宵の刻I


    気に入らないのです。
    天使もそうですがそれ以上に、何も知らない巫女たちを使い潰し、踏みにじり、その死までも利用しようとするせんだいとかいう輩。
    奴らの思い通りになどさせない。必ず助けるのです。
    天を祓い、地を清め、人を護り、世に幸いを。三十五式神凪型機動魔法少女、シャーマナイト・ハート。救助開始なのです。

    宵の刻 寄る辺の水に
    骸骨の武士……ここにくる前にも見たことはあるが……。
    おー、マジで百鬼夜行って感じだな。
    中じゃきな臭い事やってるっぽいし、お陰で大昔の霊まで起こされたってか。
    え、霊じゃなくてアンデッド? 違いわかんね。
    何にせよ……ちゃんと成仏させてやらねぇと可哀想ってもんだよな!

    宵の刻 増える闇夜の死閃刀
    随分と歓迎してくれるじゃない。
    あんたらもツキがなかったね、同情する。

    それにしてもあの女、どうして手紙なんて……?

    宵の刻 暗がりは潜み、歪みだす
    浄土・ガルシア……さん
    あなたの苦悩は、葛藤は、きっと事情も知らぬわたしには推し量れるものじゃない
    それでも、今この場にいるわたしに、貴方を見過ごす事は出来ないんです
    ……『なりかけ』でよかった
    今なら、きっと、まだ間に合うはずです!

    宵の刻 拾うそのあと
    なに言ってんだコイツ……遅かった? 間にあったんだよオレたちは。オマエが言う神とやらの癇癪に! オマエがガキみたいに駄々こねてる姿なんてかわいいもんだ、全部守りきってやるよ。
    愛? これが? はっ……オマエ、愛されたことも救われたことも、癒されたこともないんだろうな。もう助けられないのが、残念だよ。本当に。
    ……痛いの痛いの飛んでいけ、なんて。届かないだろうけど、オレにとって痛いことは辛いことだったから。オマエが自分の満足のために傷つけるなら、オレは自分の満足のために言うよ。
    痛いの痛いの飛んでいけ――オレのとこまで飛んでこい。

    宵の刻 これこそ神からの愛
    やれやれ。もともと鎌倉は厄介な事になっているな…と思っていたが更に厄介な事になっているな。
    更に厄介な事にならないうちになんとかせんといかんな。

    宵の刻 狐の影を追って
    ハハ、負傷者の護衛ミッションは軍人時代からの十八番だ。俺がいる以上は大船に乗ったつもりでいるといい。
    あの大天使とはまた会う気がするが…ま、今回は抑える程度になだめるさ。

    宵の刻 蜂と少女のヴェンデッタ
    そうか……感じていた違和感は、結界の効力ではなかった
    結界によって内に封じ込まれていた瘴気の影響。そして、その瘴気の密度が急激に高まってきている
    出所は地下……鎌倉が秘していたモノの影響が、これ程になるとは
    これが狙い通りであるのなら、最後のお勤めなるもの……羽化した天使の使い道は知れている
    そのような事は、させません

    宵の刻 茫漠たる憧憬