ミッション・アンダーグラウンド


 地底に人が棲まうているならばどの様な国が出来上がるであろうか。
 嘗て、この場所は都心へのアクセスの良さより高層ビル街として賑わっていたらしい。されど、それは今は見る影もない。
 瓦礫の海は大地に穴をあけ、人々が足繁く利用していた地下鉄駅の入り口さえも崩れ封鎖されている。
「うん、こっちこっち。唯一安全って言えそうだったのが~……この4番出口!」
 ひょいっと指さしたのは旧展示場要塞の管理人の一人である志佐島 ニイナ(r2p008403)だっただろう。
「結構頑張って探したんだよ。桜叶ちゃんなきらんとも協力してさ!
 旧展示場要塞から出来る限り近い場所がスタート地点が良いって話に落ち着いてたんだけど……他戦区に跨ると行きはよいよい、帰りは恐い~ってね? なりそうだし」
 ニイナは友人Mk-Ⅳの誘いに応じ、マシロ市に往くことが決定している。オールト寮では彼のとして生活する手続きを行っていた。
 その準備として寮服をあつらえた。カタルモイが終わったならば、本格的にマシロ市での生活が始まる。
 ――製作者パパが死んでしまってから、ずっと寂しかった。管理人の二人が居ても、喧噪を好むニイナにとっては物足りない日々だった。
 ニイナにとってK.Y.R.I.E.という存在はピカピカと輝く星そのものだった。
 この人たちと、この馬鹿みたいなゲイムをクリアして、一緒に楽しい毎日を送るために今は彼らのサポーターとして死力を尽くしている。
「ん? 褒めてくれるの? 嬉しい~、ありがとう! あっ、足元、気を付けてね! 瓦礫もそうだし……色々穴とか開くかもだから」
 ひょい、ひょいとリズミカルに階段を下りていく電子精霊は壊れてしまった改札を優しく掌で撫でつけてからするりと駅のホームへと滑り込む。
 もはや誰の手も及ばなくなった線路は随分と錆び付いており、通電設備が壊れていることで覗き込んだ先の地下鉄トンネルは仄暗い闇だけが存在しているように思えたか。
「作戦、説明するね。ここ、旧豊洲駅がスタート地点だよ。って、言っても過去の路線図はあんまり当てにならないかも……。
 昔から存在してたと、大破局からずっと、地下は避難所だったり通路だったりでいろんなが出来てるの」
 ニイナは嘗ての時代に東京を走っていた路線図を自身が持ち込んでいたタブレットに表示する。
「我々は3パターンのルート確認を目的にしておる。……ニイナ、さっきの轟音を聞いたか。
 旧展示場要塞で広域確認をしていた桜叶から連絡があったバンダースナッチが暴れておるようじゃ」
「ひえー……やばいじゃん……」
 ニイナは階段を下りてやってきた百鬼 奈鬼羅(r2p008412)を見遣ってから困惑し切った表情を浮かべた。
「うう、先に説明しちゃうね。
 一つ目は、第二戦区と第三戦区が終結したから改めてそっち側の探索するルートだよ。
 目指すのは旧上野駅。そこからなら北側の探索も有利になる筈、ってことで、上野駅の制圧を目的にしたいと思ってるの。
 でもね、そこまでの道や障害が分かってないとそれも難しい……からそっち側の調査を行うんだよ」
「そして、二つ目じゃ。端的に言えば旧新宿を目指すルートとなる。
 これまでも接触のあったティティフィティアやプシュケーなどの子供達が拠点としているエリアが新宿周辺だそうだのう?
 なれば、そちらを目指すルートにする。が……丸の内戦区を突っ切るように動かねばならない。
 しかし、ルートセレクト時の参考にする周辺派閥の動きを見てもアーケダマルという化物がいる事が判明している。
 新宿へは辿り着けない可能性も高いが……無視出来ない戦区であることは確かであろう」
 奈鬼羅はそれ故にバンダースナッチの動きを注視していたのだろう。
 轟音、羽搏き、そして、何処からか聞こえてくる汽笛。無数の要因が重なり合って中央を目指すルートは危険地帯へと変化をしているか。
「それから、三つ目。こっちも危険だよ……旧渋谷を目指すルート、だけど、二つ目と違って少し海側からいくの。
 ただ、旧展示場要塞から偵察するだけでもいろんな場所に穴が開いていたりしてバンダースナッチの偵察も避けれないかも、しれない」
 ニイナが不安げにそう言った。が開いているということは、上空から化物が何らかのアプローチを行ってくる、もしくはかもしれない。
 バンダースナッチの生態についてはまだ謎が多い。そこに重なるように第三戦区より入り込んだとされる壊速列車 ジャガーノート(r2p007139)なる怪物までもいる。
「この三つのルートをそれぞれ短期間でえいやっと探索するのが目的だよ。
 ……多分、戦闘は避けられないんだ。地下鉄は、迷宮みたいになってる。皆、地下を利用して行動しているから」
「そうじゃな。サーカス団などは早期にこの通路を利用して丸の内に拠点を設けておった。
 それ以外の派閥も地下をさながら迷宮の管理人のように歩きまわっておる筈だ。必ず、出会う」
 それが誰とは言い切れないが、彼女たちが分かるのはただ一つ。
「危険な任務だから、志願制って事にしてるの。ハク君と相談したよ」
「うむ。これは戦区オーダーとなりえるじゃろう。
 さて――暗闇の中にランタン一つで進む勇気がある者はおるかな?」




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命空骸戯カタルモイ - 旧展示場要塞システム/ゲイム・ルール

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