻撃し、直人と避難民を逃がす為に鬼気迫る勢いで戦うアビゲールの口からは自然と弱音が漏れる。
「私がダメでも坊ちゃまだけは……!」
「侮るな、いつまでも護られてばかりではない!」
それは1つの強さなのだろうか。
そして強さの形は1つではない。たとえばアルバ・立花(r2p002149)のようにだ。
「悪いけど、結構強いのよ? アタシ」
そんなことを言うアルバは友人を助けるために向かった先に天使が出たので殴っていた。
集まった情報を元に弱そうな箇所を特定し、殴る蹴るを試みるその姿は、非常に冷静だ。
殴り触れて分かったことは忘れずに記憶し、攻撃は触らずに持てる瓦礫や回避を行う。
肉体と精神を鍛えるのに余念が無いオネェなので強い。まさにそんな理屈であった。
とはいえ、戦うことが強さというわけではないのは化野 晨(r2p000536)が証明している。
「……ふぅ、ここまで来たら多少マシかな……」
とある路地で、晨は呟いた。
「あの天使、一体何なのか……ついでのように魔術師のような存在が表に出てき……」
瞬間、視界に赤い攻撃の波が映る。
「見境なしに破壊して! 直接戦闘は専門外なんだが!」
影の手が天使を拘束して。
「倒すのは他の方に任せましょうか。リソースも有限だ。取り敢えず天使の追ってこない場所へ……いや、そんな場所地球上に存在するのか?」
分からないが……それでもニネミア(r2p000214)とアイゼン(r2p000250)は生き残った一般人を探してニネミアと2人で保護していた。宝石の使い魔も大活躍中だ。
「勿論私にもアイゼンにも翼はあるし迫害されるかもしれないけど」
「あぁ、俺の翼? 言いたいだけ言わせておけばいいよ。見た目だけなら敵と大差無さそうに見えるんだ、仕方ない」
とはいえ、それを口に出す者は今のところいない。庇護者なのだから当然だ。それに。
「……幸いとストレスの解消先なんて幾らでもあるからね。今は多少でも生存者を増やさないとね。彼らには未来で貢献してもらいましょう」
「ま、平穏な日常はとっくに消えて、犯人は天使だからな」
此処に来るまで何度か天使と交戦したが、今のところは何とかなっている。
「生き残りは……近場のシェルターに誘導すればいいよな? 後はどれだけ生き残った人間がいるか……それなりに数は居てくれると今後が助かるんだが……」
それは分からない。襲撃も、今日で終わるわけではないのだから。
それでも、赤鬼院 暁(r2p000725)と白狼院 影音(r2p000728)は天使たちに立ち向かう。
影音はナイフを手に思う。
安全なお屋敷に居たはずのひとがなにを血迷ったか戦場に参戦してきた。
組の後継者だとかそんなこと関係なく『大切な人』だと思っているので、気が気でない。
けれどなにを言ったところで止まるひとでないことも知っている。
世界を守る。国を守る。人間を守る。そんな大層な使命感自分には無い。
(俺はただ、このひとを守りたいだけ)
暁もまた、思う。
籠の鳥は成人するまで屋敷に軟禁状態のはずだった。
任侠集団の後継者というだけで命を狙われる危険があるのだから、それは当然のことだったのだろう。けれどこの緊急時に、ひとりだけ安全なところに逃げ隠れするのは信条に反した。
だから。暁は逆巻く風を集め、まるで飛行機の主翼の如き風の刃を空に向けて放つ。
「荒南風の鬼姫、暁。これより参戦つかまつる!」
「……頼むから無茶しないでね」
そうして日出る国の鬼は、天使へ立ち向かうことを選んだ。狼もまた、それに付き従った。
ちなみにムスティスラーフ・バイルシュタイン(r2p000423)は騒ぎに乗じた悪人達がいることを知って倒しに回っていた。
「殺しはしないけど石化させたりで動きは止めておきたいな」
騒ぎにまぎれられるのは悪党だけの特権ではない。
「あ、懲らしめた悪人に僕好みの男がいればいただいちゃおう! 石化でエッチなオブジェにしてしまうのもいいかもしれない」
そんな恐ろしいことを呟く。
「まあ動きだけ止めてたら天使に襲われて死んじゃうかもね。そこまでは面倒見れないから震えて反省するといいよ」
対する観音打 獅子郎(r2p002276)は、比較的真っ当に悪人の相手をしていた。
「情報が集まるにつれ、いわゆる『天使』、それも雑兵と評すべき輩の相手は、同じく天使の力を手に入れたと思しき者たちで足りると判断した。であれば、俺の出番は、それ以外の強き外道どもの相手にしかあるまい。鎌倉の古より代々受け継いてきた観音打の武と、その真骨頂とも呼ぶべき奥義・霧氷散弾撃の威力、特と拝め!」
襲い掛かる獅子郎は、まさしく悪人にとっては恐怖の象徴だっただろう。
「いざこうなってみれば、本当の地獄は人同士の奪い合いなんだろうね……天使が居なかろうが変わらないよ」
言葉 深雪(r2p000107)も狐の因子覚醒者として、悪人相手に奔り回って引きつけていた。
一般人の安全第一だが、悪人を足止めすれば獅子郎が吹っ飛ばすので問題ない。
(ハンドガンくらいは使えてるけど、自分自身大して強くもなければ人も殺めた事も無い元一般人だから……あくまで時間稼ぎかな)
「ま、強い人に会えて良かった」
ぶっ飛んでいく悪人を見ながら、深雪はそう呟いていた。
「スパイの仕事でロシアに来て2週間……なんで、ロシア兵だけじゃなくてこんな化け物も相手取らないといけないんですかぁ? 流石に同時に10体とか来られると包丁だけで相手取るのはちょっと厳しいですぅ……。私にも、アニメみたいな特別な力があったら良かったのですけどねぇ……そこのロシア兵さぁん、これ、ロシアの新兵器じゃないなら休戦しませんかぁ? 私ぃですかぁ?私は(作戦偽名)佐藤 美咲と申しますぅ」
ちなみにその頃、ロシアでは佐藤 美咲(r2p000418)が頑張っていたという。
執筆:天野ハザマ