氷取沢作戦報告書02
「橋頭堡設立予定地の白壁――蜘蛛もああして邪魔だてすれば、可愛げも喪いましょう」
唇にゆったりとした笑みを浮かべる来栖・静=レーヴェンツァーン(r2p002379)は皆を見回した。傷だらけの者も多く、能力者達には疲弊の色が見られる。
同じくフレッシュと救出し、テナガザルを窮地より救った日野原 晃輝(r2p002534)はその影で何処か心配そうな空気を醸し出す。
「……」
晃輝の視線を受けてからエリス・シュケオーン(r2p000369)は「人と共に戦った堕天使の英雄として無事に――」と唇を震わせた。
「無事にあのしんがりのガキが助かって良かったじゃねぇか。
アタシは羽虫野郎の鼻っ面をへし折れただけでも成果を感じてる。氷に覆われてるっつーのは不気味だが……」
眉を顰めるアストラ=ニビル=スワイスト(r2p000573)の傍らには疲弊した神白 小雪(r2p002004)の姿があった。
小雪は氷に良い印象はない。けれど、この凍り付いた空間だからこそ自分に出来る事があると考えて居たのだ。
「……空葉さんの先輩達……ゆきたちのこと、認めてくれていたね……」
何処か寂しげな吐息を漏らした小雪は静かに俯いた。
「どうしてあの様に戦ったのか、この身が突き動かされた理由は分かりませんが、皆様のお役に立てましたでしょうか」
凜とした声音を響かせるアイレッタ(r2p004576)。負傷を負いながらも何とか脅威である大天使達との戦闘を終えてきたのだ。
「……それにしても強敵だらけですね。いえ、だからこそ戦場に出たとも言えるのですが」
自らの正義を遂行するべく真田 礼(r2p000430)は『風撃』と『炎閃』と呼ばれる大天使と相対したのだ。
舌を打ったJ・D(r2p000927)は「殺せなかった」と呻く。神聖領域を駆使する大天使二体――相手も死に体であっただろうが、それでも撃破には至ることはなかった。それだけ相手も組織的な動きを見せてきたという事か。
「ふへへ……そうだね、脅威だった……マシロ市の近辺だと、余り居ないタイプ……。
ううん、寧ろ……2052年になってから組織だって動き出したって聞いた、けど……そんな片鱗があったかも」
結樹 ねいな(r2p000031)は双子の天使と戦い、撤退を行なった。氷取沢橋頭堡周辺や金沢区で見られる天使達の動きは暇潰しとは言えず組織めいたものだ。
特にねいなが相対した相手といえば明確に氷の天使を指し示していたのだ。
――氷の天使スティーリア。それが指揮官か、それに類するものであるというならば橋頭堡設立後の障害となるのは確かだろう。