
九頭龍呪怨縁起 III
止め処ない呪い。
終わらない悲哀。
夜を劈く、慟哭。
――絶対に呪いを打ち砕いてみせる。
シグネ=リリヤ・ラウティオラ(r2p001693)の周りに咲き誇る花々に、特別な力なんてないけれど。
「人間にあるのは業だけじゃない。人間の中には、美しさだってあるの」
孤独じゃない。だから人々は、どんな絶望にだって立ち向かえる。
目の前のこれが、たとえ幻だとしても。神の絶望そのものだとしても。
助けてと叫ぶ声に、貴賤があっていいものか!
「オレ達は……見捨てない――!」
ロック・婁狼(r2p005635)は手を伸ばす。絶望という闇を掻き分け、手を伸ばす。その先の光を――どんなに小さな光であろうと――この手で掴み取る為に。
独りじゃないって誰かの手を握る為に。
大丈夫って抱きしめて安心させる為に。
助けた誰かが、これから助ける誰かが、こんな世界でも生きたいって思わせる為に!
「この強がりを! 傲慢を! 貫き通します!」
スヴィン=A=アルクティカ(r2p005471)は忘れない。生きたかった人々がいたことを。だから立ち上がる。つらくても苦しくても、絶対に諦めない。
「人間が悪いとか醜いとか、ぜんぶ天使が悪いんじゃない……」
抉られる過去の古傷に、神白 小雪(r2p002004)は冷たい手をぐっと握り込んで。
「弱いのは悪くない。悪くなんてないもん」
生きたいって気持ちは、悪くない。
――これが神様が書いた脚本だとしたら、随分と嫌なシナリオ。
「そんな最悪の脚本なんて、私達の手で書き換えてみせます」
ルナ・エクリプス(r2p003936)は悲劇に立ち向かう。再演の惨劇に挑む。
こんな悪意に、使い旧されたバッドエンドに、呑み込まれてなるものか。
きらり、暗闇の中で青い灯火(r2p000146)が瞬いた。
「……あたしは穢れたヒンキーパンク。正真正銘、化物ですわ。
それでも、生きていた頃は愛されたかった……あなた達幻影の人々と同じで、ね。
だから、あたしは愛を振り撒くの。大切な皆さまが、あたしみたいに寂しい思いをしないように……あたしの分まで、幸せに生きて!」
祈ろう、幸せを。信じよう、明日はきっと素敵だって。
次いで燃え上がるのは黄金の火であった。
あの時、この場に居れたならば。――もしも跳躍しなかったなら、護れたものもあったのだろうか。
ゆえにグレゴール・イレ・ディエス(r2p000095)は怒る。目の前の理不尽に。取りこぼしてばかりの、己の弱さに。
「……懺悔は、いらねぇよな?」
そうだ。言い訳はしない。結樹 ねいな(r2p000031)は、悪という言葉は好きじゃないから。まるで正しくないことがあるみたいだから。
生き残る為に足掻いた群衆の行為は、あの場では正しさだったんだろう。ゆえにこそ、彼らの敵意を顧みず、それを否定し正しくないモノになる決意――それは意志と選択で。
「私達は善悪を選べるほど賢しい生命じゃない。目の前のものを握れるだけ握るだけ――
だから定義するよ。この戦場の悪性は私一人だと!」
響け、革命よ。

※本クエストは期間限定となります。パノプティコン・ブレイクのシナリオ群の返却時期頃に終了予定です。
※本クエストはEXP取得が「17%」になっています。
※当リミテッドクエストの『参加者数(ユニーク数)』により不明者シナリオの死傷率が『僅かに』低下します。また総成功回数により、不明者シナリオ以外の、救出シナリオにおける死亡率を低下させる効果があります。