
音が消えた
「音が消えた」
と。桑原 蜜樹(r2p000191)は言った。隣にいた七井あむが、頷いた。
「エルブレムを、墜としたね」
然う――呟くように。
マシロ市近郊、磯子方面に突如としたら割れた天使の軍勢。その内、特に強力と思われた四人の権天使。
その内が一つ――『ミューゼス』エルブレムを撃破したのだと。
この一瞬の静寂は、その証明に間違いなかった。
「その人は、思い出せたのかなー?」
小首をかしげるように、朝賀 よるがお(r2p003456)はいった。
「最期に……思い出せたのかな。エルシィって子を」
「それは――」
あむがつぶやいた。わからない。思い出せたのかもしれないし、思い出せなかったのかもしれない。
だとしても――。
「結局、思い出せなかったわけね」
そう、聖ヶ崎 アリサ (r2p000371)が鼻を鳴らした。
「まぁ、でも。
良かったんじゃないかしら。
最期のあいつには――信念みたいなものがあった気がする」
「新しく抱いたものだとしても、決して劣ったものではなかった」
シューヴェルト・ルビーブラッド (r2p000582) が、ふむ、と唸る。
最期――その瞬間。
エルブレムが抱いたものはきっと、その本質には届かなかったのだとしても、彼女を想い、そのために戦えたのだと、それ故の奮起であったのだと。どこか信じたい気持ちが、あった。
「それで、どうするのだ」
ガルディール・ラグンフォード (r2p002485)が、この戦場に集った仲間たちに告げる。
「後は他のチームに任せて――などと、温いことを言うわけではないだろう」
「そうです!
他の戦場の皆さんも、忘れているというのであれば!
今度こそ、刻んでやるのです! 物理で!」
やー! とルーナヴェルテ (r2p005096)は勇敢にそういう。
なるほど。それもいいだろう。
刻んでやればいい。思い出せないのだとしても、新しく。
「そうね。面白い話だわ」
シトリー・セーレ・ハーゲンティ (r2p004983) は、強く、淑女のように。ほほ笑む。
「刻んでやりなさい。
忘れられたエルシィの名を。
そのうえで――ええ。私たちの名を刻むのも、悪くないでしょう?」
その言葉に。皆は力強くうなづいた。
さぁ、次へ征こう。
戦いはまだ、続いているのだから。
※力天使『エルシィ』の軍勢との戦いが進行しています!


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