氷取沢作戦報告書03


「さて、仕切り直し――と言った様子ですが」
 ユアー ヴァレンタイン(r2p000991)は眉を吊り上げてから帰還を行なった仲間達を眺めた。
 ユアー達が相手にしたのは大天使カルゼフィル及び大天使カルカイルスである。カルカイルスの撃破を行なったが逃亡したカルゼフィルを思えば再戦の機が巡ってきたならば今度こそと思わずには居られまい。
 それは明日への一歩を繋げる為の戦いだ。巻上 澄人(r2p002205)は陣取り合戦として重騎士を思わせる大天使との戦闘を繰り広げてきたのだ。
 一先ずの無事を喜ぶようにクックドゥ=G・クックドゥルドゥルドゥー(r2p002403)は「コォォコッコッコ!」と朝鳴き喜びの声を発した。
 堂々たるクックドゥの振る舞いを喜ぶように猿たちが両手を叩いた。猿を確保してきたのはルナ・エクリプス(r2p003936)達である。
 氷取沢周辺に多数存在した猿たちを上空から偵察し、その気持ちに寄り添っていたであろうルナは「少しお静かに」と猿を窘めたか。
「……ふふ。何にせよ、です。嘗て教員であった天使が生徒に手を掛けることがなくて良かったです」
 九重 縁(r2p001950)はほっと安堵したように胸を撫で下ろした。きっと大切にしていたであろう生徒達を天使と化した者であろうとも傷付ける様は見たくもなかったのだ。
「うん、フレッシュ達を救えてよかったなあ。それにしたって天使級多すぎだったよ」
 傷を確かめながらも堂浦 小夏(r2p000048)はそう言った。フレッシュ達が内部に存在する建物、出来る限りの救出を求めて単身で囮となったのだ。
 無事に生還し、その上で救出対象であったフレッシュの学生達を救えたことは何よりも喜ばしい。
「氷取沢の戦いも結構するんだかな?」
「そうですねえ……と、言えどもとの衝突は免れませんが――」
 おとがいに指先当てて悩ましげな顔を見せたユアーの視線は淡藤へと注がれた。
「彼は、何と言っていましたか」
 白星 淡藤(r2p004085)が思い浮かべたのはK.Y.R.I.E.の元能力者であるという天使『栞田 花束』の事だ。
 能力者を嘗ての友人と取り違え、好意的な姿勢を示していたようにも思えるが旧友である古月 せをりを探し求めてK.Y.R.I.E.の能力者達に接触してきたらしい。
 帰還後に淡藤達はK.Y.R.I.E.のデータベースを確認したが古月 せをりは2048年頃に鎌倉で消息を絶っている。つまり、今もその場に居る可能性があるのだ。  淡藤は花束を思い出す。悲痛な声音であったのは、確かだが。

 ――せをり、君は何処に行ったんだろう。が聞きたいな。

 横須賀方面、それから鎌倉方面。その何方にでも向かう事の出来るその設立まであと一歩――
 K.Y.R.I.E.に重なり続ける報告書の山を手にしてからを行って居るヴァルキリーは心配そうにモニターを眺めて居た。
(……皆ちゃまが、無事でありますように……)