第十一戦区:ボーナスタイム……?


「やあ❤」
 能力者達の前には第九熾天使派の天使(イレイサー)――いや、タラリアが立っていた。
 明るく楽し気に笑っているその天使は、カタルモイが始まってから安全圏より能力者達を見つめているだけであっただろう。
「実は、K.Y.R.I.E.の能力者だったワニ君……油圧ワニファラオ君が離反する事になってさ。
 カタルモイの第五戦区の話なのだけれどテオフィロとネオフォボスの合同チームに彼は参加する事になったらしい」
 そう言ったタラリアは一つのデバイスを持ち上げる。「これは、ネオフォボスの他チームのもの」と微笑んだ。
「いや、ね。ワニファラオ君が参加するチームがちょっと戦功点が足りていなかったようだから。
 私、考えたんだよ! 私と一緒に遊んでくれるならネオフォボスがおうちに帰る分はどうにかしようかなぁとか。
 その条件としてッ、ワニファラオ君が私の設定したポイント分を集めたらオーケーって事にしようかと思って。ね?」
「……ああ」
 頷いた油圧ワニファラオ(r2p001004)はK.Y.R.I.E.の能力者として自らが得た情報全てを利用して世界征服を行うと目論んでいた。
 油圧ワニファラオは元々からネオフォボスに参加している再生大幹部怪人であった。
 大破局からこれまで、彼の身に起きた予想外が随分とその性質を変化させたのは確かであっただろうが――彼は、幹部怪人だ。
 自らが所属する組織の悲願を達成するべきがどれ程に必要不可欠かを理解している。
 故に、男は穏やかな日常を捨てた。
 故に、男はK.Y.R.I.E.の能力者と言う身分を捨てた。
 故に、男は再生大幹部怪人としてその場所に立っている。
「勝たせてもらうぞ」
「――という訳で、ワニ君はこれから第十一戦区へと参加する事になりました❤
 そんな話をしている時に、ワニ君が言うんだよね。K.Y.R.I.E.のみんなは私に会いたがっているし、私も君達に興味があったし……。
 丁度、第七戦区へとメイ、と、コスモスが出かけてしまったから。私も彼女の傍に居る必要がなくなってね」
 にんまりと笑ったタラリアは能力者を眺めてからその頬に手を当て妙なポーズをとって見せた。

「来ちゃった❤」

 晴れやかな微笑みを浮かべた男がこのカタルモイのゲイムマスターである。
 彼を倒すもしくはコスモスの対処を終える事が出来たならば、このカタルモイは終了する。
 つまりは、タラリアかメイか。その何れかを攻略する必要があった。
「――……」
 歯を食いしばったのはプシュケーだっただろうか。だが、今はそちらにかまけていられない。
 彼についての情報を出来うる限り集める事が先決だ。最終手段の為には、今は堪える必要がある。
 プシュケーの参加者たちの視線を受け止めてからタラリアがアイドルのようなウィンクをポージングでアピールをする。
「それで、タラリア。君はどうしたいの」
「ああ、あしたば。私はね、ワニ君の付き添いだから。遊びに来ただけなんだ」
「……そう……」
 あしたば(r2p008453)はそっと視線を降ろした。タラリアを倒すことがあしたばの目的ではない。
 あしたばはK.Y.R.I.E.から戦功点を奪い取る事こそが第一の目標――つまり、K.Y.R.I.E.がタラリアに向かってくれるならばその背を撃ち抜ける可能性をも見出しているのだろう。

 ――愉快だな。タラリアよ、今日も元気そうで何よりだ。

 ――まあ! いつだってにこにこで可愛らしいのね。遊び相手になってあげたいけれど、お腹が空いてしまったの。

 巨大な蛇、Khvarenah(r2p004863)は楽しげな声を上げる。二つの言葉を重ねて楽し気に笑ったその蛇をタラリアは見遣ってから「大ボスの君が倒されたらこの区域は終了だからね?」と拗ねたように言った。
「だから、頑張ってよ。Khvarenah! 私がK.Y.R.I.E.のみんなと楽しくお話してられるように、ネッ」

 ――煩い男だな……。

 ――そう簡単には殺されないわ。変な事を言うのね。

 Khvarenahは大地を踏み締める。ぞろりと背後に揃った塩の天使達を見つめてから蛇は言った。
 さあ、遊びましょうと。


※イラストオプションに『祇化』が実装されました。(用語説明:呪創/祇化)

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