ミッション・キングタワー Ⅲ


「――きゃはははは!」

 フェスもかくやとロックが鳴り響く浅草の往来で、ギャルの姿をした天使ココが愛くるしくも凶悪に笑う。そこにはもう天使しかいない。
 ――苦々しい敗北。
「くそ、……!」
 春秋 佑河(r2p000035)は顔をしかめて毒づいた。睨みつけた視線の先、悠々と去っていったティティフィティアの者らはもう見えない。
 ……夏いきれのアスファルトには、複数の血溜まり。見開いた目に夏の空を映したままの仲間達。電波塔の指示「一定時間死んだふりをしろ」ではない、仮想だけれども、彼らは息をしていない。
「うちらがデバイス奪うまで死ぬなよ~」、だなんて。治療を担う者として、佑河の悔しさと憤りは計り知れない。ぐっと奥歯を噛みしめて、冷たくなった仲間の骸を抱え上げた。それはまさに出来事だった。

 ――焦げ臭さが鼻を衝く。もうもうと立ち込める土煙が、汗ばんだ肌に絡みつく。
 。そう言って、ベルベルは戦場だった都立ビルをレイヴンズの目の前で爆破してみせた。その中にまだ居る、敗者達をも巻き込んで。
「おめでとー♪ おめでとー♪ どんどんぱふぱふー!」
 出鱈目な音色の喇叭を吹くベルベルを――永谷 薊(r2p008220)の月華血桜なぎなたが切り裂いた。ベルベルは「ぐえー」と間抜けな声と共に、叩き割られたピニャータのように紙吹雪を散らした。
「……あの悪趣味天使タラリアのすました顔に一発入れてやんないと気が済まないね」
 その言葉は、今浅草にいる全てのレイヴンズの代弁だろう。
 焔はやがて消えていく。戦場となったアーケード街から、ノイモント・シャルラッハ(r2p001738)は仲間と共に歩み出ていた。振り返ったそこに、もう、愛したひとの姿はない。彼女r2p005332を弄んだ天使らに一矢報いる為にも、これからの戦いは負けられない。彼女の命を代償にしたのだ、この世界を……護り抜かねばならない。
「……さようなら、フィー」
 思い出を背負って。約束を携えて。この死地を、進んでいくしかない。





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