月が見ている
月が出ていた。
奇跡の月だ。
奇跡が生み出した、紅い月。
不吉のそれは、今は優しく。
赤い光で、呪詛を払う。
打ち払う。罪を償い、罪を贖い。
ただ――ただ、それだけの、優しい月の光。
月光の中に在って、ルナ・エクリプス(r2p003936)はエルシィの前に相対していた。
「なんで」
エルシィが、吐き出すように言った。
「なぜ……邪魔をするんですか……」
「人類のためとか。そういうのでもないと、思うんです」
ルナが、言った。
ただ。或いは、恋焦がれるように。
殺し、殺される間柄だとしても。
殺し、殺されなければならない間柄だとしても。
「その命を尊重することは。
その思いを尊重することは。
おかしいことでしょうか」
と。
ルナは言う。
ああ。
月の女。
赤い紅い、月の女。
あなた本当に、最後の最後まで――私のやりたいことを台無しにするのですね。
月が消えたときに。
残されていたのは、人と、天使と。
戦いはまだ終わらない。
されど――。
※エルシィの戦場で、戦況が動いています――!

