ミッショントレジャーバロー I


 東京、『命空骸戯(カタルモイ)』第四戦区――ミッショントレジャーバロー。
 そのルールは、宝探し。

 荒れ果てた街を、繕命 行時(r2p004787)は駆けていた。言いたいことはいろいろある。思うところもそれなりに。けれど――
「……まぁ、いい。何も問題はない。為すべきを為すだけだ」
 黒い殊刃「荊棘」(ケイキョク)を、死の気配纏う盾を構え、立ちはだかる。
 取り戻さなければならないのは、キラキラとして大切なもの。サーカス天使が戯れるように笑う戦場で、九重 セナ(r2p001747)は白き手袋に包まれた手をぐっと握りこんだ。
「誰かの大切なモノをゲイムのフラッグにするだなんて、ホント悪趣味だわ」
 気分が良いものではない。ゆえに、大切なものを護り抜こう。立ちはだかる。
「へえ、奇術師たる私に脱出ショーのリクエストとはね」
「ほう、面白い。このワシに対して競争を挑むじゃと?」
 奇しくも。
 得意分野を挑まれて、黒森・秘蜜(r2p000247)と御子神 天狐(r2p003141)は不敵に笑んだ。
「宜しい! ならば文字通り『速さ比べ』と洒落込もうではないか!」
 このゲイムは宝集め。であればこそ天狐のリヤカーうどん屋台『麺狐亭』改の出番だ。スピードこそが文化の基本原則。速さがあれば余裕が生まれ、余裕のある人生は豊かなものとなるのだから――楽しいドライブの時間だ!
 一方で。唇に微笑みを。心の奥に歪な黒(不安)を。秘蜜は真のエンターテイナーだ、笑みが崩れるようでは三流だ。華やかな動作と共に、冷たく咲き誇る青き薔薇が咲き誇る。開幕するは幻惑のショウ。「華々しく散っておくれ」と、奇術師は笑む。
(……なんだろう。思い出せない)
 マンジュリカ・クォーツ(r2p005379)の宝物になってしまったのはつらい記憶。「だけど」と思う。大切な友達と、友達になれた時――すごく嬉しかったのはきっと、そんなつらい記憶があったから。
 前を向く。ひとりじゃない。だから負けない。
「寂しくたって、悲しくたって。辛い思い出も、わたしの今に繋がっている。だから……なくなっていい思い出なんて、無いんです」
「さぁ、踊りマしョうフラウ様! 百年どころカ一秒たりトモ寝かせマせんよ!」
 大切なことを忘れたって、そのせいで口角が下がりそうになったって、ヴェッセル(r2p007872)は笑ってみせた。
(……そう、笑うんでスよ。悪魔たるモノ! 追い詰められタ時にコソ! ふてぶてしく! 不気味にネ!)
 美しい剣の切っ先に合わせて、蝶々が踊る。黒い蝶が流れる様は、まるで闇が嗤うようで――。
「ぶつけてきなよ。怒りでも、愛でも、ジディへの想いを全部込めた一撃を!」
 向き合おう、復讐の相手として。甲斐 つかさ(r2p001265)は響く両手(サンシャイン)を握りこむ。
 たとえ関係性が奪われたって。その手は、握る為にある。その手は、護る為にある。その手は――望む未来を、掴む為にこそ。
 北靈院 命(r2p000308)は顔を奪われて。――でも、真実視の魔眼までは奪えない。
「命……から、は『視』え、ていま。す。……たと、え自ら、のモノ……で、ない顔が被されて、いても。宝箱。を不可視……にし、ても」
 式神を、そして治療符を、大量に展開する。顔も取り戻す。誰も死なせない。それが、命の戦い。
「我が戦場は地上だけではない。こんなこともあろうかと! 持ち込んでおいたのだ!」
 ゼクス=ラジエゴール・エーレルト(r2p000202)は反重力フィールド装置で封じられた足を補う。ゼクスには地を這いつくばるなんて似合わない。目指すは真っ直ぐ、勝利一つだ。
 ――抜け落ちるのは、記憶。それがゲイムの特性。アリサ・リヴィングストン(r2p008180)は、それは分かっている、のに。
(こんなにも……こんなにも、痛みを感じるのは何故なのかしら)
 心が不快に脈打ち、耳鳴りがする。「どうして」。不倒の戦旗を翻し、活路を照らす灯火となる中、それは消えない。
(どうして、私はこんなにも恐れているの?)


※イラストオプションに『祇化』が実装されました。(用語説明:呪創/祇化)

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